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TAAAの活動日誌

2022-04-03

IT技能指導ならびに図書委員会生徒によるITピア指導を実施しました

 2021年1月より開始となったNGO連携無償資金協力によるドゥエシューラ学区12校での図書事業は、コロナ禍による影響で活動に遅れが見られたため3か月の期間延長をさせていただき、3月末に完了となる。

 2年次は図書活動推進に加えて、図書室をリソースセンターとして利用できるようノートパソコンとプリンターを配備し、図書委員会生徒を中心に基礎的なIT技能指導を行った。事業後半には履歴書作成を行い、高校生は“これをもって面接に行くぞー”と冗談を言い合っていた。また、パソコンの図書活動への利用として、これまで手書きで行っていた“本の受け入れ登録作業”をパソコン内で処理できるようになった。

 そして、学校内で広く生徒の図書室とパソコン利用を推進するため、図書委員会生徒が他の生徒へのITピア指導も行った。対象地域ではまだコンピューターを利用している家庭は少なく、生徒のITへの興味は大きい。友達や後輩に楽しそうに、また誇らしげに指導する委員会生徒の姿が見られた。1台のパソコンとプリンターではあるが、生徒が比較的自由に利用できることは大きな利点である。

 ただ、小学校高学年の図書委員会男子生徒から、“コンピューターを教えるから図書室に来て”と伝えたところ、”休み時間は図書室より外でサッカーの方がいい“と言われてしまったとの話があった。もちろん生徒の成長の中でスポーツはとても重要であるが、これは図書室利用促進全体に関わる課題である。今後も生徒に本への興味を持たせ、”図書室に行くのが楽しい“と思ってもらえるような活動を取り入れていきたいと考えている。


(TAAA南ア事務所 平林薫)


2022-03-24

新型コロナ禍に見舞われたまま明けた2022年の3月


中央大学杉並高等学校生徒さんからのプレゼント

 コロナ禍に見舞われたまま明けた2022年も、3月中旬過ぎまで蔓延防止措置が延長され、埼玉での梱包作業へのHPからの呼びかけは自粛せざるをえませんでした。
 そんな中、昨年から報告されてきた現地での小学生用の本不足に対応するため、集まれるメンバー3~4人で、小学生用の絵本を一箱10kg未満で船便の国際小包を梱包し、先日3月4日には、11月、12月に引き続き、皆さんからいただいた切手やハガキ(当方で切手に交換)を活用して7箱(473冊)送り出しました。

 昨年度までのような、年1回のコンテナ船による輸送がいつ出来るか分からない現状では、現地の需要が高いものは、今後もこの間実施してきた船便の国際小包で送ることを考えざるをえません。このようなわけで、切手や書き損じ・未使用ハガキのご寄付を引き続き募らせていただき、どんな額の現金寄付も郵送料としてありがたく使わせて頂きます。ご協力のほど、どうぞよろしくお願い致します。

 一方、今年度最後の作業日となった3月20日には、中央大学杉並高等学校の生徒さんたちがボランティアプロジェクトとして取り組んで下さった「作品群」が届きました。集めて下さった書き損じ・未使用ハガキと切手の他に、ズールー語のラベルを貼った「ぐりとぐら」、“Big Beanie and the Long long Beans” 、“The Story of the Little Mole”、“Lend It to Me Please”など「両親が出てこない。仲間と力を合わせる」ストーリーを選び、英訳して作製して下さった本の数々、そして読書とは切っても切り離せない栞、それも一つ一つ見入ってしまうほどの色合いと凝った折りの作品が16枚添えてあったのです。これを手にする南アの子ども達の歓喜が想像でき、自分たちでも独創的な栞作りを始めてくれることを大いに期待したいと思います。


(大友深雪)


2022-01-22

書き損じハガキ、未使用ハガキや切手のご寄付をお願いいたします

 現地では小学校で本が不足しています。なるべく多くの生徒に本を手に取ってもらいたいので、今年は国際小包の利用を増やし、例年よりも頻繁に現地に本を届けたいと思っています。送料の負担を軽減するため、書き損じハガキ、未使用ハガキや切手を募っております。
ご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。

送付先住所:〒338-0012
〒330-0855 埼玉県さいたま市大宮区上小町1327―208
「アジア・アフリカと共に歩む会」事務局
連絡先電話番号:090-9957-2256

 日頃より「アジア・アフリカと共に歩む会」の活動にご協力いただき、誠にありがとうございます。 皆さまからご寄贈頂いいている英語の本、算数セット、サッカーボールは、新型コロナ禍におきましても十分な対策をとりながら、南アフリカにおける活動地域の各学校へと配布され、厳しい教育環境のなかで子供たちにとって貴重な支えとなっております。改めて感謝を申し上げます。

 お蔭様で現地では本が好きな小学生が増えてきましたが、生徒数に対して本が不足しており、彼らが十分に読書ができない状況が続いています。このため、今年はコンテナ船輸送と並行し、国際小包の利用回数を多くして、出来るだけ早く頻繁に本を南アフリカへ送りたいと願っております。

 つきましては、お持ちの書き損じハガキ、未使用のハガキや切手を寄付いただきますと大変ありがたく存じます。未使用であれば、発行年や額面金額などは関係ありませんので、古いものでもかまいません。南アフリカへの船便料金として大切に活用させていただきます。
 また、送料用として、少額からの
ご寄付も大変ありがたいです。

 新型コロナ禍の影響で授業が少なく教育が不安定なこの時期、子供たちには本に触れて読書習慣を育むと同時に、本の中の豊かな世界を楽しんでもらいたいと願っております。

 ご支援ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

 久我祐子



2021-12-18

図書委員会生徒へのITプログラム修了証書とメダル授与


Mangquzuka高校 証書授与

Dudzile中学校 委員会メンバーミーティング

Beaulah小学校 優秀校表彰

Dweshula小学校 証書授与

 今年も引き続きコロナ禍の影響により活動の中断や遅れが見られたが、各校の図書委員会生徒は責任を持って活動を継続してくれた。今年度の新規プログラムとして基礎的なIT技能指導も無事終了し、筆記テスト、エッセイ、履歴書作成を完了した生徒に修了証書を授与した。ITプログラムに興味を持つ生徒が多く、すでに図書委員会生徒がクラスメートに教える姿も見られた。来年度も彼らがよりITスキルを磨き、図書室内で他の生徒に指導するよう伝えた。

 図書活動促進として、本来第3学期に各対象校の図書委員会生徒が集まって活動の発表や情報交換をするイベントを行う計画をしていたが、やはりコロナ禍の影響で中止となった。今回、ITプログラム修了証書授与と同時に、図書委員会メンバーとしての努力を評してメダルの贈呈も行った。ローテーション登校等の困難な状況の中で活動を継続し、図書室が利用できるよう努力してくれたことに感謝している。来年度は彼らが中心となり、新入生を加えた新メンバーで活動を再開する。


(TAAA南ア事務所 平林薫)


2021-12-09

生徒たちのエッセイ「MY SELF」~ITプログラムの課題として~ (6)


生徒たちのエッセイ「My Self」も最終回となりました。トリは学校の 図書委員会活動だけでなく、地域のダンスグループでも活躍している高校生のマネリシさん。 夢はビジネス界で活躍すること。
 



マングズーカ高校
マネリシ・ンゾベさん

私自身について


私の名前はマネリシ・ンゾベ。15歳でマングズーカ高校の8年生です。私は図書委員会メンバーで、高校に入って初めて図書活動に携わりました。私はダンスが大好きです。地域に若い男性のダンスグループがあり、メンバーとして活躍しています。ダンスはストレスを解消し、気持ちを落ち着けてくれます。

私は友人たちのことが大好きで、とても親しくしています。私はルックスがいい方だと思います。将来はビジネス界で活躍したいです。図書委員会メンバーは皆で力を合わせて活動しており、このような機会をもらえたことにとても感謝しています。


(訳:平林薫)


2021-11-25

生徒たちのエッセイ「MY SELF」~ITプログラムの課題として~ (5)


 ムガムレ高校のヨランダ・クズワヨさんのエッセイをご紹介します。エッセイにも触れられていますが、南アは全国的に十代の妊娠が問題となっており、特に新型コロナ禍によるロックダウンや学校閉鎖により深刻化しています。残念ながら対象地域も例外ではないようです。
「自立した女性になりたい」というクズワヨさん。自分の名前をエッセイの題名にしました。
 



ムガムレ高校
ヨランダ・クズワヨさん

ヨランダ・クズワヨ


私の名前はヨランダ・クズワヨ、15歳でムガムレ高校の9年生です。私は女性で、ネットボールが好きです。好きな科目は英語と数学と社会科学で、特に数学が得意です。私の両親はノタンド・クズワヨとシピィウェ・ムソミで、両親のことをとても愛しています。

将来は心理学者になりたいです。私自身オープンな性格で、うわさ話は嫌いです。私は将来への展望をしっかりと持っています。自立した女性になって人生を楽しみ、家族との時間を大切にし、そして裕福にもなりたいです。

争いは大嫌いです。家族や友人と心安らかに暮らしたいです。はっきり言って男子は嫌い。女子を妊娠させるから。私は自分自身を愛しています。


(訳:平林薫)


2021-11-13

生徒たちのエッセイ「MY SELF」~ITプログラムの課題として~ (4)


 今回はドゥドゥジィレ中学生スボネロ君の内面の成長にも触れたエッセイを紹介します。
 「噂話や人を不愉快にすることが嫌い」からは、努力して成長してきた彼の、「他者への配慮のない行動はしたくない」という強い意思を感じます。「自分らしさ」の一つになっているのでしょう。



ドゥドゥズィレ中学校
スボネロ・ンゴボさん

自分らしく


こんにちは。僕の名前はスボネロ・ンコボです。家族とポートシェプストンのオシャベニ地区に住んでいます。15歳でドゥドゥズィレ中高校の10年生です。僕は親切でフレンドリーな性格だと思います。また、物事に熱中し、一生懸命取り組みます。そしていつも好奇心旺盛です。僕は短気を起こさず、常に落ち着いているよう心がけています。

僕のこれまでの人生の中で、大きな要因となったのは小学生の時です。幼かったこともあり、様々な制限があって、友人を作ったり、学校で発表をしたりなど、十分に自分自身を表現できませんでした。当時は自尊心が低かったと思います。成長するにつれ、自分自身を向上させるよう努力しました。当時のような自分もまだ残ってはいますが、現在はとても良い友人に恵まれ、僕の力になってくれています。

僕は映画やアニメを見るのが好きで、時間があればビデオゲームや読書をしています。
他人のうわさ話や人を不快にさせるようなことは嫌いです。僕の名前スボネロは英語ではExample(模範)で、母からは下のいとこたちの良い見本になりなさい、と言われています。これは私の人生の目標に向けて努力するための大きなモチベーションとなっています。
僕は自分の周りの世界や科学に興味があり、学校では自然科学を選択しています。天文学にも興味があり、将来、天文学者か天体物理学者になりたいです。大人になったら家族を大切にし、友人と充実した時間を過ごしたいです。何事にも決意を持ち熱心に取り組むことで、素晴らしい人生を送ることができると信じています。


(訳:平林薫)


2021-10-29

生徒たちのエッセイ「MY SELF」~ITプログラムの課題として~ (3)


フランクランド小学校
アヤンダ・グメデさん、タンド・チェレさん

 今回は、フランクランド小学校の生徒2人の「My Self」をご紹介いたします。

 フランクランド小学校は、遠隔地にあるドゥエシューラ学区のなかでも、さらに奥まった地域に位置します。 周りに刺激が少ないこともあり、図書室ができるやいなや、飛びつくように本を読み始めてくれた生徒がたくさんいます。
 紹介する2人は共に活発に活動する図書委員会生徒です。


私自身について

私の名前はアヤンダ・グメデです。私は10歳です。クワベ地区に住んでいます。私は女の子です。2人の姉妹と5人の叔母と祖父と2人の伯父と住んでいます。私の趣味は読書と友達と遊ぶことです。将来は弁護士になって、人々の問題を解決したいです。
私は家族が大好きです。

僕について

僕の名前はタンド・チェレです。2009年2月13日にオシャベニ地区で生まれました。2012年にクワベ地区に移り、2014年にまたオシャベニへ戻り、2016年にクワベ地区に戻ってきて現在に至ります。僕の母はノンブソ・チェレ、父はボンギンコシ・ハデベです。 母は2020年7月13日に亡くなり、現在僕は祖父母と暮らしています。

僕は、友達と遊んだりサッカーをしたりするのが好きです。将来は科学者になりたいです。趣味はサッカー、親友はオクシェ・タベテで、彼のニックネームはチャイナです。僕はムションゴと呼ばれています。好きな科目は算数。算数は他の科目と比べてやさしいと感じています。僕の将来の夢は、気候変動から世界を守ることです。科学の映画を見て、そうしたいと強く感じました。南アフリカで一番の科学者になりたいです。
僕はフランクランド小学校の7年生です。


(訳:平林薫)


2021-10-10

生徒たちのエッセイ「MY SELF」~ITプログラムの課題として~ (2)


 ITプログラムの実践課題として、生徒たちに自己紹介文をパソコンで作成して印刷、提出してもらいました。
 今回ご紹介する「MY SELF」は、ントンベンシェ・マシヤさん。アーティスティックな図書委員会生徒です。作文もレイアウトに工夫を凝らして、デザイン風に仕上げてくれました。
 オリジナルもご紹介いたします。


私らしくいること。だってみんな#SELF LOVE(自分自身への愛)を持っているでしょ。


ドゥドゥズィレ中高校
ントンベンシェ・マシヤさん

オリジナル

こんにちは!
もしあなたが愛すべき心の持ち主に関心がないのなら、ントンベンシェのことは分からないわよ。
私はントンベンシェ・マシヤ。16歳のぽっちゃりとした女の子。ドゥドゥズィレ中高校の10年生。商業選択です。
私自身については・・・知的でエネルギッシュ、情熱的で野心を持ち、勇気があるけれどちょっと恥ずかしがり屋、かな。
私は、地元出身のとても魅力的で聡明な女優、ノンザモ・ンバタに影響を受けているの。(アメリカ映画で)大役を演じた彼女の姿に、自信を持って夢を実現させることを学んだわ。私の目標は世界一の会計士になること。旅もしたい。
人とのコミュニケーションは上手く取れる方だけど、人前で話すのはちょっと苦手。
そして最後になったけど、読書が大好き。
#SELF LOVE だって私には価値があるんだもの。
(訳:平林薫)



2021-09-25

生徒たちのエッセイ「MY SELF」 ~ITプログラムの課題として~


IT指導
Mehlomnyama小学校

 今年から図書活動の一環として始めたITプログラムは、順調に進んでいます。
 ITプログラムといっても、生徒たちが将来パソコンを使えるようにと始めたごく基礎的な操作技術を教える活動ですが、校内にパソコンが一台もない環境なので、生徒たちはコンピューターに興味津々で意欲的に取り組んでいます。

 技能の実践として、生徒たちに自分自身についてのエッセイを作成、タイプ、印刷して提出するという課題を出したところ、熱心に取り組んでくれました。
 これは、パソコンを使った書類作成を練習するだけでなく、自己紹介の文章力を磨くことと、自分の将来について考えるきっかけ作りも目的としたものでした。

 提出があった小学高学年生から高校生までのエッセイはどれも味わい深く、生徒たち一人ひとりが置かれた環境や、自分をどう思っているのか、将来の夢、家族や友達への想いが伝わってきます。
 これから数回にわたって、生徒たちのエッセイを紹介させていただきます。トップバッターは、インバレンチャネ小学校のクスリレ・ルシャバさんです。



