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TAAAの活動日誌 2012-2013年

2013-12-05 南アフリカ

南ア在住の頼もしい支援者たち

南アの祝日 Women's Dayの日、ヒバディーンに家族と友人とで向かいました。
二つの目的、一つは移動図書館車用の本を事務所で仕分けすること、サンディーレさんのサーフィンレッスンを受けることです。

メンバーは下記の通り。
私、パートナーのアレックス、息子のデニス、白井理恵さん、そのパートナーのグレアム・ピールさん、お二人のお嬢さん リリコちゃん、南アに医療研修に来ていた医学生の藤原稔朗さん。

平林さんが前もって、箱から出して床に積み上げてくださっていたので 仕分けはとてもスムーズにすすみました。
かかっているバックミュージックとともに時にはメロディーをハミングしながら、皆でこれはどの程度の学年にあたるか、この本とても興味深いわ(これは作業の手をとめるので避けたいところですが)などと 本好きな皆とする作業は、とても充実した時間でした。小さな子供二人も飽きることなく、いろいろな本をめくり楽しく時間を過ごしていました。

学校の先生であるグレアムさんの知識も、作業の完了に大きく貢献してくれました。きっと仕分けられた本たちは、それぞれ届けられた学校で、間違いなく有意義に使われることでしょう。

午後いっぱいを割き仕分け作業をしたあとは 山のように積まれていた箱たちがなくなり すっきりとした床に。それからブライやサンディーレさんお手製のチャカラカなどの美味しい夕ご飯をお腹いっぱい食べ、それぞれの宿に戻りました。翌日はトラファルガービーチの地元の子供たちのサーフィンクラブにジョインして幾人かはサーフィンレッスンを受けました。今回、サンディーレさん自身がサーフィンをする姿を初めてました。すごい、の一言です。水辺の手前にあるかのように見える遠くの大きな波を、端から端まで すーっとボードに立って滑ってゆきました。その後は皆でレストランでランチをとり、砂浜を散歩した後ダーバンへの帰途につきました。

当日は平林さんとのミーティングもあり、現在行なわれているプロジェクトの経過などもお聞きすることができました。何よりも菜園活動の発展には目を見張ります。図書と野菜たち。TAAAの活動のこの二つの重要なキーポイントは 間違いなく今の南アフリカの学校に必要とされるものだと信じてやみません。

日本でボランティアで活動をされている皆さん、寄付をつのってくださっている個人および団体の方々、ありがとうございます。南アでこのように出来る限り私たちもお手伝いを続けさせていただきたいと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。

(中地明子)


2013-11-01 南アフリカ

仲の良い女性若者グループ

今年の8月から始まった学校・コミュニティ有機菜園事業は順調に進んでいます。

学校菜園の対象校は40校ですが、そのうちの4つの学校の敷地を借りて、4つの若者グループが有機菜園活動を行っています。 この地域は牛を放し飼いにしているので、フェンスがないと畑が牛に荒らされてしまいます。 また作物が盗まれないためにも、菜園活動はフェンスのある学校の敷地内が一番適しています。

学校の他にインフラのない南アの遠隔地域では、学校はコミュニティの中心的役割を果たしていて、地域住民にはとても協力的です。 テュルベケ小学校も気前よく敷地の一部をコミュニティ菜園用に使わせてくれることになりました。 ここで結成された若者グループ、テュルベケ・グループは女性だけの若者グループです。 若者といってもお母さんも多く、一家の大黒柱もいます。 

この2年半のプロジェクトで、しっかり有機菜園技術を学んだあとは、自分たちでコミュニティ菜園や家庭菜園を作って自家消費用に充て、また余剰作物は地域で販売して生計に繋げていく予定です。 学校の教室をかりて、有機菜園の知識を深めるための研修会も行っていますが、みな真剣に参加しています。

女性グループの利点は、とても仲が良くて、助け合いの精神でグループでがんばるところ。 男性が不在がちな南アの遠隔地域における女性たちの絆は、半端ではありません。 

(平林・久我)


2013-10-13 日本

9月29日TAAA報告会のレポート


9月29日(日)にTAAAの報告会を開催しました。会場は、広尾から市ヶ谷に昨年移転したJICA地球ひろばでした。
TAAAの報告会では、毎回、南ア事務所代表の平林さんの活動報告のほか、さまざまなゲスト講師を招いてお話を伺っています。今回は、津山直子さんをゲストに迎え、「反アパルトヘイト運動と、日本のNGO活動とのつながり」についてお話しいただきました。津山さんは、1980年代後半から90年代はじめにかけてアフリカ民族会議(ANC)の東京事務所に勤務し、その後15年以上にわたり日本国際ボランティア・センター(JVC)の南アフリカ現地代表を務めるなど、長年、南アフリカに市民の立場から関わってこられた方です。

津山さんはまず、ネルソン・マンデラ財団のCEO、セロ・ハッタン氏と、元フリーダム・ファイターで、アパルトヘイト廃止後、ハウテン州知事や住宅大臣などを歴任したトーキョー・セクワレ氏らが2013年8月に来日した際、TAAA代表の久我さんが懇談会に参加したことを紹介しました。この懇談会は、図らずも、日本で反アパルトヘイト運動に参加していた人たちと、アパルトヘイト後の南アフリカに関わる活動をしている人たちとが、お互いのことを知り、反アパルトヘイト運動と、現在のNGO活動のつながりを考えるよい機会となったそうです。

津山さんは、南アフリカの人種差別の歴史を紹介しながら、そこに日本(人)がどう関わってきたのかを振り返りました。日本人が南アフリカで「名誉白人」と呼ばれたこと、それを恥とする市民が日本各地で反アパルトヘイト運動を展開したことが紹介されました。南アフリカからのゲストの招聘、「名誉白人」問題への取り組み、南アフリカ製品のボイコット運動など、具体的な活動内容については、アフリカ行動委員会(東京の反アパルトヘイト運動組織)の事務局に勤務されていた上林陽治さんからも補足説明がありました。

南アフリカでのNGO活動の開始のきっかけは、1990年にネルソン・マンデラが釈放され、アパルトヘイト廃止に向けて南アフリカが動き出したことでした。反アパルトヘイト運動に関わっていた人たちは、それまで南アフリカに行くことができなかったのですが(南ア政府がビザを発給しないため)、1990年以降、南アフリカに直接入り、現地の人たちと関係をつくることができるようになりました。

「南ア黒人の教育を支える会」(のちに「南部アフリカの教育を支える会」と改称)が1990年に、続いてTAAAが1992年に設立され、津山さんをスタッフに迎えたJVCも活動を開始しました。その後も、HIV陽性者支援を担う「ニバルレキレ」のような、新しい活動も生まれています。反アパルトヘイト運動をしていた人がNGO活動に入っていくというつながり(津山さんの例だけでなく、TAAAも、平林さんはANC東京事務所の職員、久我さんとTAAA前代表の野田さんはボランティアだったというつながりがあります)、さらに、反アパルトヘイト運動を通じてつくられた南アフリカと日本の市民の関係が、その後のNGO活動の土台になってきたということが、津山さんのお話から浮かび上がりました。

後半は平林さんの活動報告でした。平林さんはまず、南アフリカの近況として、民主化から20年が経とうというのに、経済格差、社会インフラ整備の遅れ、鉱山労働者の劣悪な労働条件など、さまざまな問題があり、人びとの不満や苛立ちがストライキや外国人襲撃のような形で噴出していることを紹介しました。また、交通事故が多発し、多くの命が失われていることから、TAAAの活動車輌のドライバーに対して、ルールを守り安全運転をするよう徹底していることが報告されました。

教育現場にも問題が多く、学校内での教員組合間の対立が学校改善の妨げになっている例もあるといいます。TAAAではそうした力関係に巻き込まれないように、あくまで中立の立場を貫いて活動しているという説明がありました。そして、TAAAが活動している学校の先生が、あるとき平林さんに、「NGOで働くにはどうしたらいいか」と尋ねてきたエピソードが紹介されました。その先生曰く、「教育以前の問題が大きく、子どもの生活をケアしなければならない状況がある」そうで、そのためには、様々な制約に縛られる教師の立場よりも、NGOのほうが柔軟にきめこまかい仕事ができると思われたようです。このエピソードは、TAAAの活動が地域のニーズにあっていること、平林さんが現地の人たちに信頼されていることの証左といえるのではないでしょうか。

さて、TAAAの現在の活動地は、クワズールー・ナタール州ウグ郡のヒバディーン地域にあります。平林さんより、豊富な写真を交えた活動紹介がありました。図書活動としては、国際ボランティア貯金の助成により32校を対象に移動図書館車の巡回をしているほか、コンテナ図書館、本棚、英語の本の寄贈をしています。図書活動の進み具合は学校によって異なりますが、先生方と十分に話し合って、それぞれの学校の状況にあわせた支援を心がけているという話がありました。

また、この8月からは、JICAの草の根技術協力事業として「学校を拠点とした有機農業促進のモデル地域づくり」プロジェクトが始まっています。菜園活動には、対象校40校の学校の生徒だけでなく、地域の方たちも参加しており、なかには(通常は農業に携わることが少ない)男性のグループもあるそうです。また、本プロジェクトで実践している有機農業に州農業省が関心を示し、研修の依頼がきているとのことでした。TAAAから送られたサッカーボールや算数セットが喜ばれ、活用されている様子も紹介されました。

報告会は、日曜日の午前中にもかかわらず、30名近くの参加者があり、大盛況でした。報告会後は、同じ建物内のJ’s Cafeでランチを食べながら懇親会が行われました。

(牧野久美子)


2013-09-25 南アフリカ

生徒が自主運営する学校図書活動

私たちの活動の最終目的は、各対象校がプロジェクトを継続的に自主運営できる状態にすることです。 そのためには、図書環境を整えることはもちろんのこと、司書教師と図書委員会生徒たちが学校図書の意義をしっかりと理解し、図書運営能力を身につけること、そしてその運営力が引き継がれていくシステム作りが重要です。

このことは、日本ではそれほど難しいことではないでしょう。 しかし、教師たちが育っていく過程で学校に図書室がないことが「あたりまえ」の状態だった南アの遠隔地域においては、時間と労力のかかるプロセスです。
先ずは、司書教師たちに基礎的な司書技能を身につけてもらうのと同時に、学校図書の意義を確認してもらいます。そのため、司書教師対象の研修会が活動の要となります。

昨年コンテナ図書室を寄贈したルテゥーリ高校は、ほぼ完璧に自主運営能力を身につけた成功例の一つでした。 司書教師のマカンヤ先生と一緒にコンテナ図書室を訪問すると、7人の男女の図書委員会生徒たちが、図書室を管理していました。 彼ら図書委員会生徒たちは、休み時間と放課後の一時間はかならず図書室に来て、本の貸し出しをしたり整理をしたりしているとのことです。 「私は彼らのスーパーバイザー」というマカンヤ先生は、「図書室運営は、できるだけ生徒に任せています。 それによって、彼らの運営能力が磨かれるだけでなく、自主性が育つからね」。
図書室の壁には貸し出しルールの紙が貼っていました。これも図書委員会の生徒たちが自分たちだけで考えて作成したとのこと。 その他、手作りの貸し出しカードを作ったりと、マカンヤ先生の監督の下、クリエイティブな仕事をしていました。

本が詰まった段ボール2箱を寄贈すると、生徒達はせっせと本棚に並べはじめました。 まるで、部活動のように楽しそうです。 一日に少なくとも50人の生徒が本をかりるといっていました。 参考書の貸し出しは1日、小説は一週間借りられるとのこと。

「私たちの図書室は日に日に良くなっていっています」と男子生徒。 この言葉は、どんな感謝の言葉より、嬉しかったです。 「後輩たちは、彼らから図書運営方法を学んでいくのだな」と、頼もしい先輩たちを見ながら、私たちが手を引いた後も、しっかりと図書プロジェクトが継続的に自主運営されていくことを確信できた学校でした。

(久我)


2013-09-11 南アフリカ

給食が待ち遠しい!

