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TAAAの活動日誌 2002-2009年

2009年1月14日

2009年1月11日 「TAAA南ア帰国報告会~学校菜園・図書・移動図書館~」リポート


2009年1月11日、TAAA南アフリカ帰国報告会[南アの子どもたちへの教育支援プロジェクト] ~学校菜園・図書・移動図書館~をさいたま市にて開催しました。


まず第一部はプロジェクト報告です。一時帰国中のTAAA南ア事務所代表 平林薫が、ダーバン郊外のンドウェドウェ地域で現地NGOと協力しながら行っている学校菜園プロジェクトと図書プロジェクトを、写真を紹介しながら報告しました。


2007年6月から始めた学校農園プロジェクト(JICA草の根技術協力事業)は、TAAAと現地NGOであるELETとが良好な協力体制を結び、教師たちも積極的に取り組んでくれたおかげで、対象校20校すべてが良い成果をみせています。生徒の手によって栽培されたキャベツ、人参、ほうれん草などの収穫物がふんだんに給食に使われるようになり、粗末だった給食が栄養面でかなり改善されました。菜園作業が大好きな子ども達もでてきて、このプロジェクトが将来、農業指導者などの職業の選択肢に繋がれば幸いです。菜園は、ただ収穫物を得るだけでなく、自然科学などの学校の授業にも有効活用されています。また、このほど新たに3校が対象校に加わり、プロジェクトは順調に推移しています。


プロジェクトの目標の一つは、「コミュニティーを巻き込み、コミュニティーに菜園を広げていく」ことです。実際に野菜が収穫されるようになり、給食が改善され始めてからは、親が菜園のスキルを学びに学校を訪ねてくるまでになってきています。また、教師の研修を重ねるごとに、学校間の交流も活発になり、お互いのノウハウを学び合い、研修で学んだことをすぐに実践したり、独自の創意工夫をみせるなど、自立の芽が育まれてきています。JICA草の根技術協力事業としての学校菜園プロジェクトは2009年3月末に終了となりますが、今後も現地NGOと協力して、自立を助けるためにも、モニタリングやアドバイス等のフォローを行っていく予定です。


TAAAは、同地域で現地NGOのELETと協力体制で、図書活動プロジェクトも行っています。この地域も学校の本不足は深刻です。TAAAの日本チームから皆さんの寄付により、現地へ送られてくる本を配っていますが、本は貴重で大変喜ばれています。風の強い日の翌朝、女子生徒達が自発的に砂ぼこりのついた本を一生懸命拭いている光景をみたことがあります。対象校の中で、図書室がある学校は1校ですが、その図書室も本棚はがらんとしたままです。今後、同地域に移動図書館車を運用する予定で、その準備を着々と進めています。また、日本の学習院高等科からの暖かいご寄付により、図書室のない数校に本棚を寄贈することができました。本棚は、数に限りのある書籍の活用度を高めるのに役立ちます。


報告講演の終了後は、参加者によるグループ討議にうつりました。討議の内容は多岐にわたり、「日本から直接現地に支援するのはニーズや状況が分からず困難なので、TAAAのように現地のNGOと協力体制をとるのが効率的な方法だ」と、日本からの支援方法についての意見や、派遣村を対象とする現在の日本の貧困にふれ、「相互扶助のある南アフリカよりも、その精神が薄れている日本の方が、生活困窮者は苦境に立たされているのでは」との日本の貧困の問題提議もあり、南アだけでなく、日本のことも考えさせられる充実した話し合いとなりました。



原文・TAAA日本チーム久我祐子 (スペースの都合上、一部内容を編集しております)

 
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