インバレンチャネ小学校
スクリレ・ルシャバさん

私自身について

私の名前はスクリレ・ルシャバです。6年生で12歳、オシャベニ地区に住んでいます。
私は祖母と兄と一緒に暮らしています。
母は亡くなりましたが、父は健在で、いつも学校の休暇中に会いに行きます。
私のクラス担任はマビカ先生です。好きな科目は英語とズールー語です。
何故ズールー語が好きかと言うと、私のルーツを教えてくれるからです。
私の学校はインバレンチャネ小学校です。
好きなサッカーチームはカイザーチーフス、好きな食べ物はサンプ(メイズの粒状のもの)です。
私はちゃらちゃらしたタイプではありません。他の子をいじめたり喧嘩したりが嫌いです。
私は自分のありのままの姿が好きです。週末は朝ジョギングをして、制服の洗濯をします。
読書が好きで、クラスではいつも10位以内の成績です。私は末っ子です。
親友は双子のスノティレとスノタンド・チェレです。私たちは一生の親友です。
学校を卒業したらソーシャルワーカーになりたいです。
(訳:平林薫)


(久我祐子)


2021-08-07

図書委員会活動としてのITプログラム


クズワヨ氏の熱意溢れる指導 IImbalancena小学校

IT指導 Duduzile中学校

 南アでは新型コロナ・ウィルス禍が収束しないなかで、7月には前大統領収監への抗議に端を発した暴動が南ア各地で起きるなど、落ち着かない状況が続いております。暴動は一週間続き、TAAAの対象地域も地元のスーパーや一部の個人経営店が被害に遭いました。
 この間、対象校は冬期休暇に入っていたため、暴動の影響はなかったと思っていましたが、新学期になると、小学校1校と高校1校では、食料品と電気器具が盗まれていたことが分かりました。幸い、両校とも教室や図書室は荒らされず、パソコンとプリンターも休暇中は安全な場所に保管されていたので盗まれませんでした。


 このように今はコロナ感染対策だけでなく治安対策にも配慮が必要になりましたが、工夫しながら学校図書支援活動を続けています。


IT指導 Umalusi小学校

自分でタイプしたネームタグをつける委員会生徒

 1月からは、図書室にプリンターとパソコンを一台ずつ置き、図書活動の一環として、ITプログラムを始めました。このプログラムでは、まずは、司書教師と図書委員会生徒たちにパソコン基礎技術を教えて、図書委員会活動にパソコンを使った作業(貸し出し記録、図書推進ポスター作成など)ができるようにします。その後、技術をマスターした図書委員会生徒たちは、委員会活動の一環として、他の生徒たちにパソコンの基礎操作技術を教えていきます。


 南アフリカの社会では、仕事だけでなく生活の様々な場で簡単なパソコン操作技術が必要とされています。求職や進学時にも、手書きではなくタイピングされた履歴書が求められます。対象地域のような遠隔地の若者たちは、家にも学校でもパソコンに触れる機会がないため、就職や進学において、申請時点で不利な立場に立たされます。ここをクリアして進学や就職ができた優秀な若者も、パソコン基礎技術の不足によって、職場や学校で、都心部の若者と比べて、大きな遅れをとってしまっています。
 TAAAの対象校のように、学校のカリキュラムにITプログララムがなく指導者もいない遠隔地域の学校では、このように図書室に1台パソコンを置いて、生徒たちの間で操作技術を教え合うピア教育は、規模は小さいですが、無理なく継続できるやり方なのではと思っています。


 プログラムを軌道に乗せるには、まずは指導者となる図書委員会生徒たちがしっかりと知識と技術を習得することがとても大切なので、指導が一段落した後、確認のため、基礎知識筆記テストと技能テストの課題を課しました。筆記テストは全対象校で終了し、全体的に好成績でした。技能テストの課題は「自己紹介・将来の夢をタイプして保存した後、印刷して提出する」で、すでに数校から提出がありましたが、提出された自己紹介文はどれもとても興味深く、多くの生徒が「将来は医者になって、地域に貢献したい」と書いていたのが印象的で、頼もしく思いました。
 全校から提出物が揃った段階で採点を行う予定です。


 パソコン指導専門員のクズワヨ氏は、対象地域の出身で、ご自身もNPO活動をしている地域愛の強い若者です。先生たちとも顔なじみでやりやすく、熱意を持って指導にあたっており、生徒たちのロールモデルになってくれています。


 どの地域でもいえることですが、特に対象地域のような厳しい環境では、子供たちが地元で活躍する若いロールモデルとの出会いは、健全に希望を持って生きていく上で貴重です。TAAAも活動を通して、将来ロールモデルになる若者リーダー作りに少しでも貢献できれば嬉しいです。


(久我祐子)


2021-06-09

低学年生の読書習慣をはぐくむFrankland小図書室


Frankland小コンテナー図書室

Frankland小図書委員会生徒への研修

 今学期より正式にFrankland小学校がN連事業(日本NGO連携無償資金協力事業)対象校となり、IT指導が開始された。昨年度からの対象校であったCophela小は“TAAA支援校”として、継続して図書活動へのサポート行うこととなった。 Frankland小は対象校であるNani高校の近くにあるが、初年度のN連事業対象校選考の際に12校枠から外れてしまった。Nani高を訪問するたびに同校の前を通り、何となく申し訳ない気持ちになっていたので、同校の図書支援の必要性を探るため訪問してみると、やはり“何故うちの学校は含まれなかったのか”と感じていたという。教師たちはNani高に設置された図書室を見学に行き、羨ましがっていたとのこと。それほど図書室設立を望んでいたのだった。


 昨年度、校内に空きスペースのない同校への支援を探っていたところ、ひろしま・祈りの石国際教育交流財団から助成をいただき、コンテナ図書室を寄贈することになった。
 コロナ禍のため、多少の遅れが出たが、昨年末までにコンテナ配備、本棚の設置が完了し、少しずつ蔵書を揃えて行った。新学年が始まり、すぐに図書委員会メンバーが選出され、研修を行った。学校全体で生徒の本への興味が大きく、早速活発に図書室利用が始まった。同校は未舗装道路の遠隔地域にあるため、周りに刺激となるものが少ないことが本好きになる一つの要因かもしれない。同じ学区内でも前述のCophela小はタウンシップのような環境にあるので、テレビやゲームの方が楽しいという生徒もいるのだろう。


Frankland小本の寄贈

熱心にIT指導を受ける図書委員会生徒たち

 Frankland小は校長の活動への理解とサポートが大きく、司書教師とも常に話し合いを持ち、活動を向上させる努力をしている。今学期からは低学年の生徒を週2回授業時間内に図書室を訪問させ、本に親しませている。先日は2年生の感想文を受取った。正直なところ、何を書いているか十分に理解ができなかったが、生徒たちの感動が伝わってきた。他校でも中高学年がクラス単位で図書室を利用する姿が見られるが、今後、低学年の図書室訪問を推進・強化しようと考えている。


 図書活動をしていて日々感じるのは、読書はやはり小さい頃からの習慣なのだということ。5-6年生になると“読む・読める”生徒と“読まない・読めない”生徒がはっきりとしてくる。様々なことに興味・好奇心を持つ低学年のうちに“本が好き”になることが何よりも大切なのだ。一方で、“読まない・読めない”生徒を置いてきぼりにはできないので、対応策として、マンガ本やパズルの導入などを進め、だれもが訪問したくなる“楽しい図書室”作りを目指している。


(TAAA南ア事務所 平林薫)


2021-04-12

司書教師のアンケート回答(2) 中高校編


Duduzile中 朝会で図書室利用を
呼びかける図書員会生徒たち

Mangquzuka高
コンテナー図書室

Mgamule高
図書委員会生徒の実践テスト

 2月16日に小学校の司書教師アンケート回答をご紹介し、「次回は中学、高校の回答をご紹介します」とお伝えしてから、だいぶ間があいてしまいました。すみません。

 今回は、中学校1校、高校4校の計5校からの司書教師アンケート回答をご紹介します。

質問: 生徒たちに図書室利用や読書を促すために、図書委員会生徒たちとどのような活動をしていきましたか。
回答: 朝会で朗読、朝会で本の紹介、ブックレビュー、スペリング・朗読・スピーチコンテスト、ブックレビューコンテスト、各教室内で図書室利用の呼びかけ、ストーリーテリング、バレンタインデーなど特別な日に図書室でイベントを行う
質問: 学校に図書室ができて図書活動をしてきたことで、生徒たちにどのような変化がありましたか。また第2年次に向けてTAAAへのリクエストはありますか。
回答:
  • 生徒の読書への興味が深まってきた。
  • 図書委員会生徒たちは、自分たちの力でブックレビューコンテストを推し進めた。
  • 生徒たちの読解力が向上した。
  • 図書委員会生徒は自主的に活動を進められるようになった。
  • 図書委員会生徒が中心となって行う図書活動を行ったため、校内で多くの生徒が参加するようになった。
  • プロジェクトが始まってから図書室を訪問する生徒の数が増加した。
  • 特に言語の授業で成績が上がってきている。
  • プロジェクトで購入した学習参考書が大変役に立ち、生徒の図書室利用につながった。
    第2年次も参考書の追加配備をして欲しい。
  • 生徒たちが図書室を利用して、リサーチができるようになった。
  • 生徒たちは英語スピーチやストーリーテリングの準備に図書室の本を利用することで、語彙力を身につけた。
  • 歴史選択の生徒が図書室にある歴史の本をとても良く利用している。
  • 第2年次はズールー語の小説を揃えて欲しい。

アンケート結果から、コロナ禍下で活動が大幅に制限されているなかで、図書委員会生徒たちが、主体的に活動に取り組んできた姿がうかがえます。また彼らをそのように指導してきた司書教師たちの力量も素晴らしいと思いました。

中学校、高校では、図書委員会生徒たちが図書室をしっかり管理運営していくスキルを身に付けているかが、TAAAの支援が終わったあとの活動継続と発展につながっていきます。
そこでN連1年次事業が終了時に、図書委員会生徒たちに図書管理運営の実践テストを行いました。その結果、テストに参加できた生徒(コロナ禍の影響で参加できない生徒もいました)は全員合格となりました。
コロナ禍のなか比較的スムースに第2年次事業に進むことができましたが、それは彼らの頑張りによるものが大きいのだと思います。


(久我祐子)


2021-02-16

司書教師のアンケート回答


ELTS担当員とTAAAプロジェクトマネージャーに図書活動状況を伝える
Umalusi小の司書教師

コロナ対策として訪問時に
質問票に記帳させる司書教師

9月の研修会でグループワークをする
司書教師

 昨年9月に、新しく支援するようになったトゥートン学区で12校を対象に学校図書支援活動を開始しました。地域には、本屋さんや図書室がなく、生徒たちの家にも本はありません。TAAAの活動を通して、生まれて初めて読書のために本を手に取った生徒が多くいました。

 学校に図書室が設置された後は、コロナ禍の影響で活動は難航した部分もありましたが、「この時期こそ本を読んでもらいたい」との願いでなんとか図書支援を継続することができました。
読書に馴染みのない地域で、しかもコロナ禍のなかで、生徒たちが図書室を利用して読書習慣を育めた背景には、TAAAの図書活動に賛同して司書教師になってくれた先生たちの頑張りと熱意がありました。

10月末に対象校全12校の司書教師にアンケートを実施し、全校から回答をもらいました。
今回、うち小学校7校のアンケート回答を一部ご紹介いたします。

質問: 生徒たちに図書室利用や読書を促すために、図書委員会生徒たちとどのような活動をしていきましたか。
回答: ブックレビュー、スペリングコンテスト、ストーリーテリング、図書室を楽しく装飾する、生徒たちによる図書推進ポスターの作成、各教室内で図書室利用を呼び掛ける、図書委員会生徒が朝会や集会で図書室利用を呼び掛ける、クラスごとに図書室を訪問させる
質問: 学校に図書室ができて図書活動をしてきたことで、生徒たちにどのような変化がありましたか。また第2年次に向けてTAAAへのリクエストはありますか。
回答:
  • 生徒が本を借りて読後にブックレビューを書けるようになり、ストーリーテリングもできるようになった。
  • 少しずつ生徒の読解力がついてきた。
  • 第2年次は蔵書を追加してほしい。
  • 生徒たちは図書室に興味津々で、率先して訪問するようになった。
  • 生徒が読書習慣をつけ、授業にも好影響が出ている。
  • 生徒の読書への興味が深まった。今年はコロナ禍により活動が滞ってしまったが、来年はより活発に行いたい。
  • 頻繁に図書室を訪問して本を借りる生徒が出てきて、読書を楽しむ姿が見られるようになった。第2年次は蔵書の追加配備をして欲しい。
  • 生徒が本への興味を示し、自主的に図書室を訪問して本を借りるようになった。
  • 生徒が率先して図書室を訪問し、本を借りるようになった。
  • 生徒の語彙力が高まった。
  • ロックダウン中も本を借りて読んだ生徒が、教師にストーリーを伝える姿が見られた。

次回は中学校と高校のアンケート回答をご紹介します。


(久我祐子)


2021-01-16

ご寄付・ご寄贈のお願い


Cophela小学校 感染防止を徹底した
図書室利用を指示するTAAA図書指導員

Umalusi小学校の読書好きの生徒たち

 昨年はコロナ禍の影響により活動が大幅に制限されてしまいましたが、皆さまの温かいご支援と励ましのお陰で、無事に継続することができました。
本当にありがとうございました。

 今年も感染防止を徹底しながら、出来ることを無理せずに、でも諦めずにやっていきたいと思っております。「諦めない」理由は、私たちが支援している生徒たちが、コロナ禍の影響で大きな教育損失を被っているからです。

 学校は再開しましたが落ち着かない状況は続いています。そのような中で、くつろいで勉強したり読書ができる図書室は生徒たちにとってとても貴重なスペースになっています。また、何人かの生徒にとっては「精神を落ち着かせるより所」になりました。

 今年も多くの本や教材を送ることで、彼らの教育と気持ちを支えていきたいです。
皆さま方からの温かいご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。


  • 活動維持のため、ご寄附は大変ありがたいです。どうぞよろしくお願い致します。
  • 英語の本、算数セット、サッカーボールのご寄贈をどうぞよろしくお願い致します。
  • 教材・教具を送る郵送料を賄うために、書き損じ葉書と切手を集めております。
    余った年賀状葉書も、ご寄贈いただけると幸いです。

    書き損じ葉書・切手の送付先:
    「アジア・アフリカと共に歩む会」事務局 野田方
    〒338-0012 さいたま市中央区大戸5-17-1 
    TEL: 090-9957-2256

 どうぞよろしくお願い申し上げます。


(久我祐子)


2020-12-26 南アフリカ

ブックレビューコンテストおよび読書推進ポスターコンテストを実施


Duduzile中
ブックレビューコンテスト優秀生徒

Mehlomnyama小 読書推進
ポスターコンテスト優秀生徒

Mehlonmyama小 読書推進
ポスターコンテスト低学年の部優秀生徒

N連図書事業は、コロナ禍の影響により2ヶ月間の延長の後、10月末に第1年次が終了となった。事業後半は、南ア国内の全面的なロックダウンで活動が滞り、学校再開後も生徒の登校制限や冬期の感染拡大など、一進一退の状況が続いた。そのような中でも対象校では生徒の図書室利用の重要性を認識し、感染予防に努めながら活動を行い、小学校では読後のブックレビュー(感想文)を書いたり、読書推進ポスターを制作する等、少しずつ図書活動が定着してきた。高校では図書室に各教科の参考書を配備することで、生徒が自習できるようになり、図書室を利用した生徒の成績が向上しているとの報告もあった。

これはもちろん各対象校の校長の協力や司書教師の努力によるものであるが、何より図書委員会生徒の図書室と読書への興味、活動への積極的な取り組みによるものが大きい。残念ながら学校再開時に退学したり、委員会から離れた生徒も見られたが、多くの図書委員会生徒が、制約のある状況下で委員としての任務を果たし、校内で図書室利用推進のリーダーとして活躍したことは頼もしい。