比較的中心地に近いところにあるゴベラ小学校を訪問しました。 生徒数が1,200人以上の大きな小学校で、菜園と図書プロジェクトの対象校です。 私たちが着いてしばらくすると、給食の時間になりました。 生徒たちは一斉に教室から飛びだしきたと思うと、お行儀よく列を作りました。 給食当番の生徒二人がバケツを運んできて、配膳を始めました。
主食のパップ(とうもろこしの粉を煮て練ったもの)と煮たカボチャという質素なメニュー。 一人の量もとても少ないのが気になりました。それでも、生徒たちは、おなかがペコペコなのでしょう。ワクワクしながら待っています。 感心したのは、みな辛抱強く自分の番を待っていて、誰一人われ先にと列を乱す生徒がいなかったこと。
外で座って仲良く食べていました。

  菜園担当のムーサ先生に聞くと、ゴベラ小学校も一日一食、給食だけが食事の生徒がとても多いとのこと。 本当に栄養が足りません。 菜園から収穫がある時は、給食に野菜スープが添えられるそうですが、今は乾期。 しかも今年は異常気象で例年と比べて極端に雨量が少ないなど、地球温暖化がこの地域にも悪影響を及ぼしています。
しかし、もう少しの辛抱です。 乾期が終わると、菜園にやさしいシーズンがやってきます。 具だくさんの野菜スープが登場する日も近いでしょう。

収穫物は主に給食に使われますが、余剰は、保護者のいない生徒に配給しているとのこと。 対象地域には、近所に助けられながら子供たちだけで暮らす孤児家庭(Child-headed family)が多く、学校も出来る限りのサポートをしています。
南アの地方の先生たちはソーシャルワークも兼務しているのです。

優秀な先生が多いのでしょう。 図書活動の方もしっかりやっている学校でした。

(久我)


2013-09-06 日本

多摩大学でのサッカーマニュアル作成

 8月20日(火)15:00~18:00 多摩大学の体育館でTHANK球プロジェクトが南アフリカの生徒たちのために、サッカーの指導マニュアルのDVDを作成しました。THANK球プロジェクトは多摩大学の卒業生や現役のフットサル部員の皆さんからなるボランティア団体です。サッカーを通じて、南アフリカやラオスや日本国内で、指導したり、ボールをプレゼントしたりすることで青少年のサッカーの推進に貢献しています。

これまで1500個位のサッカーボールを集めて、当TAAAを通じて、南アフリカの子どもたちに送って来ました。南アのTAAAが活動している地域では、ボールもユニホームも靴も十分に揃っていません。ポリ袋を丸めて、ひもで縛って作ったボールでサッカーをする子どもたちもいます。 昨年、THAN球プロジェクトの森直之さんと堀田浩平さんも南アのTAAAの活動地域の学校を訪問しました。渡したサッカーボールで子どもたちはすぐ、サッカーを始めました。初めてサッカーに挑戦した女子生徒も素晴らしい運動能力でサッカーを楽しんでいました。サッカーの指導員の資格を持つ堀田さんも森さんも子どもたちの動きを見ていて、少しサッカーの技術を教えてあげられたら、ぐんと力が伸びるだろうと思ったそうです。

 そこで、帰国後、サッカーの技術を学んでもらえるマニュアルとしてDVDを作成することを始めました。今日はその第2部を作成するために、森さん、堀田さん、そして多摩大学の1年生のフットサル部員の大戸さんと渡邉さんが多摩大学の体育館に集まりました。サッカー未経験の野田は、見学がてら助手として参加しました。

 初めて訪れた多摩大学は丘陵に建てられた緑の多い美しい学園です。到着するとすでに体育館の真ん中に三脚とビデオが備えてありました。森さんは監督とカメラマン。堀田さんが技術のお手本を演じる主役です。1年生のお二人は堀田さんの動きをまねて、生徒役を勤められました。私は開始の合図をする助手です。

 くるぶしから下の動きだけでも、アウトサイド(外側)インサイド、ヒール、足の裏など、それも左足、右足、いろいろな組み合わせでボールをドリブルしたり、蹴ったり転がしたりするので、技術の種類は、数10種類に及びます。堀田コーチが10mほど離れた所から、インサイドドリブルをしながら、カメラに近づいてきます。大戸さんは斜め後ろで同じ動きをし、渡邉さんが堀田さんのすぐ後ろから同じドリブルをしてやってきます。森監督からなかなかOKが出なくて、何回も撮り直す場面もありました。中学でサッカー部だった大戸さんも高校で陸上だった渡邉さんも、運動能力は優れているけれど、サッカーの細部にわたる技術については、まだフットサル部の新入生です。先輩コーチのようにはうまく行きません。堀田さんと森さんのアドバイスを受けながら、汗だくでトライし、やっとOKが出ると私もほっとしました。

 15分の休憩をはさんで、3時間、各種のサッカーの技術を休むことなく、続けました。暑い、暑い、と言いながら、ねばり強く辛抱強く、妥協せず、取り組む素晴らしいコーチと監督と後輩たちでした。スポーツ界で話題となった乱暴な物言いは一切なく、何回かの失敗にも親切に助言し、労い合い、そして後輩たちも真摯に受け入れ、努力を重ねていく姿に感動しました。

 素晴らしいマニュアルが出来上がることと思います。南アの子どもたちや先生がこれを使って技を磨き、南アのサッカー最強のチームがウグ郡から出る日も近いと思います。写真は後列左から、大戸さん、堀田さん、渡邉さん、前列、森さん、野田です。

(野田千香子)


2013-09-04 南アフリカ

給食は命綱

今回の視察で一番心配になったことは、対象地域の子供たちの栄養不足でした。 学校で楽しそうにはしゃいでいる彼らですが、家庭の経済事情はかなり厳しくて、「給食が一日で唯一の食事」という子供たちも多いのです。 そうでなくても、給食が一日の主な栄養源であることが、先生たちの話で分かりました。

しかし、その命綱である給食が質量ともに不十分です。 これは、山岳地域にある電気も水道もないハイマン小学校の一クラスの給食です。 授業が終わると、給食当番が一人一人のお皿に均等に配膳します。 ごはんとお豆のカレー。 少なくとも30人はいるクラスですので、一人分はごく僅かです。 

生徒たちの年齢を聞くと、7、8歳ぐらいに見える生徒たちが、13歳、14歳と小さな声で答えました。 年齢を聞くのはやめました。

8月から始まったJICA草の根技術協力事業である有機菜園プロジェクトでは、ハイマン小学校も対象校です。 水道やタンクはありませんが、幸い通学路に川があるので、生徒たちは川で水を汲んで登校できます。

換金作物用のさとうきび畑が広がる対象地域は、肥沃な地域は白人大農園主に取られていて、地元民の集落や学校は、掘ってみると岩だらけと農業に不適な「使えない」土地があてがわれているところがあります。 その場合は、どんなに菜園を始めたくても不可能です。 幸い、この小学校の畑は、菜園ができそうな土壌です。 学校菜園で収穫されるジャガイモや人参やキャベツが、給食のシチューに入るだけでも、かなりの栄養改善になると思います。 しかし、一日一食は育ち盛りには厳しいです。
(久我)


2013-08-31 南アフリカ

ロゼッテンヴィレ小学校の快挙!

ロゼッテンヴィレ小学校での図書プロジェクトは3年目になります。 ここまでくると、相当な読書家の生徒がでてきます。 テレビやDS、ゲームなど他に娯楽のない地域です。 本好きの生徒たちは、学校から借りてきた1,2冊の本を宝物のように大事にして、返すころには暗誦できる程に何度も何度も繰り返し読んでいるようです。 ある意味、安易な娯楽のないこの地域は、一冊の本ととことん向き合うには、いい環境といえるかもしれません。

嬉しいことに、司書教師のムラング先生から、州教育省主催の地区内リーディング・コンテストでは、6学年が「英語の本暗誦の部」で2位を獲得したという快挙を知らされました。
「生徒たちの読解力が飛躍的に伸びたのは、TAAAの図書プロジェクトのお陰」といってくれましたが、第一にはなんといっても先生達の努力があるでしょう。

ムラング先生は、コンテストに出場した生徒を集めて、発表会をしてくれました。 短い英語の物語の暗誦、ズールー語の暗誦、ディベート。それぞれが力強く素晴らしかったです。

とりを務めたのが写真の歌姫さん。 澄んだソプラノで英語のオールディーズを披露してくれました。 黒板に飾られている単語カードは、先生や生たちによる手作り教材で、教室の壁一面にもクリエイティブな教材が貼られていました。

日頃こういう努力をしている学校だからこそ、私達が送る本をしっかりと活用してくれていて、それがコンテストの快挙に繋がったのだと思いました。
これはよくあることですが、発表してくれた生徒は全員女の子でした。
後日、この学校から「男の子の読書推進クラブ」が結成されたとの情報がありました。
今後は男の子の活躍にも期待したいです。

(久我)


2013-08-28 南アフリカ

"NO ALCOHOL, WEAPONS, DRUGS"

訪れた小学校の敷地に立てたれていた看板です。 広大なサトウキビ畑の合間に民家がポツンポツンと点在する、一見のどかな遠隔地域にある対象校。学校の他にこれといったリソースはありません。 しかし、このような奥まったところにも、ドラッグ、アルコール、武器といった問題は存在し、「それらを持ち込むな」と、小学生に訴えなければならない程に深刻化している様です。 小学生といっても、諸事情で入学が遅れたため、20歳ちかい生徒も在籍しているので、こういう問題が起こりやすい現状もあります。

校長先生にお聞きすると、やはり問題は年々深刻化していて、生活科の授業などで、これらがいかに個人やコミュニティを滅ぼすかを熱心に教えているそうです。

南アは超格差社会です。 特に、都会と私達の対象地域のような遠隔地では、2つの別世界といっていいでしょう。そして、格差は縮まるどころか拡大し、地方の貧困地域は取り残されていく一方です。

しかし、悲しいことに、このような都会の悪い部分だけはいとも簡単に地方に入ってきているのが現状です。 ただ、この地域には、熱心にそれらを防いで子供たちを守ろうとする学校のがんばりがあり、そこに希望を託したいです。

(久我)


2013-08-27 南アフリカ

継続で根付く学校菜園


8月18日~25日の間、プロジェクト視察のため南アを訪問しました。8月1日から正式に始まったJICA草の根技術協力事業「有機農業促進のモデル地域作り」の視察と地元関係者とのミーティングを中心とした訪問になりました。

今回のプロジェクトでは、小学校で菜園活動をして有機菜園技術を学んだ生徒たちが上の学校に移っても菜園活動が継続できるように、隣接するジュニアプライマリ、シニアプライマリ、高校に菜園活動を実施します。 継続することで活動が根付き、高校卒業後、有機農業で生計を立て、他のコミュニティーメンバーに技術や知識を伝えられるような地元のリーダーを育てることを目的としています。 それには、対象校がプロジェクト後に自立して有機菜園活動を持続できるシステム作りが鍵となります。その基盤として、まず最初に、各校に校長、菜園担当教師、メンバー生徒、保護者からなる菜園委員会を設立してもらいました。

最初に訪問したのは、ウムズンベ学区のシボンギムフンド高校(8学年から12学年)です。 ここは、先行プロジェクトでも対象校だったロゼッテンヴィレ小学校(ジュニアとシニアを合わせたフル・プライマリ)の卒業生が通う学校です。 菜園委員会メンバーの生徒のなかには、ロゼッタンヴィレ小で菜園活動をしていた生徒たちも含まれていました。

6月~8月の間は雨の降らない乾燥期で、どの学校も水不足に悩みますが、幸い歩いて15分ぐらいのところに川のある水に恵まれた学校です。

農業巡回指導員である3人の地元TAAAスタッフが、学校の畑で丁寧に生徒たちに苗床作りを教えました。 小学校のときから菜園活動をしていない高校生の場合、高校でいきなり畑仕事をするのは心理的にかなりハードルが高いのですが、ここは菜園に馴染んだロゼッテンヴィレ小の卒業生がいます。 彼ら先輩に刺激を受けたビギナー生徒たちも積極的に技術を学んでいました。

高校での活動の場合、農業巡回指導員が3人とも若い男性であることには多くの利点があります。「畑仕事は女性の仕事」という偏見の強い当地域で男子生徒たちが参加しやすくなることと、年齢差がかけ離れていないため生徒たちも気兼ねなく質問できるようになることなど。

若者のコミュニティー・イベントのようなノリで、始終、楽しそうに活動が行われていました。

(久我祐子)


2013-08-07 南アフリカ

新規事業として学校・コミュニティ菜園プロジェクトが始まりました

8月1日より、新規にJICA草の根技術協力事業として学校・コミュニティ菜園プロジェクトが始まりました。事業名は「有機農業促進のモデル地域作り」で、対象地域はウグ郡のムタルメ・トゥートン・ウムズンベの隣接する3学区です。

2012年12月末に終了した学校・コミュニティプロジェクトは、同じウグ郡内でも離れた3地域で行いましたが、今回は対象地域を一地域に集約し、モデル地域作りを目指します。対象校40校に加えて、卒業生グループ4グループが菜園活動を実施していきます。

南アの遠隔地域における“緊急課題”である若者の雇用促進への取り組みとして、対象校4校の敷地内に実習農園を設置し、各校の卒業生メンバーが、将来地元で小規模農業で自活できるように、有機農業の基礎的知識と技術を学んでいきます。
また、保護者会で有機菜園の研修会を行うなど、保護者を通して積極的にコミュニティにおける家庭菜園を促進していきます。

学校やコミュニティで人を育てていくことで、対象地域が有機農業促進のモデルとなり、将来的に事業の取り組みが他地域でも取り入れられるようになることを目指します。

(TAAA南ア事務所 平林薫 久我編集)


2013-07-31 南アフリカ

司書教師研修会

TAAAの活動の特徴の一つに“研修会を重視する”ことが挙げられると思います。 研修会は、技術や知識を教えるだけでなく、支援対象者にプロジェクトの意義や可能性をより深く認識させ意識を向上させる効果があり、プロジェクト終了後も自発的、継続的なスキルアップの鍵となります。 このため各活動プロジェクトには必ず定期研修会を組み込み、その準備にかなり注力しています。

学校図書支援活動では、定期的に司書教師研修をしています。対象校の教師は、自分たちが生徒だった頃に学校図書室のない環境で育ってきたため、図書室の役割と意義をしっかりと認識してもらう必要があります。
基礎的な本の分類方法や運営のノウハウなど司書の基礎的な仕事を習得するだけでなく、生徒の読書への興味の引き出し方や授業での図書の活用法なども指導します。
また、研修会は、学校間の教師の交流や学び合いの場にもなっています。

新規対象校16校はやる気満々で、研修会開催の前に、校長と司書教師が早速図書委員会を設置して活動への準備を整えていました。 研修会では、“2年目の学校に追いつくようがんばりましょう”と伝え、2年目の学校には“新規対象校がやる気を見せていますよ”と話すと“今年は力を入れて活動するからね”との反応がありました。 頼もしい限りです。

(TAAA南ア事務所 平林薫 久我編集)


2013-07-12 南アフリカ

学校図書支援活動

4月から新規で始まった学校図書活動支援プロジェクトは、順調に進捗しています。 今年度は、昨年度の3地域から1地域に絞り、32校を対象として移動図書館車で巡回訪問指導をしています。
対象地域であるムタルメ・トゥートン・ウムズンベの3学区は、沿岸部から山岳部までの広い地域でそれぞれ環境が異なります。図書に関する各学校の環境もそれぞれかなり異なるため、各学校のニーズに合わせた、きめ細やかな支援をしていこうと思っています。

本だけでなく、算数セットも配布しています。日本の低学年が使う算数セットはとてもよく出来ていて、教師や生徒たちから大変喜ばれています。

 日本で常時中古の算数セットを集めていますが、「子供が使っていたけれどももったいない」と個人の方や「声をかけて集めました」とPTAの方々など、全国から寄せられています。
ありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

(TAAA南ア事務所 平林薫 久我編集)


2013-07-04 日本

JICA横浜の夏休み企画に参加します

7月6日から9月1日まで、「JICAよこはま」にて、JICA横浜、横浜市、FAO日本事務所、国連WFP協会の共催で「アフリカ―手をつないで前へ―」という題の夏休みイベントが開催されます。

これは、第4回・第5回アフリカ開発会議の横浜開催を通して培ったアフリカとの関係性を発展させることを目的に、一般市民が広くアフリカに関心を持ち、学ぶきっかけを作ることを目的としてます。

TAAAは、このイベントに展示参加することで協力することになり、今日は展示のセッティングに行きました。学校・コミュニティー菜園活動を中心に、現地の様子がイキイキと伝わる写真を飾りました。開催中はアフリカに関連した様々なイベントも開催されます。皆さま、是非足を運ばれて、大きな写真からTAAAの活動を感じ取ってくださいませ。
【チラシ】2013年夏休み企画@JICA横浜 アフリカ―手をつないで前へ―(PDF形式/1.87MB)

(久我祐子)


2013-05-15 日本

5月12日(日)の活動報告


『定例作業』
  午前中は、南アフリカに送る英語の本の梱包作業を行いました。 参加者は、野田さん。浅見さん。北爪さん。平林さん。大友さん。西村さん。鯨井の7名でした。

南アフリカ事務所から、本のレベル分け(園児用・児童用・生徒用・専門書など)梱包の希望が出ており、平林さんの指導の下、細かいレベル分けの方針が決まりました。

4月19日に、久我さんと大友さんが、事前に大量の本のレベル分けを行っていてくださり、それを、みんなみんながもくもくとダンボールに梱包していきました。レベル分けのお蔭で、作業もスムーズに捗りました。

『帰国報告会』
 午後は、TAAA南アフリカ現地代表 平林薫さんの帰国報告会を行いました。
 参加者は、野田さん。浅見さん。北爪さん。平林さん。大友さん。西村さん。久我さん。高野さん。鯨井の9名でした。

   まず、平林さんから現在の南アフリカの状況について、報告がありました。  教育関係では、初等教育大臣の進退が問題になっているとのことで、5月下旬までに結論が出るとのことでした。

 医療関係では、病院に関する問題が報告されていました。所得により、受ける医療の格差が如実に表れ、貧しい人は満足な医療を受けられないとの、報告がありました。

 次は、スライドショーを使っての、プロジェクトの実施状況についての報告でした。
 2013年より、支援地域を、クワズールー・ナタール州ウグ郡のムタルメ・トゥートン学区に絞り、菜園プロジェクトと図書支援プロジェクトを同じ学校で実施し、よりキメ細かい支援を行っていく、方針が述べられました。  その中で菜園プロジェクトのファシリテーター、リチャードさんが、南アフリカの新聞の日曜版で紹介されたとの報告がありました。

   TAAAの移動図書館車『ITHEMBA(希望)』号は大変人気で、学校に到着すると子供たちが、鈴なりになって借りる本を物色し、学校に本が大変少なく子供たちが本に“飢えている”様子が写真から見て取れました。
 また、教員に対する、図書の研修を行っている様子も紹介されました。

 南アフリカの学校は本が大変少なく、TAAAも20年かけて、39万冊以上の本を寄贈してきましたが、全然足りていないのが現状です。また、図書室の不備や本棚やブックエンドも不足しており、支援の難しさを改めて認識させられました。

 南アフリカ国内でも、リンポポ州で起きた教科書の紛失事件が物語っているように、政府レベルで図書を含む教育問題に真剣に取り組まない限り、TAAAがいくら図書プロジェクトを行っても、“焼け石に水”状態が延々と続く、悲しい現実が垣間見れた報告会でした。

(鯨井幸一)


2013-04-30 南アフリカ

昨年度の学校図書活動を振り返って


昨年度(2012年4月~2013年3月)の図書活動を振り返ってみると、1年間で、図書環境といったハード面だけでなく、生徒達の読書力や司書教師の図書管理・運営力といった能力面が大きく向上したことを実感します。

知識や経験の乏しい司書教師に対して、学校図書室の管理、利用法について基礎から指導する研修会は効果が大きかったです

各対象校の司書教師は、事業により学校での図書活動の基礎が築かれたことから、今後は図書委員会のメンバーを中心に校内で読書の促進を図っていきたいと意欲を見せています。

今年度は、対象地域を変えて、図書環境がまだ未改善の学校を中心に図書活動を行いますが、昨年度の経験や現地の声を生かして、自立へ向けての働きかけをしていきたいと思っています。

左の写真は、相撲の本を嬉しそうに借りる生徒です。移動図書館車には日本に関する本も多く搭載していることから、日本文化に興味を持つようになった生徒も現れました。ウグ郡のような外部から見放されたような閉ざされた貧困地域において、学校の図書活動は、唯一外国の文化に触れるツールになっています。

(TAAA南ア事務所 平林薫 久我編集)


2013-03-28 南アフリカ

サッカーボールを配布しました


日本から送られてきたサッカーボールを対象校に配布しました。
別途国際小包で送られてきた埼玉産のユニホームは、昨年8月のイベントで活躍したカンヤ高校に寄贈しました。ゴールキーパーは、“URAWA”と書かれたカラフルなユニフォームをとても気に入ってくれたようで、自慢げにポーズを決めてくれました。

8月に訪問しサッカー技術指導をしたTAAAメンバーが、現地のレベルに合わせた基本的な練習マニュアルを作成してくれました。それを担当教師に配布したところ、大変喜ばれ、本格的にコーチングの勉強をしたいという教師も出てきました。

TAAAが行うサッカープロジェクトの基本的な目的は「大勢の生徒たちが休み時間や放課後を健全に過ごす環境を提供する」ことです。ウグ郡のような遠隔地域でも麻薬や犯罪の誘惑があり、また貧困により劣悪な家庭環境下にいる生徒も多いのです。ボール一つで大勢が参加できるサッカーは、非行や犯罪防止にもなり、彼らの健全な心身の成長を助けています。

最近は、トレーニングマニュアルの刺激もあり、サッカーをたんに楽しむだけでなく、生徒もコーチ(教師)も技術向上にも熱心に取り組むようになりました。また、女子の学校対抗トーナメントもできて、男女ともにやる気満々です!
今年もサッカープロジェクトへの暖かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

(TAAA南ア事務所 平林薫 久我編集)


2013-03-12 南アフリカ

ンドウェドウェ地域の学校を訪ねて


TAAAは、2007年から2010年まで、クワズールーナタール州ンドウェドウェ地域で、学校図書支援活動を行いました。また、JICA草の根技術支援として、2007年7月~2009年3月の間、同地域の小学校における健康教育と菜園プロジェクトを現地のパートナー団体と実施していました。