図書活動では圧倒的に女子生徒の参加が多いのだが、各対象校には必ず少数の“本好き”の男子生徒の姿が見られる。南アの学校では“読書は女子のもの”という風潮が見られるが、彼らは1人でも図書委員会に参加したり、図書室にやって来たりする。そのような時、若い男性で自身も図書委員会を経験しているモンドリが指導員でいることは、彼らにとって心強いことだろう。次年度は彼らと共に男子生徒の読書促進“Boys can read(男子も本を読める)”を行いたいと考えている。

11月には事業で書籍の購入を行っている現地の大手書籍販売店Bargain Booksより新品の本430冊の寄贈があり、次年度各対象校に配布を予定している。一部はブックレビューコンテストを行ったDuduzile中の優秀者に賞として贈呈した。現地の企業が事業への認識とサポートをくれたことは喜ばしく、書籍販売店と学校をつなげられたことは、今後の図書活動の広がりに向けた学校への情報提供となった。次年度は蔵書の補充や本の貸出しを継続して行うと共に、各対象の図書室にパソコンとプリンターを設置し、委員会生徒がパソコンを活用しながら図書活動を推進する。


(TAAA南ア事務所 平林薫)


2020-10-26 日本・南アフリカ

コロナ禍におけるTAAAの活動と意義について


本を整理整頓する図書委員会生徒たち

10月18日梱包作業の様子

マスクをして読書タイム
Imbalancane小コンテナ図書室

会員の皆さま、支援者の方々には、南アフリカの子どもたちのためにいつもあたたかいサポートをいただき、ありがとうございます。 おかげさまで当会は長年にわたり無理なく、しかしながら着実に活動を進めてきましたが、今回のコロナ禍は私たちの活動にも大きな影響をおよぼしました。 

日本においては、今年3~5月、毎月定例の梱包作業を中止としましたが、6月からは作業場の換気を良くし、お互いマスクを着用しながら、活動を再開しております。 ただ、今後も状況を注視しながら、柔軟な判断をしていきたいと考えております。

一方、南アフリカにおいては、急激に感染者が増え、学校での図書活動ができなくなるなど、大きな影響が出ました。 弱い立場にある方がますます困難な状況に陥ることは、日本も南アフリカも同様です。 したがい、こういう時こそ、感染対策と教育支援 活動を両立する必要があり、強い志を持ちながら工夫して活動していくことが求められていると感じております。

会員の皆さま、支援者の方々におかれましては、まずはご自愛いただきつつ、南アに 温かい眼差しを向けていただければ幸いです。


(副代表 丸岡 晶)


2020-9-5 南アフリカ

引き続き、コロナ禍影響下での図書支援活動


チョペラ小図書委員会生徒が本の貸出し

司書教師と図書委員会生徒が本の貸出し

前回の記事でお伝えした通り、ドゥエシューラ学区の対象校は、ロックダウンによる長い閉鎖期間を経て6月に再開し、準備が整った学校から図書室利用と本の貸し出しを再開しました。
TAAAは図書室利用再開にあたり、各対象校に殺菌消毒剤、箒とハタキを配布し、消毒と掃除などの感染予防対策を呼び掛けました。また、TAAA図書指導員のモンドリさんは学校巡回訪問をする際、感染予防用返却箱に返却された本を一冊一冊丁寧に消毒してから本棚に戻す作業を行ってきました。


図書室入室時に手の殺菌消毒

返却箱

返却本を殺菌消毒

12校の対象校のなかには、準備が整わないため図書室を閉じたままの学校もありましたが、図書室利用を再開した学校のなかには、「待ってました!」とばかりにやってくる生徒たちがいて、そのような学校では図書委員会生徒たちが頼もしく、彼らのリーダーシップの下で、入室前の手の消毒、マスク着用、「ソーシャルディスタンシング」等、感染予防対策が徹底して行われていました。しかし、タイミングの悪いことに南アでは6月~8月はウイルス感染が拡大しやすい冬にあたるため、7月後半から全国的に感染状況が悪化してしまいました。対象校でも教師を中心に感染者が見られるようになったため、7月24日から1ヶ月再度閉鎖に追い込まれました。図書活動も再度中断となりました。

8月24日から基本的に全校生徒が再復帰となりました。しかし、学年ごとにローテーションにして登校しているため、未だに完全な復帰には至っていません。生徒たちは間隔をあけて授業を受けるため、教室はスペース不足となり、同じ日に全生徒を登校させられないのです。また、基礎教育省の指示により、感染の有無にかかわらず高齢または持病のある教師を自宅待機にさせているため、授業を行う教師の数が不足し、生徒は登校しても自習というケースも多く見られます。

このような落ち着かない状況ですが、生徒たちが再復帰するやいなや、TAAAは対象校への巡回訪問を再開しました。図書室利用の進捗状況確認を続け、引き続き返却された本の消毒を行い、生徒たちに感染予防対策指導を行っています。

感染の不安が完全になくなるまでは、TAAAも巡回指導訪問と図書活動を中断するという選択もありますが、登校しても授業が受けられず、自宅にいても読む本が一冊もないという状態のなか、「本が読みたい!」という生徒たちの切実な声を無視する訳にはいきません。

長びくコロナ禍の影響下でドゥエシューラ学区を含めた遠隔地の生徒たちは、学業に大きな遅れをとっています。 楽しみながら読解力を身に付けられる「読書」は、今、生徒たちにとってとても貴重な学習時間になっています。また、前代未聞の不安な環境のなか、いっとき日常から違う世界に連れて行ってくれる美しい絵本や小説にふれることは、子どもたちの心のケアにも大きく役立っているのではないでしょうか。

自身も元TAAA対象校で図書委員だったモンドリさんは、読書が生徒たちに与える精神への栄養を十二分に理解しているのでしょう。 難しい舵取りが迫られている中で、感染予防策を取りながら丁寧な学校図書活動を維持してくれています。本当にありがたいです。

早く日常に戻って、各対象校で笑い声があふれるマスク・フリーの図書委員会活動が再開されますようにと祈っています。 しかし、焦ってもしかたがありません。 本をかりにくる生徒には、今だからこそ心に浸みる深みある読書を楽しんでもらえたらと思っています。


(久我祐子)


2020-7-12 南アフリカ

コロナ影響下での図書支援活動


カラフルなマスク着用で本を取りに来る生徒たち

入室時の手の消毒と記帳を徹底させる

  「今思うと、なんという神業的タイミング!」 3月上旬に一緒に視察訪問をした大友さんと会う度に出てくる言葉です。 現行の学校図書支援活動(日本NGO連携無償資金協力事業「ドゥエシューラ学区の生徒の経済・社会参加に向けた学力向上と基礎技能習得」)における私たちの視察訪問のタイミングがほんの少しずれていたら、南アに入出国できない可能性がありましたし、もっとずらしていたら視察訪問そのものが出来ませんでした。事業の進捗状況そのものも、今思うとあたかもロックダウンに備えていたかのように、学校閉鎖前に図書活動基盤をしっかりと整えた感があります。全ての対象校(12校)で図書室が設置され、蔵書が整い、図書委員会生徒たちが活動を開始し、図書の貸し出しや図書室利用が始まり、「さて、これから図書利用を全校生徒に広めよう」と腕まくりをしていた矢先に、学校閉鎖となりました。3月16日で、私たちの出国日の5日後でした。

 日本の自粛要請と異なり、南アのロックダウンは、庭にいるだけでパトロール中の警官に「家に入れ」と叱られる厳しいもので、この間は学校巡回訪問ができませんでした。平林プロジェクトマネージャーと現地スタッフのモンドリさんは、TAAA南ア事務所で本の整理や分類、各対象校への配布準備をして学校再開に備えていました。

 6月8日にようやく学校が再開となりましたが、6月中に登校できる生徒は、小学校は7学年生、高校は12学年生とそれぞれ最終学年生に限られました。 他学年生徒は引き続き自宅待機です。 このような中途半端な状態であっても、学区長のザミサさんから、「TAAAの図書支援活動は是非すぐに再開してほしい」との強い要望もあり、TAAA南ア事務所は、各対象校の図書室用に消毒液と返却ボックスを用意して、図書活動を再開しました。 図書室利用時は、1.一度に入室する生徒の数を制限する、2.手を消毒して入室する、3.利用者ノートに名前を記入する、4.返却時には直接本棚に戻さず必ず返却箱に戻し、TAAAスタッフが巡回時に箱の中の本を消毒して棚に戻す、というルールを作り、各校に徹底させました。

 校長と司書教師には、登校できる生徒には、感染予防のルールに基づいて図書室を積極的に利用するように呼び掛けるよう願いし、また、本を借りにくる生徒たちには、自宅で待機中の他学年の兄弟姉妹用にも本を借りて帰るように伝えました。 登校できない学年の生徒たちは、せめて家で本を読んでもらいと思っています。

 また、学校に行けない生徒のために、地域のコミュニティーセンターで毎週水曜日に本を寄贈する活動もしました。6月中に3回行いましたが、累計180人以上の生徒たちの他、約80名の近所の大人が本を取りにきてくれました。

 対象地域からそれほど離れていなくても都市部となると、オンライン授業を行う学校もありますし、なくても親から勉強をみてもらえる生徒もいるでしょう。 私たちの対象地域を含め、学校からのサービスも家庭での教育リソースも乏しい遠隔地域の子どもたちは、ロックダウン期間は平常時以上に取り残されました。 国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」のモットーの一つに、「誰一人取り残さない」がありますが、南アの遠隔地域のように地域ごと取り残されている場合、そこに住む子ども達の大多数は取り残されます。

 TAAAのような小さなNGOは、大きなことはできないかわりに、根ざしている地域内では状況に応じて小回りに対応できます。今回のように状況が刻一刻と変化する緊急事態時にこそ、学校や行政が迅速にできないことを比較的自由にできて、手が届かないことを創意工夫でリーチできるNGOの柔軟な体質を活かして、地域で「取り残されている大多数の子ども達」に図書活動を通して、手をさしのべていきたいと願っています。

 しかし、コロナ禍は収束の兆しが見えず、先行き不透明な厳しい状況が続きいており、当分は不安を抱えながらの活動となります。南アにおいても国内の活動においても、予防・安全を第一に考えて、無理をせずに出来ることをしていきたいと思っています。 引き続き、皆さまの温かい応援やサポートをどうぞよろしくお願い申し上げます。


(久我祐子)


2020-6-20 南アフリカ

コロナ禍における南アのロックダウン(3)
 ~有機農業塾周辺の人々の動き~


アボカド売りの少年たち

ンギディさんの畑

 ロックダウン中、農業塾も基本的には閉鎖となったため、日頃農業塾で畑仕事をしている地域住民は、家の敷地内で畑作りをしたが、ンギディ氏や一部の近隣住民は継続して農業塾敷地内で畑作りを行った。農業塾メンバーたちは、レベル3に引き下げられた6月初旬から敷地内の草刈りや清掃を行い、再開の準備を進めている。 農業塾の中心メンバーであるボングムーサ、ンコリシがダーバンに短期契約の仕事に行っている間、近くに住む卒業生のトラさん(女性)が農業塾の管理をしてくれた。敷地の清掃の際にはトラさんのお父さんまで手伝ってくれたと言う。農業塾が地域の人たちに守られ、大切に使われていることをうれしく思った。

 卒業生のチリザさんはムシカジ山のふもとの広大な畑でバターナッツを生産し、ロックダウン中も継続して収穫、販売を行った。その後、家の周りの土地を利用して豆の栽培を行っており、すでに販売も始まっている。車を持たないチリザさんは、家からムシカジ山のふもとの畑まで徒歩で片道3時間かけて通っていた。もう少し近くに十分な広さの敷地があれば、と探していたところ、以前州農業省のコミュニティー菜園として使われ、現在は利用されていない土地を紹介され、地域の若者7名と活動開始の準備を進めている。

 政府は大統領を筆頭に農業省、遠隔地域開発省、経済開発省など各省が“食糧生産は重要な産業であり、雇用促進にもつながる”と明言しており、また健康志向などで有機作物の需要も高まってきていることから、チリザさんが有機農業のロールモデルとして、地域で広く認識されることを期待している。チリザさんの畑には近所の人たちが収穫物だけでなく苗も買いに来て畑作りをしていると言う。彼の活動は多くの人々に影響を与えており、農業塾の“アンバサダー”として活躍してくれている。


「これからどう生きていけばいいのか」を考え何かにトライする時間

 ロックダウン直前に農業塾で開催された研修会に参加した若者たちは、この期間を利用して家庭菜園の実地を行った。6月初めからはザマ氏が時間を見て彼らの畑を訪問し、サポート・アドバイスを行っており、小さなグループでの活動も見られるようになった。山間部地域住民も畑作りを継続して行っているが、レベル5、レベル4の期間には、家の敷地内で畑仕事をしていて警察官に“家に入れ”と怒られた事例もあったと言う。ロックダウン中は南ア全土でこのような軍や警察による威圧的な取り締まりが見られたが、それでも全体的に遠隔地域は町中よりも緊張感が低かったと言えるだろう。

 ロックダウンレベル5と4の際には、スーパーに買い物に出かけてもさすがにぶらぶらしている子供たちは見かけなかった。6月に入り学校も2学年(7年生と12年生)が再開となって、すでに休みに飽き飽きしているといった感じで子供たちの遊ぶ姿が見られるようになった。先日農業塾を訪問した際、農業塾近くの未舗装道路の坂の上に、カートを押した2人の男の子の姿が見えた。近づいてみるとカートの中には大きなアボカドがたくさん入っており、売り歩いているのだった。値段を尋ねると2個で5ランド。家の庭で自然になっているのでコストはかかっていないとは言え、安い!私は20ランドで8個購入した。おそらく家族が近所の人たちに販売する姿を見ていたのだろうが、ロックダウン中ぶらぶらせず、時間を有効に使って商売を学んでいる子供たちを逞しく思った。

 農業塾からの帰り道、トゥートンの交差点に戻って来た時、ピックアップトラックにホウレン草を積んで販売している若者たちを見かけた。すぐうしろにボクサーという大きなスーパーマーケットがあるが、ここならレジで並ぶ必要もなく、人々が購入する姿が見られた。地域の若者たちが、誰かに言われるのではなく自分自身で何ができるのかを考え、行動する時が来たのだと感じた。コロナ禍はまだまだ続いており、社会がどうなって行くのか先行き不透明ではあるが、ロックダウンが私たちに“これからどう生きて行けばいいのか”を改めて考え、何かにトライしてみる時間をくれたのではないかと少し前向きな気持ちになった。


(TAAA南ア事務所 平林薫)


2020-5-23 南アフリカ

コロナ禍における南アのロックダウン(2)
 ~ロックダウン・ガーデニング~


MOATS敷地内

コミュニティー菜園

 今日の時点でも国内の感染者数、死者数は確実に増加しており、ロックダウンをしなければもっと大変なことになっていた可能性がある。“ウィルスから人々を守ること”と“経済を維持すること”の相対する難問に立ち向かうため、政府は大変難しい選択、対応をしなければならないことは理解できるが、南アのような社会状況の場合、ロックダウンが経済格差を浮き彫りにし、弊害を大きくしてしまったともいえる。

 コロナ禍は人種や性別、社会的地位等に関係なく、人々にとって“公平”に脅威であり、そのことが社会の連帯を深めたとはいえるだろう。テレビ局が募集した基金には視聴者から多くの募金が集まり、各地域のNPO等を通して食糧配給が行われている。現時点で食糧配給は最優先・最重要活動であると言えるが、気になるのは、政府も大企業・富裕層もいまだにハンドアウト(施し)で問題を解決しようという意識が強いことだ。何故“自分たちの手で作ろう”と言うメッセージを送らないのだろう。人々の自立に向けた技術習得や実践の機会を何故もっと増やさないのだろう。穿った見方をすれば、この大多数の人々には“労働力”として存在していて欲しいということなのだろうか。

 このような非常事態に少しでも自分たちの手で食糧を生産している人たちは強い。TAAAは2010年から2019年まで、JICA草の根技術協力事業として、学校や農業塾を拠点に有機菜園の普及活動をしてきたが、有機農業事業に携わった先生方から“ロックダウン・ガーデニング”というメッセージや写真を受取った。ムナフ小のルコジ先生はお孫さんと一緒に畑作りをしており、“TAAAの菜園プロジェクトで多くを学べたことに感謝し、今、周りの人たちに伝えている”と話す。

 昨年4月に地元に引き継がれた農業塾MOATSの敷地内では、農業塾の番人と呼ばれているンギディさんと地域のお母さんたちが継続して畑作りをしており、農業塾卒業生のチリザさんは、自分の畑で採れた収穫物をどんどんスーパーマーケットに販売して事業を拡張している。
 今回のコロナ禍は、世界中の人々にとって苦難となっているが、同時に私たち一人一人の生活、社会について改めて目を向け、少し立ち止まって考える機会となったのではないだろうか。“少しでも自分の手で食べ物を作る”ことの意義が深まってきたように感じている。

 前述の通り、学校はイースター休暇直前に突然の長期閉鎖に入ってしまい、休暇中に生徒に読書をさせるための本の貸出し等、十分な準備ができなかったことが残念である。現時点では6月1日より7年生と12年生が復帰し、その後段階的に他学年も復帰する予定であるが、再開後すぐに外の団体が学校訪問することを許可されるか、また図書活動を行う時間が十分に取れるか等は不確定である。現在は昨年末に日本から到着した本や算数セットを仕分けして、対象校別に箱作りを行っている。万一、しばらく学校訪問が難しいようであれば、対象地域のコミュニティーセンターに本を届けて、近くの生徒や住民に自由に読書をしてもらう等の活動を計画している。


(TAAA南ア事務所 平林薫)


2020-5-17 南アフリカ

コロナ禍における南アのロックダウン(1)
 ~最大の問題は食糧確保~


 3月27日から始まったロックダウンは、必需品購入以外“外出禁止”のレベル5が4月30日まで続き、5月1日からは少し緩和されてレベル4となった。レベル5の際には散歩も許されなかったが、現在は朝6時から9時まで限定でエクササイズが許可されている。買い物は近くのヒバディーンのスーパーで済ませていたが、レベル4になってからやっと少し先のショッピングセンターに行かれるようになった。以前、南アでは病院関係者以外マスクをする姿は全く見られなかったが、現在は外出時にマスク着用が義務付けられている。当初は医療用や建設作業用マスクをつける人が多かったが、手作りマスクから始まり、今では多様なマスクが販売されている。特にアフリカンプリントや南ア国旗のマスクはカラフルで洒落ていて、アフリカ人のアートセンスを感じさせる。

 南アのロックダウンでは酒・タバコの売買が禁止で、飲酒・喫煙者の多い南アでこの措置は人々にとってかなり厳しいものとなっている。集まって飲んだり、酔ってうろうろする人たちが“うつる・うつす”可能性が最も高いからで、タバコは紙巻きをして唾をつけたり、回し吸いや拾いタバコをする人もいるため禁止となった。ただ、どちらも闇取引が横行しているようで、警察の取り締まりも厳しい。皮肉にも“酔っ払い”がうろうろしなくなったことで犯罪は確実に減少しており、また、外出禁止で車の往来が減ったことから、交通事故も大幅に減少している。

 もちろんロックダウン中も老齢年金や子供の養育支援金等、社会保障の支給は継続しており、非常事態への対応として支給額の上乗せも決定した。加えて失業者保険として、月R350を半年間支給する制度もでき、連日登録希望者が長い列を作っている。スーパーの入り口でもそうだが、この長蛇の列はあちこちで見られ、つくづく“今の世の中、ソーシャルディスタンスは難しい”と感じる。特にタウンシップやインフォーマル(違法)居住地の人たちの多くは密集した形で生活しており、“トイレが外にあるのに外出しないわけにはいかない”“一部屋に家族全員が生活していて隔離など無理”と訴えている。

 ロックダウン中の最大の問題は人々の“食糧確保”である。レベル4になり、少しずつ仕事を再開する業界も見られるが、いまだにスーパー以外の小売店、飲食関係、娯楽、観光業界は滞っており、それらの業界を支えている多くの人たちが今後不安定な状況となっている。タウンシップやインフォーマル居住地ではこのような業界の、底辺ではあるが最も重要な仕事をしている人が多く、かつまた家庭での唯一の収入源である場合が多い。もともと失業率がとても高い南アでは、家族の社会保障金や、運よく職に就けた家族のそれほど多くない収入に頼って何とか生活している家庭が多く、ロックダウンによってこのバランスが崩れてしまったと言える。

 学校は3月20日から30日までイースター休暇の予定だったが、コロナ禍が広まり、早めに18日(実際には16日)から臨時休校となったままロックダウンに入ってしまった。世界中の国々で学校閉鎖による学業の遅れや再開に向けて混乱が続いているが、南アで学校閉鎖が長引くことは生徒の死活問題につながりかねない。前述のような環境で生活している子供たちは、学校給食が一日のうちで一番しっかりとした食事であるケースが多い。家族全員がおばあちゃんの年金に頼って生活している家庭の子供たちがお腹をすかせているのではないかと気がかりだ。ニュースの報道で、ケープタウンのタウンシップの女性が、“私たちはコロナではなく飢えで死んでしまう”と訴える姿に心が痛んだ。(続く)

(TAAA南ア事務所 平林薫)


2020-4-19 南アフリカ

現地で得た情報を紹介します<報告 その4>


Imbalecane小
コンテナ図書室

Mehlomnyama小でムタルメ学区インプレメロ小(元対象校)のンソミ先生と再会!

Umalusi小
図書室の時間割表

 図書プロジェクト訪問報告最終回では、日本での本の収集・種分けの際に役立ちそうな情報や現地でのミーティング等で知り得た情報を羅列的に紹介しておくことにします。

こんな本が欲しい
生徒・教員を含めてもっとあったらいいとしてあげたのは、絵本、世界地図、やさしめな読み物、算数・数学参考書、経済学、物理学、会計学、文学、聖書関連読み物、百科事典、詩集、演劇脚本、歌(特に霊歌)、現地語ズールー読本、教科書に沿った参考書で、最後の2種は、現地で調達してもらうものです。また、農業塾MOATSではリソースセンターに来る近くの大学生・専門学校生用に工学、ビジネス関係のものもあるとありがたいと言われました。
注目すべき運営アイデア
  • 図書委員会にSGB(School Governing Body)から保護者が参加している学校があった。
  • 図書室利用を年会費制とし、年1回5ランドを払って、会員証を受け取り、利用時に提示するというシステム導入(1校)。
    (会費は、日本からの支援終了後、自立した図書室維持費に充てる)
  • 学校が休みの土曜日に特に12年生用に開室時間を設定(高校中心に複数校)
要対応事項
  • コンテナ図書室の暑さ、寒さ対策
  • 必ずしもうまくいっていない複数の司書教諭の連携体制改善
    対応策: 図書委員会の会合やTAAA現地スタフ巡回訪問の際には全員の参加要請を!
  • 図書室に入ると「気取り屋」とみられるのを嫌って足が遠のきがちな高学年男子気風
    対応策:男性司書教員を増やすなど?
気になる南ア教育事情
  • 生徒が抱える生活苦は様々あるが、「妊娠」による学業の中断は深刻。学校教育では性教育が行われておらず、教員は妊娠する生徒への対応なども含めてソーシャル・ワーカー兼カウンセラーの役目を果たさざるを得ず、良心的な教員はオーバーワーク気味。
  • 今年は「読書年」と銘打たれ、就学前クラスから読書が奨励されているにもかかわらず、図書予算措置がない。今後さらに教育予算そのものが削減され、教員給与減額、生徒一人あたり×在籍者数で決まる各学校の予算も減額される見通し。使途別配分が決まっていて図書に流用するわけにもいかない。 (おわり)


(大友深雪)


2020-4-08 南アフリカ

図書委員会生徒も先生たちも頼もしく個性豊かだった
―2020年3月初旬の図書プロジェクト視察訪問報告その3―


平仮名に興味がある Umalusi小図書委員会生徒たちと

男子が積極的なMalusi高の図書委員会

 平林さんの発案で8つの小学校に配布され、比較的低めの目につきやすい本箱の上に立てかけられた「日本語・英語対照衝立」は、来室者に人気があり、そこに例示された日本語表現をすべて覚えて話しかけてくる生徒や、英和・和英辞典が欲しい、日本の料理・調理や着物に興味があると言ってくる生徒や、ひらがなの模写に挑戦してくれた生徒に出会えて、日本・日本語への興味の広がりとスポンジのような吸収力に驚かされました。


 図書委員会活動には8人のメンバーにボランティアが何人か加わっているところもあり、総じて女子の方が多いようでしたが、特に男性司書教諭がいるところでは、男子の活躍も目立っていました。図書委員会生徒12人中8人が男子で、今回の訪問時には男性の司書教諭と男子図書委員2名が居合わせたある高校図書室で印象に残ったのは、司書教諭からも頼られ丁度貸し出し帳の整理・確認に夢中だった小学生と間違うほど小柄な9年生委員に「もっと欲しい本のジャンルは?」と声をかけたところ、ほぼ反射的に「経済、物理、文学、小説」という即答が返ってきたことでした。またこの高校でも新聞がかなり貯めてあるので、司書教諭にその辺の事情を訊くと、新聞は古くてもよい教材になるので、地元で集めてくるとのことでした。新聞を手に入れられる家庭は殆どないでしょうから、新聞を学校で読めるのは貴重なことなのだろうと思いました。  



パワーと個性あふれるDuduzile中学
図書委員会メンバー

1ミリのズレも許さず本を並べる図書委員会生徒
"I like reading too much.”

 司書教諭の個性・実力にも負うところ大と感心させられたのは、3人(そのうち1人が男性)の司書教輸にも恵まれ、「言うことなし」の運営をしていたある中学校でのことでした。「8年生は一クラス60人で、3クラスあり、各クラスには5人以上『本来の分類』だとスペシャル・スクールに行く生徒がいて、とても大変だけど、なんとかやっていかないと。だから、この子たち用に読み易くて楽しい読み物が欲しいの」と話してくれた中年のベテラン司書教諭が中心となり、図書委員会が頻繁に開かれているとのこと、訪問時の図書室も休み時間にはごった返すほど満員になっていました。もう一人の若くて元気な女性司書教諭が、5月か6月に8年生各クラスを対象に、クラス訪問セミナーを自分の担当教科のライフ・オリエンテーションと図書プロジェクトをタイアップさせる形で実施する計画について平林さんと打ち合わせをしている姿はとても頼もしいものでした。  


 最後にこの同じ中学校でのすてきなエピソードを聞いてください。私たちがいる間ずっと他のメンバーとは少し離れて1人真剣に本の並びを整えている男子生徒に目をとめた久我さんが、 「何を読んでいるの?」と聞いたところ「動物」という答えが返ってきたので、久我さんは、「動物が好きなんだ」と応じると「いや、嫌いです」と。 「ではどうして動物の本を読んでいるの?」と久我さんならではの?再質問には、「本が好きでたまらないから」ということだったそうです。 図書室はこんな生徒にとっての大切な生活空間にもなっていたのです。(続く)  


(大友深雪)


2020-3-29 南アフリカ

名前のある図書室・絵やポスターで飾られた図書室
―2020年3月初旬の図書プロジェクト視察訪問報告その2―


Bright Future Libraryの委員会生徒たち

Dweshula小の図書室「Funda Natsi (read wih me)」

 校長さんが組合活動にも熱心で不在なことも多いという学校の図書室を訪問した時、一人の図書委員が新聞を抱えて図書室に入って来たので、どうしたのか聞くと、校長先生が図書室用に確保してきてくれたとのことでした。Funda Nathi(Read with usの意)と図書委員会が名付けたその図書室では、修理が必要な本を入れるBook Hospitalと可愛く名うたれた大きな箱が本棚の上に用意されているのが目にとまり、「なるほど」と感心しながらも、修理して送るべきか、送るのを断念するべきかで悩まされる日本での種分け・荷造り時のことが頭をよぎった瞬間でもありました。


 図書室に学校名ではなく独自の名前をつけているところが他にも2校あり、一つはBright Future Library、もう一つはVukukhanye(Wake up Brightの意)というものでした。私たち訪問者にズールー語の名前を付けて楽しませてくれる現地の人たちの豊かな言葉文化に通じるものを感じました。



生徒が壁に絵を描くNANI高の図書室

天井にも手作りの飾りが一杯

 文化と言えば、本棚の上方や間の壁に図書委員たちが描いた絵には見とれてしまうほど魅力的なものもあり、訪問した丁度その時に、コンテナ図書室の天井に色紙を切りぬいた動物や文字を楽しげに張り巡らしている図書委員たちにも出くわしました。



Malusi高の図書室に貼られたポスター

Malusi高図書室のジェンダー問題ポスター

Mgamula高の図書委員会体制一覧

 また、“It is my right to read” といった格調高い標語や、Children’s Rights and Responsibilities とか Gender Issues とかの表題のついた長文のポスターが所狭しと掲示してあり、どこから手に入れてくるのか聞き損ねましたが、日本の学校図書室には期待できなさそうなその啓発性に注目させられました。


Umalusi小図書委員会生徒たちと

Umalusi小図書室利用ルール

修理が必要な本を入れるBOOK HOSPITAL

 特に小学校では曜日毎に使用学年が振り当てられていて、教師付き添いで生徒に本を選ばせ、教室に持ち帰り、教室で読んで、返却するというシステムをとっていました。同じ本が数十冊あるワークブックやペーパーバック読み物は授業直前に教室に運んで副教材として使える制度としても活用できるものだと思いました。(続く)


(大友深雪)


2020-3-19 南アフリカ

学校図書室には個性豊かな「アナログ文化」が咲き誇っていた
―2020年3月初旬の図書プロジェクト視察訪問報告その1―

 2018年6月の現地訪問以来、1年半ぶりの南アでした。コロナ感染がアフリカにも広がり始めた時期で、3月1日の入国・11日の出国・帰国が心配され、断続的な「断水」と「計画停電」を経験して、南アそして地球の資源分配の行く末を案じながらの滞在でしたが、プロジェクト視察訪問は何とか無事に果たしてきました。

 今回の主な訪問先は、2013年から2019年3月までクワズールー・ナタール州ウグ郡ムタルメ・トゥートン学区で実施した図書プロジェクトの応用的継承をめざした隣接のドエシューラ学区の12校の図書室でした。日本NGO連携無償資金協力事業「ドゥエシューラ学区の生徒の経済・社会参加に向けた学力向上と基礎技能習得」 として2019年9月から開始し、校内に図書室を作るスペースがない4校にはコンテナ図書室を設置(うち1校へは(一財)ひろしま・祈りの石国際協力交流財団より寄贈)、スペースのある8校では、図書室確保のための空き教室・校内倉庫などの大掃除・改装作業や本棚注文・備品設置を行ったり、改善・全面的模様替えを経て、全12校でスペースとしての図書室を整えました。

 図書室の物理的セットアップと同時進行的に、図書委員会(図書司書教員2~3名と選出方法は各校一任の図書委員生徒原則8名で構成)の発足、委員会メンバーへの図書運営方法の手ほどき(蔵書受け入れ・記帳、図書分類法による蔵書整理、貸し出しルール等運営方針書作り、貸し出し帳・利用者記録簿作成、読書・自習スペース整備)、図書司書教諭への研修などが実施されました。

 12校中準備が遅れていた最後の学校で図書室お披露目テープカットや朝会での全校生徒への図書活動開始宣言イヴェントが行われたのが、2月末で、私たちの訪問時には12校すべてで、図書活動が始まっていたのです。