TAAA南ア事務所をウグ郡に移転し、活動拠点をウグ郡内に移してからも、ンドウェドウェの学校教師とは、時々連絡し合い、進捗状況を確認してきました。

2月28日に、図書活動と菜園活動がどのように定着、継続されているかを確認するために、久しぶりにンドウェドウェのムチャトゥ小とシャラガシェ小を訪問しました。
どちらの学校も図書委員会、菜園委員会が設立されて、活動が継続、発展していました。

ムチャトゥ小では担当のマテ先生が研修会に出席していて残念ながら再会できませんでしたが、一緒に図書活動を担当している先生が案内してくださいました。
畑の方も夏の収穫を終えて7年生が次の栽培の準備をしたところでした。日本から持ってきた小松菜とチンゲン菜の種を持って行ったので、ちょうどいいタイミングでした。

嬉しいことに、学校のフェンスのすぐ外に地域の人たちのコミュニティー農園ができていました。“学校の活動に影響されてコミュニティーの人たちも畑作りを活発に行うようになりました”と菜園委員の先生が話していました。

シャラガシェ小は、学校に図書室を作るスペースがなく、コンテナ図書室を寄贈した学校です。現在、コンテナ図書室は学校内の生徒だけでなく、高校生も参考書などを借りに来るとのことです。また、保護者にも公開しており、成人識字教育用の本も置いてありました。少しずつですが、学校から保護者を通して、図書活動がコミュニティに普及してきています。
図書担当のドゥーベ先生は、とても熱心に活動を続けてくれており、コンテナー図書室が有効に使われていることを確認しました。

(TAAA南ア事務所 平林薫)


2013-02-11 日本

本の梱包作業の様子


 本日は、野田さん。浅見さん。北爪さん。丸岡さん。高野さん。浦和学院高校の生徒さん2名。鯨井の8名が参加し、英語の本の梱包作業を行いました。
 作業所は、アメリカンスクールとインターナショナルスクールから戴いた、英語の本が詰まった箱の山が堆く積まれており(廃校やE-books化によるもの)、作業するスペースを確保するのが一苦労するほどです。

 先ず、南アフリカ事務所から、英語の本のレベル分け(児童用・生徒用・教師用など)梱包の要望が出ており、既に、分類されていた本の梱包作業から始めると同時に、次回のレベル分け作業が捗るよう、開梱作業も並行して行い、空いているスペースに英語の本をどんどん積んでいきました。

 正午になったので、梱包作業を終了し、記念撮影を行い生徒さんは帰宅されました。  午後は、食事をしながらミーティングを行った後、13:30には全ての作業が終了となりました。
 しかし、北爪さんが、残業を志願され、午前の残りの梱包と、スペースを確保するための整理整頓作業をされました。北爪さん。ご苦労様です。

 また、浦和学院の生徒さんが、後日、作業報告を学校に提出されるということで、作業の開始前に、昨年(2012年)20周年を迎えたTAAAの活動年譜を基に、今までの活動の歩みの概略を鯨井が説明いたしました。この活動年譜はHPでもご覧戴けます。→ 年譜

(鯨井幸一)


2013-01-26 日本

1月12日にTAAA創立20周年記念報告会・レセプションを行いました


1月12日(土)、さいたま市の「与野本町コミュニティセンター」にて、TAAA創立20周年記念報告会・レセプションを行いました。毎年この時期には地元のさいたま市で報告会を実施しておりますが、昨年に創立20周年を迎えたことを記念し、ゲストの方々によるスピーチや、ささやかなレセプションも組み合わせて開催いたしました。

報告会に先立ち、野田・前代表/現事務局長と久我・現代表から、20年間の支援・協力のお礼と、今後に向けた挨拶をさせていただきました。野田事務局長は、20年間の歩みの概要を紹介し、久我代表は、あらゆる人種差別の禁止を明文化している南ア憲法にも触れながら、現在の課題について触れました。

平林・南ア事務所代表による報告では、当会の活動の3本柱である「図書支援」「菜園活動」「サッカー支援」の概要をお伝えいたしました。TAAAの原点である「図書支援」については、南ア政府も力を入れはじめており、「菜園活動」については、JICAのプロジェクトが終了しましたので、今後も現地で継続されることがポイントとなります。また、「サッカー支援」は地域の学校とTAAAのコミュニケーション強化にもつながっております。

現地の報告に続いて、ゲストの南アNGO「ウムトンボ」スタッフのサンディーレ・ムカディさんから、サーフィンを通じたストリートチルドレンの支援について、写真を交えながら報告していただきました。

休憩後はゲストの方々によるスピーチです。以下の方々から暖かいメッセージを頂戴いたしました。ありがとうございました。


  • 株式会社商船三井 経営企画部 CSR・環境室長 永田順一様
    “図書輸送を通じた支援は、社内報を通じて知られており、社員の誇りです。”

  • 特定非営利活動法人アフリカ日本協議会 事務局長 斉藤龍一郎様
    “本を通じて、情報をどうやって伝えていくかが、大切だと思います。”

  • アフリカ研究者 吉田昌夫様
    “本は確実に喜ばれます。本の支援というのは、良い着眼点でした。”

  • さいたま市議会議員 高柳俊哉様
    “市民が市民に手を差し伸べることは素晴らしく、多文化共生が大切です。”

  • 日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員 牧野久美子様
    “南アと日本は、今後、支援する・される関係から、課題を共有する関係になってほしいと思います。”

  • 動く→動かす 代表 津山直子様
    “TAAAは現地の山奥まで出かけていますが、遠い日本と南アがつながっていることが大切です。”

  • THAN球プロジェクト 代表 森直之様
    “南アではサッカーのコーチや監督が不足していますので、雇用創出にも貢献していきたいです。”


最後に、短い時間ではありましたが、お菓子とソフトドリンクをいただきながら、参加者交流の場を設けました。

どうぞ今後ともご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

(丸岡晶)


2012-12-18 南アフリカ

学校菜園で大きく成長した生徒たち


12月末で学校菜園プロジェクトは一旦終了します。活動を通して生徒たちの主体性が芽生え成長していきまいた。そして彼らの主体性こそが、学校菜園や地域での菜園普及活動を継続させるエンジンになっています。

菜園活動はすでに担当する生徒の学校生活の一部となっています。朝一で水やりと雑草取り、収穫をしてキッチンに運ぶなどの仕事をして、休み時間に次の移植用の土地を耕し、放課後にも世話をしてから帰宅しています。そのような生徒たちは、種や苗を持ち帰って家庭菜園を始めており、彼らが先頭に立って地域での菜園活動の広がりを促進しています。

ドゥドゥドゥ地域のバボンギーレ小では、担当教師が病気欠席している間、育った苗を移植する作業を生徒たちだけの力でしっかりと行いました。生徒は「自分たちの畑」として責任を持って世話をしており、教師は、“学校を出ても仕事がなくぶらぶらしている若者が多い中、私の生徒たちはきっと将来畑仕事で生活して行かれるでしょう”と話していました。同校は前に菜園活動を行った経験がなく、事業開始時には敷地は全くの更地でしたが、現在は農業専門家が“インスピレーショナルな畑”と評価するほどに成長しました。教師や生徒の知識と技術の習得、興味と活動内容、すべてにおいて成果の出た学校の一つです。

(TAAA南ア事務所 平林薫)


2012-10-16 日本

段ボール347箱が南アに出荷されました

10月初旬に、私達が一年間梱包した荷物が横浜港からダーバン港に向けて無事に出荷されました。 写真は発送直前に撮ったものです。 合計段ボール347箱。 英語の本15,671冊のほか、サッカーボール、算数セットが送られました。
今年は、インターナショナルスクールや個人の方々から、現地で最も必要とされている、小学生用の読みやすい小説や絵本がたくさん集まりました。
ご寄附をしてくださった皆様、梱包作業をしてくれたメンバーやボランティアの方々、本当にありがとうございました! これからもどうぞよろしくお願いいたします。

ダーバン港には、11月上旬に到着する予定です。それから、トラックで約2時間かけてウグ郡のTAAA南ア事務所に輸送されます。
11月からは、来年の出荷に向けて梱包作業をしていきます。
今後ともご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

(久我祐子)


2012-09-04 南アフリカ

南ア視察訪問記⑫生徒達の家庭を訪問


空手デモンストレーション
インプレメロ小学校で移動図書館車の貸し出しが終わり、下校の時間になりました。お祈りの集会です。先生たちからの強い要望があり、来住さんが皆の前で空手を披露することになりました。南アでは空手はサッカーと同様に人気があり、生徒たちは来住さんの一挙手一投足をじっと見つめていました。

タレンテ君のお家訪問
学校菜園プロジェクトが3年目を迎えるころ、生徒たちは、驚くほど主体的に活動するようになってきました。ほとんどの学校に菜園クラブができ、メンバーたちは学校菜園に関わるだけでなく、菜園技術と知識を家庭にもちかえり、小さな菜園を作ったり、保護者や近所に教えたりするようになりました。生徒たちを通して、学校菜園から家庭菜園へと、菜園活動がコミュニティーに広がりつつあります。

インプレメロ小も、菜園クラブのメンバーを中心にコミュニティーへ菜園活動を広げている学校の一つです。 今日は訪問最後の日とあって、菜園クラブで活躍するタレンテ君のご自宅を訪問することになりました。

タレンテ君は、ドラえもんに出てくる「出木杉くん」です。菜園だけでなく、勉強、スポーツ共に万能で、友達思いのリーダー格。名前も「才能」です。賢そうな彼を見て、どこにでも「出来杉くん」はいるのだなと思いました。

タレンテ君は、おばあさんと若い叔父さん、そして数人の兄弟と暮らしていました。裏庭に小さいけれどしっかりとした家庭菜園がありました。叔父さんは英語も堪能で聡明そうな方でしたが、失業中のようでした。仕事に出ているおばあさん一人が、かろうじて一家を支えている様子です。

ウグ郡のような南アの遠隔地域には、働き盛りの男性の雇用はほとんどありません。かといって都会に出ても、安定した職につくには、技術や知識が必要で、ウグの高校を出ただけでは、やはり職にあぶれてしまいます。若年層の失業問題は、南アが抱える大問題で高い犯罪率にも直結しています。

現状は非常に厳しいものがあり、無責任な楽観論は述べられませんが、タレントくんたちが学校を卒業するころには、若者たちが地元で自活できるなにかしらの道が、ここウグで拓けることを切に願います。そして、TAAAの現行の菜園活動や図書活動が、たとえ間接的であれ、道を拓く一助になれれば、望外の喜びです。
(2012年8月視察訪問記 終わり)

(久我祐子)


2012-09-01 南アフリカ

南ア視察訪問記⑪初体験:サッカー指導in 南アフリカ


サボーナ!!(こんにちわ!)
8月1日~9日の間南アフリカに行き、サッカー教室をしてきました!

私は、日本でサッカーのコーチをやっていますが、海外の子供たちを教えるのは初めてのことです。
この話しを森さんから受けたとき、こんなチャンスはないと思い受けました。

南アフリカのイメージは、ジャングルでどっから動物が出てくるか分からない、自然豊かなところ。と思っていたら、、、
山はサトウキビ畑で、ジャングルどころか森などなく(森さんは居たが)、
あれ?沖縄?なんて思うくらいのサトウキビ畑!
アパルトヘイト時代の面影だとか。

サッカー教室はというと、、、南アの子はとっても元気!
ボールを蹴ることをとても楽しんでいました。
指導は、日本語→英語→ズールー語でやりました。通訳通してやると時間のロスが多い。 こればかりはしょうがないが、子供たちは集中して聞いていました。

南アはトレーニングの習慣がないそうで、ちゃんとしたトレーニングは初めて。 それでも、普通にこなす姿を見て南アサッカーの将来の可能性が見えました。

グランドはでこぼこ。ある学校は傾斜があるグランド。今の日本の学校はとことん恵まれている。普通に通っていた学校は、あらためて恵まれていたのだと感じました。

しかし、そんなグランドでサッカーをしている子供たちはとても技術がありました。 その技術は、グランドのおかげで身についたもの。
これにトレーニングメニューをこなせば!