 12校に絞ったことで可能になった現地プロジェクトマネージャーの平林さんと現地図書指導員のモンドリさんによるこまめな巡回訪問支援の大きな効果もさることながら、学校によって温度差はありながらも、教科書以外本を見たこともなかった子ども達の並々ならぬ好奇心・学習意欲・芸術的表現力並びに図書司書教諭や管理職の知恵・熱意・協力が結実した姿をあちこちで実感できた図書室視察訪問となりました。

 <報告その2>では、そんな姿のいくつかを紹介したいと思います。


(大友深雪)


2020-3-7 南アフリカ

TAAA対象校を訪問 (2)


 最後に訪問したのが、MEHLOMNYAMA小で、サッカーボールが届いた先の学校である。日本の学校名が入ったボールでのサッカーの練習風景を見学させてもらった。ボールを寄付してもらったサッカー部の顧問から、私が出発する前にユニホームを預かった。そのユニホームをキャプテンの子が着てゲームをしている。約半年前に、我が家で空気を抜いたボールが、今は南アフリカの子どもたちに引き継がれ、子どもたちは笑顔で溢れている。とても感動的な瞬間だ。やっぱり世界はつながっているとつくづく思う。早く日本の子どもたちにも、この様子を知らせてあげたいと思った。

 アパルトヘイトが撤廃され、「これで南アフリカが変わる」と、誰もがそう思っていた。だが、どうなのだろうか。ダーバンの街中に行けば、ストリート・チルドレンを見かける。電気・水道の通っていない家。駐車場で声をかけてきた青年など。以前に住んでいた頃の南アフリカと比べ、何が改善されたのだろうか。夕方、ロッジのテラスで、一人の黒人青年がぼーっと大西洋を眺めていた。しばらくして、声をかけてみた。彼は笑いながら近くに寄って来てくれたので、「南アフリカは、どう」と、尋ねてみた。彼は、「政府は崩壊(collapse)している。あとは神に祈るだけだ」と答えた。彼は30歳代くらいで、子どもは5人いるが、仕事はあまりないと言う。「でも、マンデラは好きだ」と言ったのが、とても印象的だった。



寄贈されたサッカーボールと
ユニホーム(後ろ右から4人目)

 この訪問を通して、教育という視点から見ると、個性豊かな校長先生のマネジメントで、これほどまでに学校の雰囲気が変わるものなのかと少々驚いた。南アフリカでも、教育委員会に近い組織はあるものの、これほどトップダウンで進められてしまうと、教師のモチベーションは保たれるのだろうかと少々心配した。同時に、学校格差が広がることで、子どもたちがもっている本来の個性や適性、将来性の芽が摘み取られてしまわないかと不安を感じたことも事実である。最後に訪問した学校では、子どもたちが斜面になっている場所を利用して、空中前転をやっていた。ジャンプ台は石だ。きれいに宙を舞っている子。頭から落ちて痛そうにしている子などさまざま。日本では、100パーセントありえない光景だ。ただ、経験から学べる知識や技能もある。その線引きの違いは、国によってこれほどまでに違うものなのかと改めて思い知らされた、でも、私はこの南アフリカで見た光景、決して嫌いではない。むしろ、私が幼少期を過ごした頃と同じで、とても懐かしい感じがする。

 今回の訪問で、最も強く印象に残っていることは、子どもたちを直接指導する立場にある教員の育成だった。訪問したほとんどの学校で見られた教師の一方通行的な授業。換言すれば、子どもの主体的な活動があまり見られない授業マネジメントで、もっと子どもたちに考えさせたり、意見を交換させたりしながら、互いを理解し考えを深めていく場面が必要であると感じた。子どもたちの学ぶ意欲は高い。だからこそ、教師がもう一工夫できていれば、子どもたちの知識や経験はもっと深まり、主体的な生き方にもつながっていくはずである。

 また、訪問した多くの学校では、国の教育方針の下、数学(算数)と英語にかなりの重きが置かれているように感じた。確かに、将来の仕事を見据えれば、これらの教科が重要な役割を担っていることは理解できる。しかし、教育は人格の完成を目指すものである。一人ひとりの個性や適性が埋もれてしまわないようにすることも学校や大人たちの役割である。また、日本でも、「社会に開かれた教育課程」の必要性が叫ばれているが、まさに「学習は学校の中だけでは完結しない」という方向性をしっかりと打ち出し、家庭や地域を巻き込み、学校での学びを実際の生活や実社会とどうつなげていくか、そのような点を改革していく必要があると感じた。きっと、10年後、20年後には、違った国の姿が見えてくるはずだ。そして、それこそがSDGs(持続可能な開発目標)の目指す教育の姿ではないかと思う。

 日本人学校に勤務した時、マンデラ大統領の就任式が行われている広場に行ったことがきっかけとなり、学校に行けない子どもたちと出会うことにつながった。彼らとの出会いがあり、私はいつかこのような子どもたちの支えになりたいと思うようになった。30年にわたる日本での教職生活を終えても、それが私のゴールではなく、次の目標へのステップとなっている。今回の訪問は、その一段である。
 私は、この出会いにとても感謝している。


(原山浩司  編集:TAAA)


2020-2-29 南アフリカ

TAAA対象校を訪問 (1)


 この度、長年教師をされてきた原山浩司様がTAAAの対象校を訪問してくださりました。
 原山さんは今年8月にみどり市立大間々中学校に声をかけサッカーボールを集めてくださり、
今回、ボール寄附先の学校も訪問されました。2回に分けて、原山さんの訪問記をご紹介いた
します。(TAAA編者)



MBALENCANE小学校のコンテナ図書室

 今回、私のアフリカ訪問のきっかけは、南アフリカ共和国ヨハネスブルグ日本人学校に3年間家族とともに赴任した年に、ネルソン・マンデラ大統領の就任式が行われている広場に行き、黒人たちの歓喜の渦の中で一緒に喜びを分かち合った。これが私のアフリカとの出会いの始まりである。

 その後、学校に通うことのできない子どもたちとも僅かながら触れ合うこともできた。その頃から、私はいつかこの子どもたちのための支えになりたいと思い始め、今日につながっている。そして、自分の経験を生かすことのできる「教育」を視点に、現地に赴いて教育や子どもたちの支援にかかわる活動をしている日本人や現地の人たちと会い、それらの活動やそこに暮らす人々の生活を通して、具体的な問題点や自分にできることを探ってくることにした。

 2月11日、南アフリカに到着し、ダーバンからヒバディーンに向かう。 今回、縁あって私の地元の中学校から使わなくなったサッカーボールを寄付してもらい、それがヒバディーンから30キロ程奥に入った学校で使用されていることを知り訪問した。同時に、TAAAが日本で集めた英語図書を近くの小学校や高校に配布しているということなので見学させてもらった。地方の学校には図書室がなく、教科書以外の本はほとんど見当たらず、本屋などもない。そのため、本を読む習慣はないと言う。また、南アフリカで人気のあるスポーツの一つはサッカーである。しかし、地方の学校にはボールがない所もあると言う。犯罪やドラッグに巻き込まれやすい環境でも、ボール一つあればそれが楽しみで、学校に行くという子どももいるそうだ。



NANI高校の図書室にて

 TAAAの平林さんは、20年以上にもわたり南アフリカで活動をしておられる方で、今では日本と南アフリカをつなぐ存在である。大西洋岸からどんどん離れ、舗装されていない道を一時間ほど進んだところで、最初の訪問校であるNANI高に到着。この学校には、半年前から図書の寄贈を始め、既に1000冊に達しているそうだ。一日平均10人の生徒が本を借りていると言う。貸出帳もしっかりと備えられ、分類番号によって棚ごとに整理された本が並んでいる。図書室に案内された段階で、図書が有効に活用されていることが分かった。改めて本を入手することが困難なこの地域で、この活動の意義はとても大きなものであると感じた。

 次に、MBALENCANE小を訪問した。ここは児童数1000人の中庭がきれいに整美されている大きな小学校である。コンテナを再利用した図書室は、配布され始めたばかりであるために本の数は決して多くはないが、きちんと整理されていて図書への期待感が伝わってきた。



MGAMULE高校 図書委員会生徒たちと

 続いて、MGAMULE高を訪問した。こちらもコンテナを再利用した図書室であり、その中には図書室の利用の仕方や貸し出しの決まり、図書の目的等がちょうど掲示されるところであった。図書委員のメンバーが自主的・意欲的に活動している姿がとても印象的であった。

 インターネット等の普及により、いつでも必要とする情報は手に入る時代となった。それが一つの原因となって、日本でも、特に子どもたちの図書離れや読書時間の減少が危惧されている。しかし、世界に目を向ければ、情報ネットワークの整備がされていなかったり、ましてやそのための機器を購入したりするなどが困難な現状が多く見られる。それを補うことができるのが図書(館)である。ケニア政府もそうであるが、「教育には力を入れていく」という。だとするならば、住民が教育や文化、産業などの課題解決につながる資料や情報に接する機会を増やしていくことを優先的に考えていく必要があると思う。そして、いつの日か日本の図書文化と現地の図書への情熱が融合し、新たな図書文化が子どもたちの成長につながっていくことを期待したい。 (続く)


(原山浩司  編集:TAAA)


2020-2-1 南アフリカ

アンバサダーが活躍するMOATS

 小学校の敷地内に有機農業塾を設立し地域住民に有機菜園指導を行ってきたJICA草の根事業「有機農業塾を拠点とした農村作り」は2019年4月末で終了しましたが、有機農業塾MOATSと事業内容は、終了後、非営利会社(Non profit company)として地元に引き継がれました。JICA事業期間中にカウンターパートだった州環境省のザマ氏と地元スタッフ2人が中心となり、日本からの事業資金で運営されていた状態から、資金も車も給料もない完全地元ボランティア運営へと大転換を果たしたのでした。

 TAAAは、NPC(Non Profit Company)MOATSから四半期毎の事業報告をいただいています。報告からは、様々な困難はあるものの、地元にあるリソースをフルに活用しながら、地元に着実に根付いている様子が見えてきます。

 州環境省、地元NGO、地域グループなどとネットワーキングを構築していることにも頼もしいものを感じますが、私が特に目を見張るのは、農業塾の卒業生としっかり繋がり、彼らをリソースとして地域の有機農業促進へ活かしているやり方です。

 農業塾の卒業生のなかには、プロの農家として会社を立ち上げたチリザ氏を筆頭に専業農家や兼業農家になった人や、協同組合や地域菜園グループを立ち上げてグループで畑作りをする人達が出てきて、彼らは今でもMOATSと繋がり協力し合っています。MOATSは彼ら積極的な卒業生ファーマーのなかから、地元で有機農業を普及するリーダーとして7名を選び、リーダーシップ・トレーニングを提供しました。トレーニングを受けた7名は“アンバサダー”となり、「有機菜園を始めたい」という近隣住民を指導するようになりました。このやり方は、地元での有機菜園の普及に大変効果的で、アンバサダーの何人かは、各自で菜園グループを立ち上げ、その中から指導できるファーマーが育つなど、アンバサダーの周辺では、着実に家庭菜園や菜園プロジェクトが増えてきているそうです。

 私はこのアンバサダーという自尊心を向上させる名称に、脱帽しました。 産業が少なく多くの若者が失業している地域です。健全な自尊心を育む機会が少なかったがために、大きな潜在能力を持ちながらも自分に自信を持てずに発揮できていない地元の若者を大勢見てきました。逆に、ちょっとした自尊心の向上で、大きく成長した若者たちにも会ってきました。「アンバサダー」と呼ばれる彼らの誇らしげな顔が目に浮かんできます。

 JICA事業期間中は、地域に「ないもの」ではなく「あるもの」に目を向けて、地元のリソースを活用していくことを目標にしていました。なかでも一番大切なリソースはヒューマンパワーで、人に目を向けて働きかけることを、私たちは全ての活動においてとても大切にしています。MOATSはTAAAの考えを地元流にさらにパワーアップして引き継いでくれています。様々な課題はあるものの、地元の人々を精神的にも技術的にもエンパワーしながら、彼らと一緒に着実に成長していこうとするMOATをこれからも熱く応援していきたいと思っています。


(久我祐子)


2019-12-18 日本

今年最後の梱包作業・忘年会・現地図書活動報告会


 12月第3日曜の15日には、一時帰国中の現地プロジェクトマネージャーの平林薫さんに加わっていただき、年度末としては集まりがやや少なめの7人で、10時から12時まで、本の種分け・梱包とサッカーボールの空気抜きに取り組み、最終的に完成した梱包箱は20ほどになりました。お寄せ頂く本は、①就学前・小・中学校 ②高校 ③専門・大学 ④大人用(ペーパーバッグ中心) ⑤農業 ⑥スポーツ ⑦美術 ⑧宗教 ⑨辞書・百科事典 ⑩日本関係というような種類に分けて梱包しておりますが、②の高校生向けが圧倒的に多く、①の小学生用は、思わず「素敵!」と声を上げて読み始めてしまうものもたくさんあるのですが、絶対数が少ないという残念な実情を、今日も痛感させられました。

 12時からは、恒例の鍋忘年会で、1960年代のヨーロッパ・日本・中国、参加者の学生時代、会話を通して想像のつく相手の経済状況、南ア航空のような大企業の倒産寸前の意味するところなどが話題になりました。

 忘年会後は、平林さんからの現地プロジェクト報告を受けました。外務省のNGO連携無償資金協力事業で2013年から支援対象としてきたムタルメ/トゥートン学区から同じウムズンベ州のドゥエシューラ学区に移動して今年9月から始めた新規図書支援活動が3ヶ月余りを経て、対象12校(小7校、中・高5校)で順調に進んでいる様子が、映像を交えて報告されました。

 援助対象高校の図書委員会での高校生時代の活躍を契機に、TAAAの図書プロジェクト・ファシリテーター役を担ってきたモンドリさんが、先行プロジェクトでの経験を生かして、新規12校での2月からの貸し出し開始を実現すべく、平林さんの右腕となって図書室整備と図書委員会活動の立ち上げに尽力している様子やこれまで平林さんが築いてきた地域の教育関係者とのつながりがあちこちで生きて、協力も得られている様子が伝わってきました。
 その一方で図書司書の学位を持つのに実践の機会に恵まれて来なかった若者にも、モンドリさんのように司書学歴はなくても図書活動の実践を積んで実力のある若者にも、経済的に自立できる道を保障できないことに象徴される南アの現状は、日本の今の若者の置かれた厳しい状況にも繋がることを思わずにはいられませんでした。

 ヨーロッパ系やインド系に互してやっていくためにはアフリカ系が身につける必要があると平林さんが強調していた「マネージメント力」とはなんぞやということも合わせて考えさせられました。最後にOrigami for Africaの木村香子さん創作の美しくかつ実用的なしおりが、今後南アの学校図書室にも紹介される予定であることが報告されました。


(大友深雪)


2019-11-2 南アフリカ

ドゥエシューラ学区に移って2ヶ月経ちました


Cophela小本棚設置

Malusi高で書籍の登録作業

 これまで長く支援活動を行ってきたムタルメ地域を離れ、新しくドゥエシューラ学区での図書事業が始まってちょうど2カ月となる。同学区での活動は初めてであるが、実は地域自体にはかなり前から馴染みがあった。2010年に開始となったJICA学校菜園事業および図書事業の対象地域の一つであるプンガシェの学校を訪問する際に、いつもドゥエシューラ学区内を通過していたのだ。当時はスタッフのマイケルさんと主に移動図書館車を利用して学校訪問をしており、道路沿いの学校の生徒たちが興味深そうに図書館車を見つめたり、手を振ったりしていたことが印象に残っている。マイケルさんとも“これらの学校を通り過ぎちゃって何か悪いね。サポートしてあげられたらいいのだけど”なんて話をしていた。特に道路に面した学校で大きな看板が出ている“Imbalencane Primary”は、caの発音がチャになり、前を通るたびに“インバレンチャネ”と発音練習をしていたことを覚えている。また、途中にJAPANという名の酒屋さんがあり、“何で酒屋がJAPANってつけたんだろうね”なんて笑っていた。今度こそは理由を聞いてみたいと思っている。



Dweshula小にコンテナー図書室設置

 ムタルメ地域では最大42校への支援を行っていたが、今回は図書活動が全く初めて、もしくはある程度の設備はあるが活動が行われていない学校のため、対象校を12校とし、じっくりと時間をかけて活動を行っている。現在は図書室の設置もしくは改善に取り組んでいるところで、スペースのない4校へのコンテナー図書室設置も完了した(3校へは日本NGO連携無償資金協力より、1校へはひろしま祈りの石財団より寄贈)。対象地域ドゥエシューラ学区長のザミサさんは、以前ムタルメ学区長だった際に協力して活動を行った間柄であり、“ぜひドゥエシューラ学区への支援をお願いしたい”というリクエストを受けていた。今回ドゥエシューラ学区での図書活動が決まったことを大変喜んでおり、校長を対象とした会議ではTAAAのムタルメ学区での事業の話や、新規図書活動への積極的な参加とサポートを各校長に強く呼びかけてくれた。万一、何らかの問題が見えてきたときには“ザミサさんに言っちゃうぞ~”という切り札を持ったことになる。

 対象校の一つMehlomnyama Primaryも道路沿いに看板が出ていて印象に残っていた。最初の訪問日に門を通ると、青々としたホウレン草やニンジン・タマネギが育っている学校菜園が目に入った。スタッフのモンドリと“この地域でもすでに畑作りをしている学校があるんだね”と話をしていたところに“いらっしゃ~い”と出迎えてくれたのが、何とムタルメ地域のインプメレロ小で菜園担当をしてくれたムソミ先生だった。先生が“田舎の方”に転勤されたということは聞いていたが、まさか新規対象校の先生だったとはびっくり。新任地でも有機畑作りをしっかりと続けてくださっていて感激だった。ムソミ先生のお孫さんも同校に通っており、早速図書委員会メンバーに参加してくれた。そしてつい最近、対象校のMgamule高にコンテナー図書室を設置した際、学校のすぐ隣の家からムソミ先生が現れ、またまたびっくり。彼女の実家でお父さまが亡くなり、お葬式の準備をしているところだった。新規事業でムソミ先生と再会し、また一緒に活動ができることをとてもうれしく思っている。

 ムタルメ地域で有機学校菜園事業を行っていた際、他地域への広がりを目的とした活動として、今回の対象校であるUmalusi Primaryで有機農業研修を行ったことがあった。当時ファシリテーターであったシャリさんのお父さんが同校の教師で、ぜひ有機学校菜園を行いたいというリクエストを受けたのだった。その際に校長から“できたら図書活動の方も支援をお願いしたい”と言われていたのだが、なかなかリクエストに応えることができず、今回対象校として訪問したが、校長はすでに今年初めに退職されていた。シャリさんのお父さんは現役で教鞭をとっており(顔や姿が瓜二つ)、やはり畑作りや庭仕事が大好きで、シャリさんはきっとお父さんから影響を受けたのだと感じた。

 これまでに活動を通して知り合った先生方からは多くを学ばせてもらい、たくさんの経験や思い出ができた。新規事業もスタッフのモンドリと共に順調なスタートを切ったところで、今後、対象校の先生方や生徒たちとの活動や交流をとても楽しみにしている。


(プロジェクトマネージャー 平林薫)


2019-9-28 南アフリカ

新規対象学区で図書活動が始まりました


Nani高図書室設置予定教室と委員会メンバー

本の受け入れ登録をするDuduzile中生徒

 TAAAは、6年間支援してきたムタルメ・トゥートン学区(クワズールーナタール州ウグ郡ウムズンベ自治区内)を去り、9月から近隣のドゥエシューラ学区で新たに学校図書支援活動を始めました。
 外務省NGO連携無償資金協力事業「ドゥエシューラ学区の生徒の経済・社会参加に向けた学力向上と基礎技能習得」として、同学区の小学校から高校までの12校を対象に、英語力向上を目指した学校図書支援活動とパソコン基礎技能指導(2年目に予定)を行っていきます。
 ほとんどの学校に図書室がなく、本といえば教科書しかないという環境からのスタートとなりますが、ムタルメ・トゥートンでの経験を生かし、教師と生徒と一緒に楽しみながら活動していきたいと思っています。



研修会でグループワークをする司書教師

 スペースのある学校には空いている一室を使い、スペースのない学校にはコンテナを設置して図書室を作っていきますが、同時進行で、各校で8名の生徒と2名の司書教師からなる図書委員会を設立し、彼らが図書室の運営・管理、図書推進活動が出来るように指導していきます。図書委員会には図書室設置の段階から関わってもらい、生徒、教師、TAAAが力を合わせ、学び合いながら一から図書室を作り上げていきます。「自分たちが汗水たらして作った図書室!」という自負心が、その後の活動のエンジンやアクセルになっていく。ムタルメ・トゥートン学区での経験から学んだことです。

 すでに多くの学校で生徒と司書教師が選任されて図書委員会が出来上がり、司書教師対象の研修会も開催しました。司書教師といってもほとんどが英語教師で図書運営の経験はありません。この事業を通して司書教師になって行きます。研修会では、ELISTからのファシリテーターの説明の他に、TAAA図書指導員であるモンドリに“高校の図書委員会メンバーとしての経験とTAAAのプロジェクト担当としての経験”を伝えてもらいました。モンドリは、ムタルメ・トゥートン学区の元TAAA対象校で図書委員会生徒として大活躍し、卒業後はTAAAスタッフとして多くの学校の図書委員会生徒たちを指導してきました。教師たちは、モンドリの話に興味を示し、耳を傾けていました。

 図書委員会生徒たちも活動を開始しました。ドゥドゥディレ中学校では、図書室の設置はこれからですが、それに先立ち、委員会生徒たちを中心に図書の登録作業を始めました。一日で300冊も登録したそうです。

 TAAAのモットーは“プロジェクトリーダーは生徒たち”。主役である生徒たちを指導し、生徒を導く教師たちにアドバイスをし、一緒に考えながら彼らの頑張りを支えていくのがTAAAの仕事です。新規学区での図書支援活動は、いい感じでスタートしました。


(久我祐子)


2019-8-21 日本

本の梱包と「ぐりとぐら」民族語ラベル貼り(2019年8月18日)

 毎日の猛暑にもめげず、11人のボランティアがさいたま市の作業場に集まりました。毎月第3日曜日の10時から12時までがTAAAの作業の日です。
 前半と後半、二手に分かれて、絵本「ぐりとぐら」にズールー語訳のラベルを貼る仕事と英語の本やサッカーボールを梱包する仕事を交代で行ないました。梱包作業はエアコンのない作業場で行ないます。きょうは、SMBCグループから、ボランティアを希望された4人のかたが見えました。このうち、Aさんと小学生のお嬢さんとBさんは昨年の8月にも参加されたリピーターのかたでした。CさんはSMBCグループから来られて今では、毎月、参加してくださっています。20キロ以上にもなる梱包された段ボールの重さを測り、高く積み上げるなどの力仕事を引き受けてくださる頼もしい存在です。
 TAAAの中心のスタッフは20年~30年のベテランが多いのですが、最年少のスタッフDくんは小学生の時、お母さんと一緒に来られて、その後、中3で再度、スタッフとして作業に参加。高1の今夏、南アのスタディツアでケープタウンのタウンシップを訪ねて来られました。
 いま、作業場の半分は、うずたかく積まれた420個を超える段ボールでいっぱいです。これは9月には発送。10月位に南アフリカのTAAA事務所に到着の予定です。


(野田千香子)


2019-7-14 ウガンダ

ウガンダの子ども達に本を寄贈しました


 ウガンダ共和国にある「あしながウガンダ」の子ども達に、少しばかりですが英語の本を寄贈させていただきました。
 現地代表の今村さんから子ども達の写真とご報告が届きましたので、ご紹介いたします。


あしながウガンダレインボーハウス、TAAAからの英語図書寄贈について


 あしながウガンダレインボーハウスは、2003年に、ウガンダの首都カンパラ郊外にあるナンサナ地域に開設されました。当時、ウガンダは世界に広く拡大したHIV/AIDSの影響を最も大きく受け、それが原因の1つともなり、多くの遺児を発生させました。
 あしながウガンダレインボーハウスは、HIV/AIDSで親を亡くした子どもたちに対する心のケアを行う施設として開設され、その後、2008年には、経済的理由から小学校にも通えなくなった子どもたちに対する教育事業(Terakoya)を開始しました。現在は、理由を問わず、親を亡くした子ども達を対象としています。ウガンダでは、初等教育の授業料は無償ですが、学用品や給食代などの経費は各家庭負担です。したがって、親を亡くした子どもたちの中には経済的理由から就学できなくなる子が少なくありません。そうした子どもたちに公教育と同じ教育機会を提供し、修了後は、若干の奨学金とともに公教育に戻ってもらうことを目的として、Terakoya事業を実施、現在は、日本でいうところの年長クラスから3年生までの69名が勉強しています。
 ウガンダでは、英語が公用語の1つとして定められていますが、家庭での言語は現地語であることが通常で、子どもたちは学校で始めて体系的に英語を習うことになります。そのために英語の授業及び読書(Reading)クラスを設けていますが、教科書も1人1冊とはいかず、コピーで対応している他、副読本も圧倒的に不足しています。町中の本屋さんにも子ども向け図書はありますが、学習用に適した本となると種類も数も多くありません。
 そこで、今回、会議での帰国時に、旧知のTAAA元代表である野田さんに、ご寄付の可能性をお伺いしたところ、代表の久我さんにもお話いただき、ご快諾をいただきました。
 7月初めに持ち帰り、子どもたちに紹介、手渡したところ、大変な喜びようでした。授業での利用はもとより、読書という新しい習慣をつけてもらうべく、今後有効に活用していきたいと考えています。
 改めて、皆様にお礼申し上げます。

あしながウガンダ現地代表
今村嘉宏


(久我)


2019-5-22 南アフリカ

JICA事業終了と農業塾のこれから

 JICA草の根技術協力事業“有機農業塾を拠点とした農村作り”は4月15日に無事完了した。現地でMOATS(Mthwalume Organic Agricultural Training Schoolの頭文字)と呼ばれている農業塾は、事業終了までにNPC(Non Profit Company非営利会社)に登録され、カウンターパートとして多大なサポートを下さった州環境省のザマ氏、指導員として活躍した地元在住のグメデ氏とジュワラ氏をメンバーに再スタートを切った。

 コロコロ・トフェット地域の人たちへの有機農業研修、農業塾でのトレーニングコース、学校での有機菜園活動と生徒の家庭菜園作り促進を中心とした活動は、2年9ヶ月とそれほど長くはない期間の中で、地域の人たちに有機農業への関心を高めることができたのではないかと考える。地域の特に女性は農業に慣れ親しんでいる人もいることから、有機農業研修を受けるとすぐに活動に取り組むことができた。学校でも好き嫌いはあるものの、生徒はすんなりと活動に馴染んでいた。一番難しかったのはやはり若い人たちを対象としたトレーニングコースをいかに興味深いものにするか、卒業後に有機農業をしっかりと理解した上で畑作りを続けてもらえるか、という点だった。

 事業開始前に有機農業の師であるリチャード・ヘイグ氏から“若者は流動的だから、落ち着いて畑作りをさせるのはなかなか難しいよ”と彼の経験からのアドバイスをもらった。確かに、トレーニング修了後すぐに証書を手にダーバンや近くの町で就職活動を始めた卒業生も見られた。ただ、指導員の話では“トレーニングを修了したことが彼らにとって自信となり、次のステップに進む力になった”とのことだった。また、学んだ有機農業の知識と技術を彼らがいつか活用する日が来るかもしれない。

 全卒業生の代表と言えるのが第3回コースを受講したコロコロ地域在住のシヤボンガ・チリザ氏だ。トレーニングコースを受講した時、彼は自分の将来のキャリアを模索しているところで、仕事経験はあったようだが“自分でビジネスを立ち上げたい”という強い思いがあった。有機農業を学び、その有効性と可能性を十分に認識した上で農家としてスタートした。トフェット地域に関しては、出張トレーニングコースを修了した卒業生7名が協同組合を立ち上げ、有機作物栽培と養鶏を行っている。もちろん、農業で生計を立てることは容易ではないが、彼らは畑作りに情熱を持ち、“水を得た魚”のように生き生きとしている。

 事業終了前に卒業生へのアンケート調査を行い、卒業生全112名中、83名から回答があった。83名のうち畑作りを継続している卒業生が59名、学業や仕事で現在は離れているが再開する予定と答えたのが23名だった。また、“有機農業について家族・友人・知人に話したり指導したりしたか”の質問には82名が“はい”と答え、その対象数は640名に達した。上記2つの質問に“いいえ”と答えた女性卒業生は、農業が自分には向いていないと感じたようだ。

 また、“トレーニングコースの受講は前向きな影響をもたらしたか”という質問に82名が“はい”と答えた(上記卒業生も“はい”と答えていた)。何がよかったかを尋ねたところ、有機農業の知識や技術を得て畑作りができるようになった、という答えが最も多かったが、“質の良い”“栄養価の高い”“お金をかけず”“味がよい”などの言葉が見られたことは有機農業への理解を示すもので、“前向きな”成果と言える。また、“地域の人たちが励まされ、地域が開発された”“自分の育てた作物について自信を持って話ができるようになった”という回答があったことは喜ばしい。私自身が一番うれしかったのは“畑仕事が好きになった”というメッセージだった。1名“いいえ”と答えた卒業生は、“トレーニングコースだけでは十分に学べず、コース修了後、ファシリテーターのサポートなしで自分の力だけでは継続できない”と正直に答えていた。この卒業生に関しては、指導員でNPCメンバーとなったグメデ氏にフォローアップをお願いした。

 最後に“将来の計画は”と尋ねたところ、43名が“有機農家として自立・畑作りと収穫物の販売”と答えた。また、10名が“有機農業を教える・次の世代に伝える”と答えた。とても頼もしく、これからが楽しみである。

 小規模農業が定着しておらず、先例から学ぶことができない地域の若者にとって、トレーニングコースは将来に向けた様々な学び・経験となったと思う。また、州環境省と共に活動をしたことで環境保全にも意識が向けられたことや、伝統文化や作物への理解も深めたことは、この事業が技術指導だけでなく、地域の人たちの農業に対する意識の変革にも寄与したのではないかと考える。


(プロジェクトマネージャー 平林薫)


2019-3-9 ルワンダ

ルワンダでのキニヤルワンダ語訳「ぐりとぐらプロジェクト」


 ルワンダでJICAボランティアをされている園田さんから、「TAAAが絵本「ぐりとぐら」をズールー語に訳したラベルを余白に貼って、幼い子どもたちに読書の楽しさを知ってもらう活動を行なっていることを知り、ルワンダでもキニヤルワンダ語のラベルを貼って読書に親しんでほしい」という趣旨のメールをいただきました。TAAAではさっそく、小包で英語版を1冊と日本語の「ぐりとぐら」数冊をルワンダに送りました。
 園田さんからご報告を頂きましたのでご紹介いたします。