可能性に満ち溢れた子供たち。
この子供たちに私たちが少しでも力になれればという思いで、今後もTHAN球プロジェクトを活動していきますので、今後もご支援よろしくお願いします。

(THAN球プロジェクト 堀田浩平)


2012-08-30 南アフリカ

南ア視察訪問記⑩ウグで定着した移動図書館車プロジェクト


インプレメロ小学校では、移動図書館車による本の貸し出しと、サッカーの基礎トレーニングの紹介をしました。

昨年の8月に視察訪問をした時は、図書活動が導入されたばかりで、学校訪問の度に移動図書館車による第一回目の本の貸し出しを行いました。生まれて初めて図書を借りる子供たちの大きな笑顔に出会いました。それから1年を経て、本の貸し出しはすっかり定着し、移動図書館車イテンバ号は人気者として生徒たちの生活の一部になっているといった印象をうけました。

われ先にと本を返却しようと、窓に本を差し出す子供たちにマイケルは「一人ずつだよ」とたしなみます。貸し出しは、全員の返却が終わってからになりますが、「早く借りたい」とイテンバ号の前でワクワクしながら待っている子供たち。イテンバ号には、平易な英語で書かれた薄い本や、つい手に取りたくなるような魅力的な絵本がたくさん置かれています。 返却が終わるやいなや、生徒たちはバスの中に乗り込み、一番の宝物を探すように、目をきょろきょろさせながら本を選んでいきます。
図書室のないインプレメロ小でも、コンテナ図書室を寄贈しました。私達のこれからの課題の一つは、学校の図書室も親しみやすく魅力的な本でいっぱいにして、イテンバ号と同じぐらい人気者にすることです。

イテンバ号から少し離れたところで、テンバこと森さんたちが、サッカー好きの男の子たちは基礎トレーニングを教えました。インプレメロ小学校は、支援対象校の中では比較的町に近い場所に位置しますが、ここでも基礎トレーニングマニュアルは初めての経験で、コーチの先生も「このようなことをしたことはない。とても参考になる」と興味深く見つめていました。昨年はここで女子のサッカー交流をしたこともあり、女子もやりたそうにうずうずしていました。

雨上がりの放課後、イテンバもテンバも大活躍でした。

(久我祐子)


2012-08-27 南アフリカ

南ア視察訪問記⑨本と畑で頭と体の栄養を


視察訪問最後の日は豪雨の中、プンガシェまで車を走らせました。ベカメバ高校でコンテナ図書室贈与式が行われました。ドラミニ所長は式典とあって、一段とはりきってスピーチをしてくれました。氏は、どの贈与式でも一貫して本を読む大切さを訴えていますが、その学年に合わせて話す内容を変えています。

今回は高校高学年の出席者が多かったので「正直にいっておく。本は難しくて、読むことは大変な時もある。でも、You must read!」 そしてネルソン・マンデラ氏に触れて「長いこと牢獄から解放されたとき、マンデラ氏は世界の情勢を全て知っていた。読書をしていたからだ。本から必要な全ての知識を得ていたのだ。」

ベカメバ高校は生徒数442人の大きな学校です。 しかし、今まで図書室はありませんでした。今回贈与したささやかなコンテナ図書室が、彼らにとって初めての学校図書室になります。

南アが新しい民主主義国家に生まれ変わった当初、南アのある教育NGOスタッフがいった言葉を思い出しました。「学習する者にとって、本は食べ物のようなもの。食べ物がなく育つことを要求されるはどれほど過酷なことか」と。しかし20年たった今も、南アの遠隔地域の高校では、相変わらず生徒達は「食べ物」がない状態で、成長することを求められているのです。

強い雨の中、聡明そうな生徒達にかこまれて「せめてコンテナ図書室をいつも魅力的な本でいっぱいにしてあげたい。」と強く願いながらの記念撮影になりました。

ベカメバ高校を後にして、ヒバディーン地域に戻り、インプレメロ小学校を訪問しました。急遽訪問することになったにも関わらず、学校菜園でとれたヘルシーなランチで暖かく私達一行を迎えてくれました。菜園プロジェクトで定期的に行っている研修では、菜園技術や知識だけでなく、収穫物の応用として、健康によい伝統的な野菜の調理方法や栄養知識も学びます。

インプレメロ小の菜園担当のンソミ先生は、採れたての、ほうれん草、にんじん、タマネギ、トマトを使ってその一例を披露してくれました。スパイスやコンソメをあまり使わずに、野菜本来のおいしさが引き出されていました。ほうれん草の料理はあまりにも美味しかったのでレシピを書いてもらったほどです。

ランチのテーブルには、TAAAのプロジェクトマネージャー“シボンギレ”への手作りの“Thank you”カードがいくつも置かれていました。


(久我祐子)


2012-08-23 南アフリカ

南ア視察訪問記⑧女子サッカー教室


バボンギーレ小では、女子対象のサッカー教室をしました。
この学校に、以前サッカーボールを寄贈したら、男子と女子でボールの取り合いっこが始まりラグビー状態になったそうです。最後まで女子は男子に負けずに粘ったとか。このように特に女子が活発なので、先生から女子へのサッカー教室を開くようにとのリクエストがありました。

今回は私も元気なバボンギーレ女子に混じってサッカー教室に参加しました。 最初のランニングから元気いっぱいで、森さんと堀田さんを抜かそうとかけっこ状態に。 日本だと、女の子は小学校高学年になると、男の子の目を気にしてきますが、ここの女の子は、スカートで思いっきり飛び跳ねたり駆け回ったりと自然体です。

2列になって、基礎トレーニングの開始です。私は森コーチの列につきました。
コーチが投げるボールを足でとめてから蹴ったり、とめずに蹴ったりと基礎的な練習でしたが、生まれて初めてサッカーをする女の子たちは毎回がワクワクドキドキ。 実は、私自身もサッカーを習うのは初めての経験だったので、必死でした。

後ろで見ていた女の先生たちにも声をかけて、参加してもらいました。見学している男の子たちは、先生たちがどのようなプレイをするのか興味津々です。 練習メニューはだんだん難しくなっていき、最後は、ジグザグに動くドリブルでした。「これはやばい」と思ったら案の定、私は転びそうになり、地面に手をついてしまいました。大勢の男子生徒が心配そうに見守っていてくれました。 穴があれば入りたいくらい恥ずかしかったです。地面がでこぼこなのにかかわらず、女の子達は一人も転ぶことなく、うまくかわしてきました。普段から鍛えられているのだなと思いました。

終わった後で先生たちは「サッカーは生まれて初めてだったのでとっても楽しかった」といってくれました。ドリブルの練習で一人転んだ私が悔しがっていると「気にしないの。あなたは全力を尽くしたじゃない。」「サッカーはね、転びながらうまくなるのよ。あなたは転んだ分、うまくなったのよ」と励ましてくれました。一緒に練習をした女子たちも「大丈夫だよ」という笑顔を向けてくれました。

すっかり励まされる対象になってしまった私ですが、先生たちのやさしい励ましの言葉から、彼女たちが日頃生徒達にどのように接しているのかが分かり、改めて「いい学校だな」と、暖かい気持ちになりました。勉強がうまくいかない生徒が先生から「失敗の分だけ、賢くなったのよ」といわれたらどれだけ気持ちが楽になり励まされるでしょう。生徒達もまた励まし合っているのでしょう。

練習の後は、森チームと堀田チームに分かれて試合が始まりました。 みんなでボールを追いかける団子状態でしたが、お互いに1点ずつ入れてPK戦に突入。 すると今まで他のボールで遊んでいた男の子達が一同に集まってきました。 そして、女の子がシュートをする度にその子の名前を呼んで声援をおくり始めました。「何々ちゃん、がんばれ、がんばれ」という風に。この地域の男の子たちの女の子に対するやさしい態度にはいつも感動します。

試合は森チームが勝ち、森チーム女子は飛び上がって喜び、堀田チーム女子は、本気で悔しがっていました。あいにくの悪天考で雨の中でのプレイでしたが、みんな元気いっぱいでした。

MVPのメダルをゲットしたのは、ゴールキーパーをした元気な女の子。やったね! 
来年もまたサッカーやろうね。 私も今度は転ばないからね。


(久我祐子)


2012-08-22 南アフリカ

南ア視察訪問記⑦英語の絵本が不足しています


次に訪れた学校は、バボンギーレ小学校です。ここは「シニア・プライマリ」といって、日本の小5~中1までの学校で、生徒数110名に教師4名という小規模な学校です。
くねくねした未舗道を通ってたどり着くと、女の子達が思いっきり、でこぼこの校庭を走り回っていました。 この地域の児童は男の子も女の子も本当に元気です。

この小学校には図書室があり、私達は移動図書館車で運んできた新しい本棚を図書室に運び込みました。 教室ぐらいの大きさの図書室で、本棚には程度本が並べられていました。小さな学校でのこのスペースと冊数は、この地域では、とても恵まれていると思いました。

しかし、本を手にとって調べてみると、子供たちが喜びそうな魅力的な本はほとんどなく、また、かなりの読解力を必要とする本が多く、とても生徒達のレベルに合っているとは思えませんでした。

今回の視察で心配になってきたことは、ここの地域の生徒達の英語力です。ウグ郡のような遠隔地域は、本だけでなくテレビやラジオに触れる機会が少ないため、都会の子供たちと比べると育つ段階で英語に触れる機会が圧倒的に少ないのです。

バボンギーレのようなシニア・プライマリでも、図書室にはジュニア用の薄い英語の本をたくさんおいて、先ず英語の本を読むことに自信をつけさせることが大切なのでは、と思いました。 現行の移動図書館車プロジェクトで生徒達に貸し出しをしている様な、読みやすい魅力的な本を図書室にも沢山並べてあげたいと思いました。南アの場合、基礎的な英語力は、学力の基盤になるので、それが揺らいでいるとしっかりとした学力が育たず、学年が上がるにつれ大きなハンディキャップとなります。

図書室には、ズールー語の本も何冊かありました。南ア社会では、母語と英語ができることが当たり前のように要求されますが、教育リソースが絶望的に不足している遠隔地域においては、2つの言語の読み書きをマスターすることは当たり前どころか至難の業です。あまりにも大きなハードルです。 これからも私達が、ハードルを少しでも低くできるように教育環境を改善する一助になれば、こんなに嬉しいことはありません。
今後とも皆様のご協力をどうぞよろしくお願いいたします。特に英語の絵本は大歓迎です!