<報告>

 ルワンダ北西部ムサンゼ郡キモニセクターに、虐殺やDV、薬物依存やHIV等を含む暴力被害のトラウマ克服とコミュニティ再生に取り組むHealing and Rebuilding Our Communitiesという団体のオフィスがあります。今回「ぐりとぐら」の現地語訳に取り組んだのは、その一角にあるChildren’s Peace Library Musanze。週末は大学に通いながら、平日は図書館司書としてこの団体で働くルワンダ人青年クウィゼラ・ジェレミー君が一緒に翻訳をしてくれました。
 日本語と英語の絵本両方を使って内容の細かい説明をしながら、適切なキニヤルワンダ語に訳します。中にはルワンダでは馴染みのない食べ物や単語も登場するため、ルワンダの子ども達の身近なものに置き換えたりもしました。印刷したキニヤルワンダ語訳を、ご寄付いただいた「ぐりとぐら」の原本に貼り付け、完成。英以前まで蔵書は英語ばかりだったため、ほとんどの子ども達は絵本の挿絵を見て楽しむだけでしたが、現在は自分たちの母国語で絵本のストーリーを楽しめるようになりました。
 「ぐりとぐら」の翻訳を機に、もともと図書館にあった英語の「はらぺこあおむし」の絵本も2人でキニヤルワンダ語に翻訳しました。今後もこうして少しずつ現地語の蔵書を増やしていきたいねと話しています。


<背景と御礼>

 今回、貴会が「ぐりとぐらプロジェクト」を南アフリカにてズールー語で実施していることを知り、単一言語国家であるルワンダでも同様のプロジェクトを実施したいと申し出させていただきました。貴会のご厚意でご快諾いただき、上述のような活動を行なっています。
 ルワンダでは読書が習慣として根付いておらず、本を読む楽しみを知らない子どもがほとんどです。そんな中、数少ない図書館での蔵書はほとんどが寄付された英語の本。十分に内容を理解できない上に読書文化がない子ども達にとって、本を読みたくなる環境と言えるものではありませんでした。英語教育のために英語の本を読むことも大切ですが、まず本を読む楽しみを知ってもらうためには、キニヤルワンダ語の絵本は必要不可欠と思い、貴会に申し出た次第です。
 事務局長の野田千香子様をはじめ、代表の久我様、お取り次ぎいただきました浅見様並びに「アジア・アフリカと共に歩む会」ご関係者の皆さまに、心より感謝申し上げます。

2019年2月
JICAボランティア(2017年度2次隊・ルワンダ・青少年活動)
園田 理沙


(事務局 野田千香子)


2019-2-9 南アフリカ

学び合いの場になってきた農業塾MOATS


 2016年7月に始まったJICA草の根技術協力事業「有機農業塾を拠点とした農村作り」は、いよいよ4月15日に終了します。これまでに、山間部の出張トレーニングコース生を含めて112名の卒業生を出し、その他にも多くの地域住民を指導してきました。
 また、MOATSで育てている苗や鶏卵を購入する近隣住民が増えてきており、現在は月平均100名の地域住民がMOATSを訪問するようになりました。

 昨年9月からは、新たに生徒を募集せずに、上級コースを設けて今までの卒業生の再トレーニングに励んでいます。上級コースでは、採種方法の再指導など直接有機栽培に関する内容だけでなく、瓶詰めや食品乾燥などの食品加工技術、養鶏、フェンス作り講習など幅広く行っています。フェンス作りの達人といわれる地域住民を指導者として招き、伝統技術に詳しくない若い卒業生たちに、地域に自生している竹を使った地元の技を指導してもらいました。「身近なものを有効利用しコストをかけない野菜作り」という有機農業のコンセプトを地元のフェンス作りの技の中で再確認した講習会でもありました。
 達人の畑のフェンスは、それは素晴らしい模様を成していて、防御だけでなく装飾の機能も持たせているそうです。

 収穫物を利用した調理研修会も開催し、栄養を逃がさずに化学調味料使用を控える調理方を紹介しました。卒業生たちは伝統食のレシピ交換を行っていました。


 農業塾では、スタッフたちが、トレーニング生や地域住民に技術を指導し知識を教えてきましたが、指導が一方通行で終わるのではなく、ここにきて、卒業生や住民が伝統の技や経験を教え合う“学び合う場”に成長してきています。学び合いには、スタッフたちも参加し、彼らも住民や卒業生から、販売先や地域の伝統食や技など、自分たちが知らなかったことを学んでいます。

 事業終了後、MOATSが有機農業の中心地となり、卒業生を中心に地域住民が集って、経験、知識、情報の交換をしたり、地元の伝統や技を再確認したり、新しい知識や知恵と結びつけて応用したりと“学び合いの場”として発展していくととても面白いと思います。
 MOATSが、地域内でそのようなユニークな場として機能していってほしいと願っていますし、大きな可能性を感じています。


(久我)


2018-12-25 南アフリカ

2018年図書事業のご報告

 今年2月末に外務省日本NGO連携無償資金協力事業(N連事業)による図書事業が終了し、3月よりTAAA独自の図書事業として先行事業対象校を巡回訪問している。特に力を入れているのは図書委員会生徒の自立した活動へのサポートと活動継続へのアドバイスで、新メンバーが活動内容を理解して自主的に活動を推進できているかのモニタリングを行っている。
 図書活動は基本的に司書教師の力に頼るところが大きいが、司書教師が1人で頑張っても逆効果で、生徒の力を信じて任せることができる学校で活動が進んでいる。どの学校にも必ず時間さえあれば図書室に飛んで来て本を読む生徒がおり、読書を楽しみ、本から学び、他の生徒への読書促進を行う姿も見られる。

 N連事業では対象校の図書室にノートパソコンを設置してリソースセンターとし、生徒にパソコンの基礎的な知識と使い方を指導した。今年度は図書委員会生徒に指導し、学んだ生徒が他の生徒に教えるピア教育の方法を取り入れて活動の継続につなげており、生徒がリーダーシップを身に付けることにも役立っている。今年度TAAA図書事業としてパソコンの寄贈と指導を行っているヴェルメメゼ小では、学年末までに図書委員会生徒がパソコンの基礎技能を学び、新年度には図書委員会新メンバーへの活動の引き継ぎとピア教育でのパソコン指導を行う。

 ベキズィズウェ小は在南ア日本大使館の草の根支援をいただいて3教室を建設し、うち1教室に本棚と書籍を設置して図書室とし、現在では生徒が読書やリサーチ、パソコン学習等に利用している。フンデドゥーゼ小は以前スペース不足のため独立した図書室の設置ができず、図書活動がなかなか進まなかった。コンテナ図書室の設置後、図書委員会を立ち上げ、司書教師および委員会生徒への研修と活動のモニタリングを経て、図書室内で本の貸出しや生徒のリサーチなど様々な活動が行われるようになった。
 また州教育省図書部門(ELITS)から蔵書の補充も受けて活動が充実してきている。TAAAはELITSと共に学校図書活動推進を行っており、双方のイベントやプログラムへの参加、情報共有を通して協力体制が確立された。

 これまで図書活動の経験のなかった学校で図書室が有効に利用されるようになるまでには、1.活動のベースとなる図書室の設置と蔵書の配備、2.図書委員会の設立とメンバーの選出、3.司書教師および委員会生徒への研修、4.本の貸出し等活動のモニタリング・アドバイスと学校内での読書推進活動、5.学年末(12月)から新年度(1月)の引き継ぎ確認、という過程を経る。そして、学校全体で図書室と読書の重要性を理解し、活動が定着した時点で英語力や学力向上のための活動(音読イベント、英語スピーチ、スペリングコンテスト、リサーチ等)が行われるようになる。ムタルメ・トゥートン学区の対象校では、TAAA事業による活動とELITSのサポートの下、時間をかけてこのようなプロセスをたどり、図書委員会を中心に継続して図書活動を行うことができるようになった。

 地域の学校では設備や物資、指導者不足により、いまだにクラブ活動・課外活動が行われていないため、生徒の興味を満たし、能力を開発する場は多くない。TAAA事業の3つの柱(図書・有機菜園・サッカー)は、生徒が自分の興味のある分野の活動に携わることができ、できるだけ多くの生徒が充実した学校生活を送る機会の創出に寄与していると言える。


(プロジェクトマネージャー 平林薫)


2018-10-14 南アフリカ

大学生の現地訪問記② 自然とともに生きる人たち


 今回、初めて南アフリカに訪れ、また農業塾や学校、周辺コミュニティへの訪問をする機会をいただきました。

 小学校や、農業塾では野菜の栄養に関するセッションを行いました。農業塾ではそれに加えて料理教室を行いました。栄養セッションでは、難しいビタミンなどの話を極力省いたため、とても面白かったなどの感想をいただきました。また、料理教室ではほうれん草の卵炒めと、ミネストローネを作りました。炒めるという調理法があまりメジャーではないため、その布教と、普段手に入れやすいトマトサーディン缶に野菜を加えることで栄養を摂れるようにする、また化学調味料を使用しないという目的でありました。美味しい、レシピを知りたいなどの声が聴かれたため、これからはなるべく化学調味料を使わないで料理ができるようになれば良いと思っています。

 また、私は農業大学生として、何ができるのかという思いを抱いていましたが、実際は私の方が学ぶことが多くありました。
 私は農業をビジネスとして学んできましたが、農業塾スタッフや卒業生、学校菜園にかかわる生徒たちは農業をまさに生業としているのだと感じました。生きるために作物を育て、またこれから先も自然とともに生きるために土を育てている彼らを見て、非常に感動しました。農業はビジネスではなく、人と人が助け合い、生きるためのものだと思い出しました。
 小学校菜園を耕している子供はすでに農業者であり、土を悠々と耕しておりました。農具が十分ではないため、小さなスコップで畑を掘り起こし、新たな苗を植え…。



しかし、もちろんビジネスとしての農業も重要になってくるだろうと思います。農業塾では実践的な有機農業を教えていますが、ビジネスコースでの授業をそろそろ展開しても良い頃合いだと思います。きっとこれからも良い農業者が生まれてくるのだと思うと、非常に胸が高まる時間でした。


(東京農業大学 3年 今別府映理)


2018-10-13 南アフリカ

大学生の現地訪問記① 食育の重要さ


現行のJICA草の根技術支援事業のプログラムとして、8月下旬~9月上旬にかけて東京農業大学の学生さん2名が現地を滞在し、農業塾卒業生や地域住民に交流を楽しみながら栄養指導をしてくれました。その訪問記を2回に分けて掲載します。


 今回の南アフリカ滞在では現地の方と共に交流することを通して農業と食に対する興味や関心をお互いに高めたいと思い参加を希望いたしました。

 8月の南アフリカ滞在に向けてどのような企画をしたら現地の方にとって充実した時間になるのか春から同じ東京農業大学の今別府さんとTAAAの久我さん、大友さんと平林さんと話し合いを進め、滞在への準備をしました。そして、現地では栄養に関する知識と野菜の調理法に関する知識を持っている人が少ないということで、栄養に関するワークショップと料理のセッションを行うことが決まりました。

 滞在4日目に農業塾MOATSで栄養のワークショップと料理のセッションを行いました。料理のセッションではにんじん、じゃがいも、たまねぎ、にんにく、トマトと現地で人気のトマトベースの鯖缶を使った野菜スープとほうれん草の卵炒めを作りました。どれも今別府さん、平林さんと一緒に現地の人が簡単に作れて、煮たり炒めたりと様々な調理法を紹介できるということで、この2つのメニューを農業塾で紹介しました。参加してくれた生徒も積極的に質問をしてくれました。また、味も気に入って下さり、私たちが紹介した料理に興味を持ってくれました。後日、調理法をまとめたレシピを渡しました。

 今回の活動を振り返って、栄養など食に関する教育の重要さを感じました。自分の食生活を管理することは病気のリスクを減らすことに役立ちますし、訪問した地域のように大きな病院がない環境では必要なことであると感じました。また、彼らが野菜など食べ物の栄養を学ぶことは野菜や家畜を育てることに対してモチベーションにもなりますし、農業で生計を立てる際に、消費者に野菜の健康への効果を伝えることで多くの人が食生活や野菜など食べ物に対しての意識が変わると思います。自分だけでなく多くの人が改めて自分の食や健康について考えられるいい機会になると思いました。ですから、今回の滞在で行ったように、現地の人たちが食や栄養に関する知識を得られる機会が増えると、現地の人の生活はより良くなると感じました。


(東京農業大学 4年 丸山真由)


2018-9-17 南アフリカ

南アから学ぶこと「ほんもののrespect」


 図書プロジェクトの現地スタフのモンドリ・チリザさんは、「図書活動命」の22歳だが、近所の学校の生徒達にサッカー遊びを呼びかけ、友達が友達を誘い、とうとうチームを編成できるまでの人数があつまって、始めてから1年でサッカークラブの「オーナー兼監督」にもなってしまっていた。6月視察訪問滞在中の土曜日の午後、他の地元チームとの試合を見に来て欲しいと言われ、ガラスビンの破片やゴミが散らかっていたコミュニティーサッカーフィールドだったがほぼ全員が裸足で活躍する素敵なプレイと引き分け試合を楽しませてもらった。

 試合中・試合後のモンドリ監督とクラブメンバーの小中学生たちのやりとりを見聞きし、子ども達がモンドリさんをとても尊敬しているようだったので、久我さんが「子ども達はあなたのことを尊敬していますね」と声をかけると、モンドリさんは「はい、そうです。私も彼らを尊敬していますから」と即答。担当の図書プロジェクトでは、「図書司書の先生方の生徒に対する信頼が十分でないことが一番の問題だ」と訴えていたが、それに通ずる「相手に対する尊敬は双方向であるべき」との考えで、これは日本へ持ち帰るべき最大のおみやげだと思ったのだった。

 1955年の「自由憲章」、アパルトヘイト廃絶のための民衆闘争、新憲法制定、真実和解委員会などからも多くを学ばせてもらった南アの人々からは、これからも学び続けることになることを実感する現地訪問となった。
(大友)


2018-8-22 南アフリカ

アパルトヘイトで寸断された農業を「生きなおしている」人たち②


 一番印象に残ったのは、やはりMOATSの卒業生でダーバンの学校に通いながら、普段はお母さんに任せ、休みの時だけ畑をやっているという28歳の女性。訪問時には丁度お母さんと二人でお母さん自作の織機の前に座って、注文を受けたマット(ゴザ)の製作中だった。

 私たちの訪問に、その手を止めてやや重たそうな腰を上げ、家の前に広がる彼女の畑を案内してくれた。急坂を30分ぐらい下ったところに竹やゴザの材料になる葦のようなものも繁茂する川がありそこから水を汲んで来ているという。お父さんに手伝ってもらって作ったという動物よけの竹を支柱に枯れ木で編まれたフェンスに囲まれた8畝ぐらいの畑には、ほうれん草、にんじん、タマネギ、キャベツの他に唐辛子とレモンの木が植わっていた。3色のビニールが風に舞って魅惑的な雰囲気を醸し出していた彼女お手製の案山子に注目した直後、畑を荒らしかねない山羊の小屋を畑上方に隣接させて、その底部から山羊の糞が自動的に彼女の畑のあぜ道に落ちるよう傾斜を付けたしかけには、思わず感嘆の声を上げてしまった。

 さらに私たちをうならせたのは、お母さんと兄弟と同居し、2人の子持ちのシングルマザーであるやや無愛想な彼女が、なんと、ダーバンでの経営・財政学を勉強がおわったら、地元で有機農業ビジネスをやるつもりだと言ってにっこり笑ったときだった。これから18ヶ月の実習があり、学校を終了したらいずれ右側の空き地にも畑を広げたいとも。



 再びお母さんとのゴザ編みに戻った彼女に別れを告げしばらく下ると、日用雑貨と日持ちする若干の食糧を揃えている小さなお店をみつけた。野菜の品揃えを確認したところ、持ちの良いジャガイモやタマネギ以外は、腐らせてしまったことがあるので置いていないと言われた。将来この店と彼女がタイアップして、新鮮野菜は彼女の家の畑で直売する仕組みをつくれないだろうかと勝手ながら夢が膨らんだ。


(大友)


2018-8-11 南アフリカ

アパルトヘイトで寸断された農業を「生きなおしている」人たち①


 MOATSのトレーニングコースの卒業生や先行プロジェクトのモニタリング先で個人であるいはコミュニティーで有機農業を続けている方たち、MOATSで育てた有機苗の買い手としてファシリテーターの一人であるナチさんがリクルートした家族やグループなどを訪問する機会に恵まれた。画才があれば、思わず肖像画を書きたくなるような魅力を放っている人たちであったが、ここでは特に印象に残った何人かをそれぞれ簡単に紹介してみたい。

 JICA先々行事業の対象コミュニティー菜園グループのメンバーで一時中断していたが、自分たちが死ぬ前に、子どもや孫達に自分たちの農法を伝えておきたいという思いで2018年4月に再開させていた年配グループがいた。種は農業省からもらっていたが、届くのが遅いし、キャベツはうまく育たなかったので、Coastal Farmers から買うようになったとのことだった。訪問時MOATSに注文したほうれん草の苗3箱をうけとり、若い男性3人に苗を運ばせ、牛糞を取りに行かせ、畝を作らせていた。MOATSのものは良質なので、採種するつもりだと言っていた。若者達は失業したから親・祖父母の畑に戻ってきたのかもしれない。先々行プロジェクト以来つけているという帳簿・記録も、この若者達に引き継がれて行き、自給用に販売用も若干加えながら生産を持続させていけることを期待したい。



 思うところあって学校勤務から早期退職したという小学校の元校長は、MOATSの出張(オンサイト)トレーニングで有機農法を学んだ仲間といっしょに地域のシングルマザーを集め、計7人で、自宅の農地でのグループ菜園(エソムーサ=ズル語でgraceの意味)を始めていた。収穫を自家消費用としてグループ内で分けても販売用が残るだけの規模になっていた。冬期の水確保が課題、鶏糞確保のためにも養鶏を学びたいと女性達は張り切っていた。彼女らに賑やかに歓迎され、振る舞われたキュウリ・ブロッコリー・ほうれん草で青みがつけられたヨーグルトバナナジュースの美味しい味は忘れられず、日本に帰って再現して広めている。


(大友)


2018-7-7 南アフリカ

農業塾卒業生へのアンケートとインタビュー


 2016年8月に始まった有機農業塾MOATSは8コースを終え、若者を中心に112名の地元住民が卒業しました。今年4月に1コースから5コースまでの卒業生77名に対し一斉アンケート調査を実施し、6月の視察訪問では、その回答を基に卒業生訪問インタビューを行いました。 アンケートとインタビューの回答から、卒業生たちがMOATSから何を学び取り、大切にしているのかを聞くことができました。

 回答から真っ先に感じ取れたことは、彼らの環境意識の高さでした。「MOATSで学んだことで一番大切なことは」との問いに対し「有機農業が土壌にやさしいこと」「土壌の微生物を殺さない農法であること」という声があり、「化学肥料を使って菜園をやっている友人には有機に切り替えるように説得している」と答えた若い女性もいました。

 今後のMOATSへの要望に対しては「MOATSの野菜を孤児に配給してほしい」との声が多く挙がり、卒業生が弱い立場にいる地域住民を大切に思う気持ちが伝わると同時に、地域の厳しい現実を知らされました。ほとんどの住民が祖父母の僅かな年金に頼って生計を立てている地域です。しかし、命綱ともいえる社会保障にカバーされない層の子どもや大人は、食べていくことがきわめて厳しい。そのような層にこそ、MOATSは配給だけでなくトレーニングの場として手をさしのべていけたらと思いました。

「今後あなたは卒業生としてMOATSにどのような貢献ができますか?」との問いには、「初心者に技術を教えたい」「ボランティアワークをしてもいい」「有機農業の知識を地元住民に広めていきたい」「苗を買うことで貢献したい」などの声がありました。

 MOATS卒業後、卒業生たちは各自で家庭菜園をすることになっていますが、継続していない卒業生の中断理由は、水不足、種が確保できなかったこと、獣害、就職・入学など具体的なもので、非継続者の全員が、「有機野菜は体にいいから」「家計を助けるから」との理由で、再スタートしたいと回答していました。
 彼らが続けられなかった理由から地域の具体的な課題が明確になり、それらの課題対策として、今後は卒業生への再トレーニングに注力することになりました。

 回答から、全継続者も非継続者もオーガニックのコンセプトをバランスよく包括的に習得していたことが分かりましたが、収穫物の販売となると、継続している卒業生でも、販売意慾はあるものの躊躇している姿が見えてきました。特に、販売のネックとして移動手段を挙げる声も目立ちました。
 しかし、実際に販売している卒業生のほとんどが車はなく、地域住民に自分たちの菜園に来てもらったり、売り歩いて売っています。今回の訪問インタビューでは、車に頼らずに販売活動をしている卒業生の一覧表を見せながら、躊躇している卒業生たちに、歩ける距離での地元マーケットの可能性を考えてもらいました。
自分と同じ環境にいる卒業生たちの地元での成功事例は、大いに刺激になったようで、食い入るように一覧表を見ていました。

 また「収穫物を販売したいけれども、地域住民が野菜やオーガニックの知識がないので難しい」との声も多く聞かれ、今後は生産者だけでなく消費者を増やすためにも地域住民全体へのオーガニック教育や食育が普及への鍵になるのではと思いました。 そのためにも、MOATSで有機農業の基礎知識を得た卒業生たちが、再トレーニングで野菜の栄養やクッキングを学び、その知識を地域住民に分かりやすく積極的に伝えていってほしいと思います。

 彼ら卒業生は、生産者、消費者、またMOATSと有機野菜のプロモーターとして、今後地域の有機農業の普及を支えてくれる大切な資産だと、ぎっしり書き込んでくれたアンケート回答を読んで思いました。

(久我)


2018-7-18 日本

7月14日TAAA講演会レポート


 2018年7月14日(土)、幡ヶ谷の「JICA東京」でTAAA講演会が開催されました。かなりの猛暑でしたが、14名の方に参加いただきました。 2時間という限られた時間の中、内容は、野田さん(事務局長)による挨拶、平林さん(南アフリカ事務所代表)による菜園支援活動事業の報告、大友さん(理事)による現地視察報告、平林さんによる学校図書支援活動事業の報告という流れで行い、盛りだくさんで質疑応答の時間がとれないほどでした。

 菜園支援活動事業は「JICA草の根技術協力事業」として実施していますが、農業塾を中心にトレーニングや育苗にも注力しています。 地域の家庭菜園も支援していますが、距離の関係から指導員が出向いています。最近は、従来参加に積極的でなかった男性が少しずつ携わるようになり、喜ばしい傾向となっています。また、リソースセンターは教室の1つを改装してつくられましたが、本の多くはTAAAから寄贈し、農業に関する本は現地で購入しています。近隣の生徒も利用しており、放課後に本を借りにやってきます。

 昨年度の学校図書支援活動事業は「外務省 日本NGO連携無償資金協力」、「ひろしま・祈りの石国際協力交流財団」の支援を受けて実施しました。 菜園支援活動事業と同様、こちらも元々シャイな男子生徒が徐々に参加するようになってきました。 先生の熱意がキーの1つとなっており、先生の指導によって図書室が良く使われるようになると、成績が上がるという傾向も見られるようになってきました。 継続して算数セットが役立てられており、またパソコンを活用したIT指導も行われています。

 平林さんの講演の間に行われた大友さんの視察報告は、とても具体的なエピソードから大局的な視点まで、コンパクトかつ幅広いものでした。菜園支援活動事業では、有機農法の条件が良質な種の確保と採種・育苗技術の習得であること、収穫物は自家消費と近隣販売を優先して車に頼らないこと、事業終了後は本プロジェクトを州環境省の監督下で地域組織が行うこと、という見解が示されました。また、学校図書支援活動事業では、司書と生徒の関係を改善して近隣学校で図書情報共有・ブックボックス交換・イベント開催を行うこと、州教育省との連携を強化するとともに新規支援校を検討すること、IT教育の仕上げや算数セットを活用した授業を継続することがポイントとしてあげられました。

 講演会は今後も毎年定期的に開催していく予定です。ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。 今回予定が合わなかった方も、次回お会いできることを楽しみにしております。今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします。


(丸岡)


2018-7-7 南アフリカ

2018年6月(17日~25日)現地プロジェクト訪問報告


 今年の久我さんと大友での現地プロジェクト訪問は、JICA草の根技術支援事業「有機農業塾を拠点とした農村作り」の最終年度視察に重点を置いたものでしたが、学校図書プロジェクトの状況確認なども行ってきましたので、私はその部分の報告を行いたいと思います。

 昨年設置され、2人の司書担当教員に出迎えられたFundeduze Primaryコンテナ図書室は中も美しく、使いやすく整備され、州教育省図書部門(ELITS)から配布されたものも相当数入っていました。訪問時にはコンテナの左右の角2箇所に設けられた椅子と机にそれぞれ生徒が3人ずつ座って、ブックレビューを作成しているところでした。ElITS配布図書が充実しているように思えたので、確認してみると、地域の学校の図書担当教員が集まって選書したものが配られているという、うれしい話が聞けました。

 図書室・書棚・生徒の図書活動そしてそこそこの蔵書という基盤が整えば、それが呼び水となって州教育省の本来の仕事も進むのだということ、そして対象地域の学校へのTAAAからの配布が不要になる日が近いことを実感しました。今後TAAAからの本の配布は、農業塾のリソースセンターや、いままで対象としていなかった近隣地域の図書室のない学校への支援を中心に考えて行くことになるかと思います。


 今回の訪問では、今後そのような対象になりそうな小学校を訪問しました。そこでは、校長の熱意で各クラスにコーナーライブラリーなるものが設置されていたものの、中身は古い、あるいは余った教科書類だったので、この学校にもELITSの本が届くように、誘い水になる日本からの本をモンドリさんが数冊ずつでも各クラスに届けることもありではないかなと思いました。現地での検討を期待します。


(大友)


2018-5-19 南アフリカ

パソコン・プログラムのリーダーたち


 外務省日本NGO連携無償資金協力事業「ウムズンベ自治区の学生の経済・社会参加に向けた学力向上と基礎技能習得(第2年次)」(2017年3月~2018年2月)では、図書事業の一環として20校(プライマリー8校、セカンダリー12校)を対象にパソコン基礎技能習得プログラムを行いました。

 パソコン指導といってもパソコンルームにたくさんPCを並べて一度に大勢を指導するのではなく、各校にノートパソコンとプリンターを一台ずつ配置し、図書委員会生徒を中心に基礎操作を指導していきました。全対象校で940名が受講し、そのうち732名が技能テストに合格し修了証書を手に入れました。

 技術を習得した生徒たちは、本の貸し記録やポスター作りなど図書委員会活動に応用し腕を磨きながら、他の生徒たちに習得した技術を教えていきました。事業終了後も、このような生徒同士で教え合うピア教育を通じて活動が学校全体に普及し根付いてきています。


 一校にパソコン一台では限界はありますが、パソコンが大好きで他の生徒たちを熱心に指導する生徒たちが育ってきました。山岳地域の学校には、スティーブ・ジョブズを彷彿とさせる才能あふれるパソコン少年も現れ、指導者として大活躍しています。

「教わる側だった生徒たちが、限られた教育リソースを最大限に活用しながら、教える側になり、いつのまにかプロジェクトリーダーとして成長していった」プロジェクトで、パソコン技術だけではなく、生徒同士で教え合う習慣も育まれました。


事業終了後、対象校にアンケート調査を行いました。ご覧下さい。
>> 2017年度図書事業 パソコン基礎技能習得プログラム対象校のアンケート結果一覧表(PDF)


(久我)


2018-3-6 南アフリカ

2月22日図書研修会イベント


 2017年度の外務省日本NGO連携無償資金協力事業の「ウムズンベ自治区の学生の経済・社会参加に向けた学力向上と基礎技能習得(第2年次)」が2月28日に終了となることから、2月22日に地域内ホールで最終教師研修会および図書イベントを開催しました。当日は2校が学校の都合で欠席となったが、28校から89名の教師及び生徒が出席、ゲストやスタッフを含めて計100名が参加するというビッグイベントとなりました。


 プレトリアの在南ア日本大使館より経済開発担当の有馬一等書記官が出席くださり、教師や生徒に向けて心強いメッセージ、貴重なアドバイスを頂きました。クワズールーナタール州教育省からはELITS(学校図書部門)アドバイザーのンベレ氏と、トゥートン教育センターのンクマロマネージャーが出席して読書の大切さを力説し、継続して図書活動を進めていくようにとアドバイスがあり、また日本外務省とTAAAに対する謝辞がありました。前半のイベントでは、各対象校の生徒から本の朗読や紹介、感想文や詩の発表、事業に対する印象や感謝の言葉などがありました。


 余興として、ホール敷地内にあるエシバニニ小に依頼して、
男子生徒によるズールーの戦いの踊りを披露してもらいました。生徒たちのダイナミックな踊りは、会場を沸かせました。

 後半の研修会では、対象校の教師が校内でどのような図書活動を進めているかを発表し、事業終了後の活動継続に向けて、教師間での情報交換を行いました。プロジェクトマネージャーと図書スタッフはあらかじめ各部門の最優秀校を決定し、当日表彰を行いました。出席した教師全員に本の寄贈、生徒には本とペンを授与して最後にみんなでランチを取り閉会となりました。対象校の教師や生徒が一同に集まる機会はあまりないため、当日は出席者にとって他校の図書活動を見聞し、学び合い、刺激を与え合う貴重なイベントとなりました。



(TAAA南ア事務所 平林薫)


2018-1-28 南アフリカ

学校菜園のアンケート調査を行いました


 2013年8月~2016年1月の期間に実施したJICA草の根技術協力パートナー型事業「学校を拠点とした有機農業促進のモデル地域作り」では、地域の学校40校(小学校、中学校、高校)を対象に学校菜園を作り、生徒と教師に有機農業の指導をしてきました。

 それから2年が経ちましたが、学校がどのように菜園活動を継続し役立てているのか、地域への有機栽培の普及に、学校が拠点としての役割を果たし続けているのかを確認するために、一斉にアンケート調査を行いました。

 今回のアンケートから分かったことを一部紹介いたします。

  回答があった学校数: 38校(40校中)
  • 種は学校菜園から採種している
  7校
  • 収穫物を学校給食に利用している
16校
  • 収穫物を孤児・貧困家庭の生徒に配給
17校
  • 収穫物は教師や地元住民に売り、その収益で種や菜園活動に必要なものを購入している
12校
  • 学校菜園を授業に活用している
33校
  • 菜園委員会生徒は、後輩や委員会メンバーでない生徒に技術指導をしている
33校
  • 菜園委員会生徒たちのほとんどが、家庭菜園も行っている
35校
  • 菜園委員会は活動記録を付けている
33校
  • 学校側は、菜園委員会以外の生徒たちにも家庭菜園を始めることを奨励している
37校

 活動を続ける上での問題として多かったのは、水不足、近所の家畜や野生動物の侵入でしたが、採種ができていないこと、思うように時間がとれないことを懸念する声もありました。菜園は、理科や生活科などの日常の授業に精力的に活用しているようで、その質問項目の箇所には、ぎっしり具体的に書かれた回答が多かったのが印象的でした。

 また、菜園委員会教師たちは、技術指導だけでなく、栄養や健康などの有機農業や野菜のコンセプトをしっかりと伝えている様で、その箇所も情熱的に書かれた回答が多かったです。委員会生徒以外でも学校で習った菜園技術を家庭菜園に活かして家族に技術指導をする生徒たちが増えていることや、地元自治体から種を配布されている学校もあり、地域全体で菜園活動が普及している様子が、アンケートからは読み取れました。

 一方で、採種を続けていない学校が多かったことが気になりました。今後は、現行事業の農業塾からも学校側に働きかけて、採種指導をする機会を作っていきたいと思います。 また、家庭菜園ではしっかりと採種をしている生徒たちが、自家採種した種を学校に寄附するなど、家庭菜園から学校菜園への還元の可能性も探れないだろうかと、アンケートを読んで思いました。

(久我)


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