別の教室では、学校対抗のカルチャー・コンペティションに向けての男の子たちが高く足を蹴り上げる伝統的なズールーダンスの練習をしていました。子供たちの迫力にはいつも圧倒されます。

(久我祐子)


2012-08-20 南アフリカ

南ア視察訪問記⑥オアシスのようなムチェレニ小学校


滞在5日目の8月6日(月)は、ドゥドゥドゥ地域の学校2校を訪問しました。最初に訪れた学校は、昨年も視察訪問した、ハイレベルな菜園のあるムチェレニ小学校です。 ドゥドゥドゥ地域の中でも、たまに伝統的な民家が見えるぐらいの人影もない奥地に、オアシスのように存在する素敵な学校です。 通学圏は相当広範囲なのでしょう。在校生徒数571名の大きなフルプライマリーの小学校です。

私達が到着すると、校長室に招かれお茶をごちそうになりました。笑顔のフレンドリーな校長先生です。 自宅はヒバディーンのTAAAの南ア事務所の近くにあるらしく、プロジェクトマネージャーの平林(ズールー名:シボンギレ)がスーパーで買い物をしていると、時々、この校長先生から「シボンギレ!」と遠くから驚くほど大きな声で呼び止められるそうです。

南アフリカの遠隔地域では、校長先生の異動がほとんどなく、同じ校長先生が長年一つの学校を務めます。よって、学校の雰囲気、管理能力や教育力は、校長先生の力量に大きく左右され、同じ地域内でも、学校間格差が生じてしまうようです。

ムチャレニ小学校は、かなり立ち後れた困窮地域にありますが、校長先生の人間力なのでしょう。 マネージメントがよく、他の先生たちも有能で気持ちよく能力を発揮しているとのこと。TAAAが関わっている菜園や図書活動も大変活発に行われています。

菜園に行くと、あいにく生徒達はいなかったのですが、菜園の世話係をしている地元住民が、黙々と働いていました。 かなり大きな菜園で、一部は「生徒達の畑」として彼らに任せられています。ここでも「特に男の子が一生懸命」だと聞きました。
ムチェレニ小は、長年菜園活動を独自に行ってきた学校ですが、TAAA菜園プロジェクトに参加するようになり、パーマカルチャーの技術を学び、野菜の質が一段とよくなったと、菜園を案内してくれた先生が伝えてくれました。

教育センター所長のドラミニ氏の音頭で、コンテナ図書室の贈与式が行われました。プロジェクトマネージャーの「シボンギレ」は、スピーチの前半はズールー語で生徒達にやさしく話しかけていました。 私は、「ズールー文化が大切にする“Joy”“Share”“Respect”の3つの美徳を図書活動に生かして、素敵な図書室を作って下さい」と伝えました。

校長先生のスピーチは短く、代わりに歌で喜びや感謝の気持ちを表してくださりました。校長先生が歌いはじめると、生徒達も立ち上がって、体を揺らしながらの合唱になりました。
小学校の生徒達にとって、長い「校長先生のお話」よりも、自分たちと一緒に歌ったり踊ったりしてくれた方がどれほど気持ちをシェアできるでしょう。「日常生活に歌や踊りのある文化は素敵だな」と思いました。私達も歌に参加して喜びを共にしました。

しかし、生徒数571人に対し、コンテナ図書室はスペースが不十分です。 近い将来、この学校で、大きめの本格的な図書室が設置され、充実した学校図書活動が行われるようになってほしいと願いました。そして、いずれは、卒業生や保護者を始め地域住民も利用できるコミュニティーに開かれた学校図書室に発展していくと素敵だなと思いました。

(久我祐子)


2012-08-17 南アフリカ

南ア視察訪問記⑤学校対抗サッカーイベント


前回は「図書館」について書いたので、今回は「サッカー」について書きます。 この視察訪問で1番の大きなイベントだったサッカーイベントを中心にして書いていこうと思います。

このイベントには、小学校2校・中学校2校・高校2校を招きサッカー練習や試合を行いました。
イベントの練習メニューを作成することにあたって1番重要にしたのは、サッカーの練習を行ったことのない子供たちにサッカーの面白さと向上心を持ってもらう事でした。

去年、南アに行ったときに先生から聞いたお話が今でも印象に残っていることは「試合は行っているが練習は行っていない」という事でした。その背景には、指導者が練習メニューを知らない、サッカーボールが少ないので出来ないということでした。
サッカー先進国では、当たり前のことが行われていることがここでは行われないことに驚きました。

話をイベント当日に戻します。
最初に行った練習メニューは、2人1組になり1人はキッカー・1人はスロワーになり、インサイドキック・アウトサイドキック・モモトラップ・胸トラップ・ヘディング・ジャンプヘッドの練習でした。

初めてやる子供ばかりだったので、成功例と失敗例を何度も繰り返しながら子供に見せて上手くなるように努めました。
みんな、初めてみる練習メニューばかりなので食い入るように見ていました。


その次に、学校対抗のリレーを行いました。
リレーは4種類で、走り・ドリブル・手を使ってボールを上に運ぶ・下に運ぶを行いました。
みんな、学校対抗ということもあり1位を目指して頑張っていました。
1位になったチームの盛り上がり方は、日本とは比べられないほどすごいものがありました。たぶん、サッカー以外での勝負は初めてだったからではないかと思いました。

ここで、休憩を挟み2つのブロック(高校生以上・中学生以下)に分けてPK練習と練習試合を行いました。ここからは、MVPの対象になるので子供たちの表情はより一層引き締まっていました

また、PKと練習試合の間にはグランドのゴミ拾いを行いました。
まず、みんなを集めて「なぜ、ゴミを拾う事が大事なのかわかる人?」という質問をするとみんなが顔見回している。一人の子が、真剣な目で「リサイクルするため」と言った。確かにそれも一理ある。その後、誰も手を上げないので答えを言おうとした瞬間1人が手を挙げた「グランドを綺麗にして、怪我を防止すること」。私が言おうとした言葉を言ってくれた嬉しかった。みんなも、納得をしてゴミ拾いを行ってくれた。南アでは、ゴミ箱がないのでゴミ箱に捨てる習慣がほとんどないということにはがっかりしました。

その後、学校対抗の練習試合を行いました。この試合では、MVPも関わっていることもありみんな一生懸命頑張っていました。どの子にMVPにするか凄く迷いました。

試合後には、勝利チームに新品サッカーボールの進呈と各チーム1人にMVPの記念メダルの進呈を行いました。
メダル貰った子もそうでもない子も、みんな終始笑顔でサッカーを行ってくれたことが何よりも成功であり、より一層サッカーを楽しんでくれたのではないかと思いました。

(森直之)


2012-08-15 南アフリカ

南ア視察訪問記④本棚寄贈


次に訪れた学校は、同じくヒバディーン地域にあるテュルベケ小学校です。生徒数144名、6クラスの小さな学校です。図書室のあるこの学校には、本棚を寄贈しにいきました。ここでも、ドラミニ氏の計らいで、急遽、簡単な贈与式をすることになりました。

司会のドラミニ氏が、“You Must”と声を張り上げると、皆は“Read!” と続きます。伝道師と信者のように、これを何回も繰り返しました。

私は、支援対象校の生徒達が「自分たちは海外から支援を受けている子供」という意識を持ってもらいたくなかったですし、常日頃、TAAAはさりげないサポーター的、縁の下の力持ち的な存在で、南アで表だった自己アピールをしたくないと思っていましたので、毎回の式典スピーチで、TAAAの紹介は省き、生徒達に「主人公はあなたたち」のメッセージを伝えました。 この学校でのスピーチでは「これらの本棚は、メイド・イン・ウグで、地元のバーナードさんというすぐれた木工職人の手によって、丹精こめて作られたものであること」を、最初に伝えました。

ドラミニ氏や校長先生は代表の生徒達に熱心に読書の大切さを伝えました。彼らに賢くなって将来しっかりしたリーダーになってもらいたいという熱い思が伝わってきました。

ドラミニ氏は私達を紹介する時、必ず「日本からのゲストは、南アでズールー名に改名して、南アにいる間はズールー名を名乗ります。私も日本に行くと日本名を名乗ります」と生徒達に伝え、生徒達は面白そうに私達の改名を聞いてくれます。 ズールー名での自己紹介は、生徒達と私達の距離をぐっと縮めてくれるようです。

ドラミニ氏に、「自分に日本名をつけてくれ」と頼まれましたので、「太郎さん」と命名させていただきました。気に入ってくれて「タロウ、タロウ」と嬉しそうに繰り返してくれました。 中央の写真は、本棚を一緒に運ぶ「テンバと太郎」のツーショットです。

小さな校庭に一つだけ遊具があり、子供たちが遊んでいました。「イブシソ」こと堀田さんが、ぐるぐる回してタッチをすると、子供たちが大勢乗ってきました。さすがスポーツマンのイブシソです。それでも負けずに、何度も何度もぐるぐる回してタッチ! 子供たちは大騒ぎ。これから2時間ぐらいかけて帰宅するのでしょう。日本からきたお兄さんと大はしゃぎをして過ごした放課後の楽しい一時でした。

(久我祐子)


2012-08-13 南アフリカ

南ア視察訪問記③バラエティのある休み時間


シボングジュケ高校の菜園を訪問すると、数人の男子生徒達が私達の急な訪問に気を取られることなく、馴れた手つきで、黙々と畑仕事に励んでいました。その姿は、ファーマーそのものです。
「菜園活動は盛んですよ。特に男子が一生懸命なんです」と校長先生。「特に男子が一生懸命」なことは、学年を問わずにいえることのようで、対象校を訪問する度に、菜園担当教師たちから聞かされました。

伝統的には、「菜園は女性の、特におばあちゃんの仕事で、男がやるのはかっこよくない」という偏見が根強いこの地域において、男子生徒たちが菜園活動に主体的に取り組むようになったことは、学校という新しい価値観も育む教育現場で菜園活動を導入した成果なのだと改めて思いました。

校長先生は、地域の発展に熱心なアイディアマンで、「ここは農業に適した土壌をもつ、可能性を秘めた地域です。将来的にはエコツーリズムなども栄えるといいと思っています」など、この土地に残って若者達が仕事作りができる可能性を熱っぽく語ってくれました。

サッカー指導者の森直之さんと堀田浩平さんが、急遽、男子たちとサッカーをしてくれることになりました。そしてその隣の空き地では、女子がユニフォームに着替えて、迫力のあるネットボールを展開しました。

菜園、サッカー、ネットボールと、それぞれの好きなことに熱中できる休み時間です。TAAAのささやかな支援は、まだまだ十分ではありませんが、生徒達のアクティビティの選択を確実に広げ、休み時間も有効に過ごせる手助けをしていることが分かり、とても嬉しくなりました。

(久我祐子)


2012-08-12 南アフリカ

南ア視察訪問記②図書支援活動について


今回、私たちは3つのキーワード「サッカー」「図書室」「菜園」を軸にして南ア視察訪問を回りました。私は、「図書室」と「サッカー」を担当しました。私が、この2つのキーワードで1番意識したのは「去年との違い」です。 今日は、「図書室」についてまとめます。

今回1番の仕事は、コンテナ図書室の贈与式でした。
贈与式は3校の学校で行いました。式典では、プンガシェ教育センターのドラミニ所長、学校の校長先生や図書指導員、TAAA代表の久我さん、プロジェクトマネージャーの平林さんが、子供たちに「本を読む素晴らしさ」を伝えました。その中で私が印象に残っている言葉は、久我さんがおしゃっていた「図書館プロジェクトは、私たちでのプロジェクトではなく、あなたたちのプロジェクト」です。これには、子供の顔も変わりこれから頑張って図書の仕事を従事しようという決意が、表情に出ていました。

その次に、本棚を製造しているバーナードさんの工房に行き、今後は本棚のキットを作って頂き、子供たちに組み立ててもらう形を取ってもらうようにお話しました。バーナードさんは自立支援に熱心な方で、この話に凄く興味をもっていました。また、「地域の若者には、自分の手で何かを作り出すことの大切さ、そしてそれが生活の糧となることを教えたい。若者は若者同士で学び、仕事をし、活動するのがいいからね」というお話を伺いました。

その後、TAAAのオフィスに戻り去年届いた段ボール348個の整理を行いました。1つの段ボールには、本が30冊以上入っております。その本を、種類毎に分けて、パソコンに本の情報を打ち込む一連の作業は1つの段ボールで40分以上かかります。その作業を、平林さん・マイケルの2人だけでやっているということ。

私も、一連の作業を行ったもの段ボールに入っている本の種類がバラバラで仕分けるのが大変でした。今後、日本で行う梱包作業の仕組みを変えたほうがいいなと思いました。

また、最終日には移動図書館の運転も行いました。舗装されていない道路を運転するのは、すごく難しくて集中力がいるなと思いました。改めて、マイケルのドライブテクニックの凄さに触れることが出来ました。そして、素人ながら思ったことは、ブレーキが凄く弱かったのではということです。今後、修理が必要だなと思いました。

話を戻して、去年の違いの事について話をすると。1番変わったことは、子供たちが英語の本に触れる機会が多くなったことです。私たちが、活動している地域はTVやラジオが繋がっていない地域が多く、そのような地域で、移動図書館車は絶大な人気があり子供から先生まで笑顔になって本を借りていきます。それは、凄く嬉しいことです。しかし、図書室のある学校はほとんどなく、あっても本棚には本の数が少なく、レベルに合っていない本が並んでいるというのが現実であり、今後の課題であると感じました。

また、先ほどと同じことを言いますが、式典で教育センター長のドラミニ氏や校長先生達が「読書の大切さ」を伝えたのが、子供たちにとって大きな刺激になったのではないでしょうか。

南アフリカにとって、英語は公用語(他に地域毎に10の言語)であります。日本と違って、大人になって英語をしゃべれないと置いていかれて就職をするのに困難になります。子供たちの時から、英語に触れることが大切だと改めて感じました。

(森直之)


2012-08-11 南アフリカ

南ア視察訪問記①コンテナ図書室贈与式


8月2日から6泊7日で私を含むメンバー3人が、TAAAのプロジェクトサイトである、ウグ郡3地域の学校を視察訪問しました。

最初に訪れた学校は、ヒバディーン地域にあるシボングジェケ高校です。生徒数139名6クラスという小さな学校です。 今年度は、一般財団ゆうちょ財団の国際ボランティア貯金の助成金によりジュニアプライマリーから高校30校の図書環境を設備面で改善しています。 図書室を設置するスペースのない学校にはコンテナ図書室を寄贈しており、シボングジュケ高校にもつい先日コンテナ図書室が設置されました。

当初の計画にはなかったのですが、急遽、プンガシェ教育センターのドラミニ所長の計らいで、日本からのTAAAメンバーの訪問に合わせて、贈与式が行われるようになりました。

高校に着くと、生徒達が一生懸命、コンテナ図書室を掃除したり、本を並べたりしていました。皆ワクワクしています。 式典の部屋に入ると、図書メンバーの生徒たちと先生が席についていました。ドラミに所長、州教育省の役人、校長先生、SGB(PTA)メンバー代表、プロジェクトマネージャーの平林さん、私は前に座り簡単なスピーチをすることになりました。

司会進行役のドラミニ氏は始終「本を読むことの大切さ」をユーモアも交えて熱っぽく語りました。「朝、昼、晩と本を読むのです。“You must read” 朝起きても、“You must read” 寝る前も“You must read” でも、シャワーを浴びる時は本が濡れないように気をつけてね」
氏の毎回の“You must read”の後に、全員が“ You must read”と復唱します。

私は最初に、森さんのズールー名が「テンバ」、堀田さんは「イブシソ」、そして肝心の自分のズールー名は忘れたことを告げました。会場から拍手と笑いが起きたところで、「TAAAは、コンテナ図書室は用意させていただきました。今後、本もできるだけ多く届けるようにがんばります。教育センターのドミサニ氏もがんばります。でも、場所と本だけでは図書室は成り立ちません。図書室は、本を借りる人、司書、管理する人がいて、初めて成り立ちます。図書室を作っていくのはあなたたち生徒で、これはTAAAのプロジェクトではなくて、あなたたちのプロジェクトです」と生徒達の方をみて簡単なスピーチをさせていただきました。

式典は美しいコーラスとお祈りで終了しました。

式典の後は、コンテナ図書室に戻りテープカットをして、みんなで記念写真をとりました。この時の言葉も「チーズ」ではなく、「Read」でした。

(久我祐子)


2012-08-01 南アフリカ

図書クラブの設立・コミュニティーへ広がる図書活動


図書クラブの設立
司書教師が活動の進め方を少しずつ理解してきたことや、蔵書も増えてきたことから、各対象校では、図書クラブを設立したり、授業で読書の時間を設けるなど、図書活動の定着と発展が見られるようになってきました。司書教師の役割は大きく、継続的に適切なアドバイスやモチベーションを与えてあげることが必要だと認識しています。

コミュニティーへの本貸し出し
地域内のガソリンスタンドの従業員に対する本の貸出しも始めました。

地域内には本屋はなく、公共の図書館もないか、あってもアフリカ人住民は利用したことがない場合が多く、本に親しむ機会を持てずにいます。家庭の生活は厳しく、子供に本を読む環境を作ることが難しいため、学校が唯一の場であることから、学校図書室の整備は緊急課題です。 しかし、その一方で、学校の生徒たちだけではなく、学校にいっていない失業中または働いている地域の若者にも、本に接する機会を提供していきたいと思っています。

(TAAA南ア事務所 平林)


2012-07-25 南アフリカ

どこへいっても「イテンバ号」は大人気!


ウグ郡の2地域(ドゥドゥドゥ・ヒバディーン)の20校を対象に、2011年に開始した図書支援活動は、2012年度も順調に進んでいます。各校一学期に2回ずつ訪問、貸出しと返却を行っていますが、生徒数が多い学校では一回に一学年のみしか対応できないため、返却時に新たに他学年に貸出しを行い、できるだけ多くの生徒に読書の機会を与えるようにしています。

TAAAは、日本国内のインターナショナルスクールから良質の理数系の教科書を沢山寄贈してもらっているため、現地の高校からは、「日本から寄贈された本はすぐに授業に活用できるものが多く、とても役に立っている」との嬉しいコメントをもらっています。現地で購入するズールー語の本も、とても喜ばれています。
村に公共図書館がなく本屋さんも一件もないこの地域では、移動図書館車による本の貸し出しは、生徒達が教科書以外の本にふれる唯一の機会です。

小学校でも、生徒たちはバスの到来を楽しみにしており、まだ自分たちで借りることのできない低学年の生徒たちも集まってきて興味深そうに眺めています。
このように移動図書館車「イテンバ(希望)号」は、今年度も大人気です。

(TAAA南ア事務所 平林)


2012-07-15 日本

7月7日にTAAA報告会を行いました


7月7日(土)、広尾の「JICA地球ひろば」にて、TAAAの報告会を行いました。
ここ最近は、1月に埼玉で、夏~秋に東京で、南ア事務所代表が帰国するタイミングに合わせて開催しています。また、前回まではゲストを招いての2講演スタイルをとっておりましたが、今回はプロジェクトの報告にしぼって十分な時間をとりました。

TAAAは今年で創立20周年であり、当初は教育支援からスタートいたしましたが、現在は教育、農業、サッカーへとその分野を拡充しています。いずれも学校やそのまわりのコミュニティーがキーとなっていますが、それぞれの分野の報告を数多くの写真とともに行いました。

現在TAAAは、南アフリカ共和国クワズールー・ナタール州ウグ郡の3地域(プンガシェ、ドゥドゥドゥ、ヒバディーン)でプロジェクトを実施しています。南ア事務所代表かつプロジェクトマネージャーの平林薫は各学校の先生方と本音で話し合う関係を築いており、それだけにきめ細かくサポートしたいというパッション(情熱)をもって活動しております。

まず、農業(学校菜園)関係の報告がありました。プロジェクトは順調に進んでおり、豆・芋・カボチャなど、様々な野菜が学校で育てられています。活動の特徴としては、単に野菜を育てるだけでなく、生徒たちに栄養を考えさせる機会を設けたり、農業専門家であるリチャード・ヘイグ氏の農場訪問実習(生徒・先生への研修)を企画したり、農業展覧会への参加機会を与えたりするなど、様々なイベントを絡めています。その一方で課題もあり、水不足や水過多の地域があったり、牛や猪などに収穫前の野菜を食べられてしまったり、ということもありました。しかしながら、収穫された野菜は給食に使用され、余ったものは販売することで学校の資金となり、さらには生徒たちが将来就農する可能性も開けています。

次にサッカー関係の報告がありました。こちらは、「THAN球プロジェクト」とタイアップし、サッカーボールの寄贈を行なっているものであります。学校訪問の際、TAAA現地スタッフであるマイケルがサッカーの指導を行なっております。南アの学校は日本の学校と異なり、校庭にもかかわらず坂や石があるなど、環境としてはあまりよくありません。しかしながら生徒たちは、それをものともせず裸足のまま大喜びで練習しています。菜園の収穫物を一部販売することで資金を得ている学校もありますが、基本的には自由に使えるお金がないようです。したがって、日本からのサッカーボールの寄贈については、どの学校からも感謝の言葉をいただいています。サッカーの魅力は国や地域を問わず、南アでももちろん、男子生徒も女子生徒も目の色を輝かせながら夢中になっています。

最後に、TAAAの原点である教育(図書支援)関係の報告がありました。日本から南アへは年に1回、商船三井様のご好意で数多くの英語の本を運んでいただいています。ダーバン港に到着した本は南ア事務所へ運ばれ、整理および保管されます。これらの本は移動図書館車に乗せられ、各学校を巡回いたしますが、今回届いた本は高校性向けの本が多かったようです。南アの地方の学校ではまだまだ本が不足していますが、本だけではなく、本棚や図書室が不足している学校もあります。そうした学校には、各種助成金からの支援などもいただき、本棚の設置や、コンテナ図書室の寄贈も進めています。英語の本はもちろんですが、ズールー語の本はさらに不足していることもあり、これらの本は購入したり、日本で英語の絵本にズールー語のシールを貼って届けていますが、特に喜ばれているようです。

報告会終了にあたり、平林薫から、「子どもたちの笑顔を見ていると、能力を秘めている彼ら・彼女たちに、できるだけチャンスを与えたい」という率直な気持ちが語られました。どうぞ今後ともご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

(丸岡晶)


2012-06-25 南アフリカ

西ケープ州エルギンからの移動図書館車運行レポート


TAAAは、毎年度末に、移動図書館車を寄贈した団体から移動図書館車プロジェクト報告書を提出してもらっています。

1997年に送ったバスを運行するエルギン学習基金(Elgin Learining Foundation 略名ELF)から報告書が届きましたので簡単にご紹介します。
ELFは、西ケープ州ケープタウンから車で約1時間半のところにある果樹園地域エルギン地区内にあります。 1995年に設立されたこのNGOは、農業、教育、保健、小規模ビジネス支援と幅広く活動しています。

ELFの移動図書館車は、ペインティングせずにずっと送った時のそのままの日本の姿で南アの果樹園を走りまわっていますが、最近写真のようにペインティングされたようです。
昨年度と比べ支援対象校が7校から9校ふえました。対象校のうち図書室のある学校は1校のみと、昨年から増えていません。 移動図書館車プロジェクトは10年以上になり、車両状況は万全とはいえませんが、大切に活用し、運行は定着しています。


2011年度移動図書館車プロジェクト報告

対象地域西ケープ州 エルギン、グロービュー
対象校・生徒数9校 577人
図書室のある学校1校
移動図書館の学校巡回頻度2週間に一回
移動図書館車用の蔵書数2000冊
生徒に人気がある本絵本、小説
プロジェクトの問題点教師たちの協力・支援が不十分

2011年度の主な進展
1. 図書館データベースをより利便性の高いSLIMSデータベースにアップグレード
2. Appletiserから移動図書館ファシリテイターに対し奨学金の給付(情報学・情報教育学学士号向けの奨学金3名分)
3. 西ケープ州教育省から新しい本約800冊を寄贈される

学校での読書推進の取り組み
西ケープ州の学校では授業外にリーディングの時間が必修となっている。この時間を利用して、教科書以外の教材を使用して読解力増強を図っている。西ケープ州ではすべての4~9年生は家庭で決められた冊数の読書や英語以外の本を読むことが求められる。この方針に従ってブックレビューやディスカッション、読書記録を取る等の活動が行われている。これらの活動は読解力向上推進プロジェクトの一環として年度末に報告される。

対象生徒たちについて
50%以上が片親に育てられている。親の職業は、おもに農地労働者、家政婦。 退学率(小学生)は10%以下。退学の理由は、仲間からのプレッシャー、健康上の理由、家庭やコミュニティーの事情、教師との関係不良

(翻訳 上林潤子)


2012-05-21 南アフリカ

視察訪問記②


JICAの菜園活動を中心に今回、代表の久我祐子と事務局長の野田千香子がクワズールーナタール州ウグ郡を訪問しました。TAAA南ア事務所代表の平林薫とスタッフのマイケルと共に学校を回りました。その中から、学校の図書館事情とスポーツなどについて、印象に残ったことをお伝えしようと思います。

★クワボンゴ小中学校(6歳~13歳位)では移動図書館からの本がとてもよく利用されているとのことを聞いて嬉しいでした。
先生方も借りて英語やズールー語の授業に使うとのことでした。図書委員会もあり、読書のコンテストも行うそうです。
しかし、図書室を見せてもらうと、教室位の広さがあって本棚もあるのですが、本は棚の所々に倒れそうに、少し置かれているだけです。日本から届いている児童書を平林が次回、この学校にも持参する約束をしました。

★インククコ小(小5~中1)を訪れた時は、昼休みでした。ここで50歳の実に力強い女の先生に出会いました。実は最初その先生を見た時、校庭で食べ物を置いた木箱の前に座っていたので、オヤツを売りに来たおばさんかと思ったのでした。
南アの学校には、昼休みに物売りのおばさんがよく、校庭に来ているのです。

しかし、そのかたは私たちを見ると、さっと教室へ案内してくれました。そこには子供たちが描いた大きな動物の絵が所狭しと、天井や壁いっぱいに貼られていました。圧倒される力強い作品群にびっくりしました。籠やマットなどのクラフトも天井から下げられていました。美術の先生の指導力に感服しました。

さらに驚いたのはこの先生の体力と気迫です。

私たちが持参したサッカーボールを先生に渡した途端に、先生は小6位の女子たちに向かって渾身の直球を投げました。ぎょっとするような直球を女の子はしっかりと受け止め、投げ返しました。続いて先生から第2球・・。
狭い校庭ですが、ネットのポールが2本立てられ、男子組と女子組に分かれて、すぐネットボールが開始されました。先生はいつの間にか、笛を口にくわえ、大きな動作で試合開始の合図をする。男子組には、頭一つ分、背の大きい生徒が3人もいます。小柄な女子組はその間を潜り抜けて上手にボールを運びます。

応援の甲斐なく、1点の僅差で男子に敗けてしまいましたが、実によく応戦し、将来を期待できる女子たちでした。大きな声と動作と笛で生徒を制する50歳の先生も、凄かった!頼もしい南アの生徒たちと先生でした。

(野田千香子)


2012-05-15 南アフリカ

視察訪問記①


5月3日~6日に現地視察訪問をしてきました。正味3泊4日の駆け足訪問でしたが、学校を中心とした充実した訪問になりました。

到着した日は、支援対象地域であるムタルマ地区の教育センターを訪問し、地域の青少年がかかえている問題やそれを改善すべく支援のあり方などを話し合いました。
南アの遠隔地域では、ほとんどの子供たちは、祖母に育てられています。様々な事情で親のいない子供が多く、祖母のわずかな年金に頼って暮らしています。センター長のフォロンガネさんの話によると、祖母も亡くなり、子供だけで暮らしている極貧家族もいて、彼らはレイプや犯罪にさらされやすい過酷な状況下で暮らしているとのこと。

ウグ郡は、広大なサトウキビ畑が奥地まで延々と続く地域です。サトウキビ畑に挟まれるようにしてある小丘や谷に、ぽつんぽつんと民家が点在しています。一見のどかにみえる遠隔地域ではありますが、ドラッグ、犯罪、レイプ、HIVに関連する様々な都市部で顕著な問題が浸透しています。そのような問題があることは認識してはいましたが、フォロンガネさんの話から、想像していた以上に問題が複雑化し深刻化していることが分かりました。
その原因を「貧困からくる悪循環」というフォロンガネさんは、「新政権になって民主化がやってきました。それ事態はいいことだけど、若者は、自由には責任が伴うことを知らなさすぎる。親や教師のいうことを聞かなくなりました。そのことも原因です」とおっしゃったので、「文化が変わったのですか」と聞くと、「文化は変わっていない。変わったのは態度です」。「文化は変わっていない」と断言されていたことが印象的でした。

次の日は学校訪問をしました。 学校菜園プロジェクトでよく教師研修会場として使われるインプレメロ小学校(シニアプライマリー)を訪ねると、授業中に数人の生徒達が菜園で作業をしていました。「今はテクノロジーの時間で、この科目では2つのクラスに分かれて、1つのクラスは実践として菜園を使っています」といいながら担当のンソミ先生が菜園を案内してくれました。 他の学校でも、畑は様々な授業に応用されています。 インプリメロ小学校は、忠実にパーマカルチャーを実践している学校です。 とても熱心に取り組むンソミ先生は、週末も時々畑の世話に学校にくるそうです。生徒たち用にランチも持参して、 学校の周辺に住んでいる生徒達にも来させて世話をさせているといっていました。

菜園プロジェクト校は、収穫物を給食の食材に使っていますが、余剰作物は、保護者などのコミュニティに売って学校や菜園の資金に充てたり、貧困家庭の生徒たちに持たせています。学校の先生たちは、生徒たちの家庭事情をよく把握しており、公平な判断でニーズのある家庭の生徒を選んで渡しているようです。
助け合いや分かち合いの精神はズールー人が大切にしている価値観です。

ンソミ先生は私たちを教室に案内してくれました。 私たちの突然の侵入にかかわらず、高学年の生徒たちは熱心に授業に集中していました。 畑からの収穫物がいくつか展示され、教材に使われていました。

次に訪れたのは、インプレメロ小学校よりもさらに奥地にあるワイルダー小学校。 ワイルダーはジュニアプライマリースクールといって、低学年までの生徒が通っています。ここの生徒たちは2時間くらいかけて通学する遠方かからの子も多く、低学年にはかなりの負担になっています。 校長先生は、毎朝、遠方からの子供たちを車で送り迎えしてあげているそうです。

今回の訪問では、学校の先生たちが、学校での勤務以外に、自分の時間やお金を使って生徒たちをケアしている話をよく聞きました。 南アには「Any Child is My Child」という言葉があり、伝統的に子供を大切にする文化があります。 その言葉どおりの暖かい空気がこの地域の学校には漂っていました。

放課後になると、菜園クラブの男の子たちが、「俺たちの畑」とばかりに、威勢よく畑を耕していました。 慣れた手つきです。ワイルダーは、比較的最近菜園をはじめた学校ですが、 家の周辺にメイズを育てている家庭の子供も多く、子供どうし教え合い学び合っているそうです。 菜園での生徒どうしの学び合いは、ワイルダー小学校に限らず、他の学校でも顕著に見られてきた傾向です。 担当教師も生徒から学ぶことが多いそうです。 

地べたに座って仲良く自習をしている教室をそっとのぞいて、自然体の写真を撮らせてもらおうとすると、すぐに気付いて、さっと一列になってしまいました。写真をみせると「ワー」と大歓声。 もう一度そっと撮ろうとしたところ、またすぐに気づかれて瞬く間にカチカチの整列状態に。 彼らの行動のすばやさには驚かされました。 
右の写真は整列する直前の一瞬です。「あ、写真とるんだ!」 3秒後には、私の目の前で兵隊さんのように並んでいました。

(久我祐子)


2012-05-01 南アフリカ

地元の大工職人との出会い


図書支援対象校のうち、とくに設備の乏しい15校に本棚の寄贈を行いました。せっかく蔵書があっても本棚がないため本が山積みになっている学校もあり、学校での図書活動を開始するにはまず本を整理して本棚に納め、生徒が利用できる状態にすることが大切です。

本棚は地元の小さい工場で一点一点、心をこめて製造されています。工場長のバーナードさんはサトウキビ畑の丘の上に建つ古い教会の跡地を作業場に使っています。
教会はいつも通り過ぎる時に見ていて、“このあたりは昔、宣教師が来ていたのだな”と思っていたのですが、まさか家具作りの作業場になっているとはバーナードさんと出会うまでは知りませんでした。

バーナードさんは若者の自立支援にも熱心で、“地域の若い人たちに技術を学ばせて、地域内で自立できることを目指したい”“私は工業はもちろん、農業もしている。地域の若者には、自分の手で何かを作り出すことの大切さ、そしてそれが生活の糧となることを教えたい”“若者は若者同士で学び、仕事をし、活動するのがいいからね”というお話を伺いました。

自分がこれからも支援を続けて行きたい地域に、同じ思いを持った地域のリーダーがいたことと、思いがけない場所で彼と出会えたことをとても嬉しく思いました。

(TAAA南ア事務所 平林薫)


2012-04-18 南アフリカ

3年目に入った菜園活動


クワズールー・ナタール州ウグ郡で始めた菜園活動は3年目に入りました。
化学肥料や農薬を使用しない環境保全型の農業指導を続けています。 一学期に1回、教師を対象とした菜園活動の研修会を開催していますが、畑で実習を行う際には、会場となる学校の生徒も参加します。生徒たちは飲み込みが早く、とても熱心に取り組んでいます。
左の写真はダブル・ディギングという、たい肥作りの方法を学んでいるところです。

中央の写真はワイルダー小の元気いっぱいのリトルファーマーたち。この学校はとても熱心で終業式の日にも菜園活動をしていました。 夏の収穫を終えて次の葉物野菜の苗床作りをしているところです。

菜園活動は、コミュニティーにも広がり、根付いてきています。
右の写真は、ムシカジ・コミュニティー。キャベツが育っているところで、ジャガイモの植え付けも行われていました。年間を通して確実に収穫を得ています。それにしても、ここは本当に美しい地域で、まさに“聖地”という感じです。訪問するたびに心が洗われるようです。

(TAAA南ア事務所 平林薫)


2012-04-06 日本

石巻からいただいたお手紙


石巻市民で、ご自身も被災者でありながら、震災直後からずっと支援活動をしている佐々木智恵さんからお手紙をいただきました。ご紹介いたします。

アジア・アフリカと共に歩む会の皆様方へ

春のおとずれを感じながら、もうすぐあの大震災から一年一ヶ月がたとうとしています。
この一年、アジア・アフリカと共に歩む会の皆様方に、多大な御支援を賜りましたことを、友人、知人を代表して厚く御礼を申し上げます。

昨年の地震で、日本中が大変な中、皆様におかれましても、大変な思いをされていた方もいたのでは・・・と思うと、心があつくなりました。
皆様から送って頂いた真心の御支援は、私の友人・知人にも協力してもらいながら、たくさんの方々へ声がけをし、津波で被害にあってしまったお子様がいる家庭を中心に、ご高齢でお孫さんがいる家庭、おいっこ、めいっこさんのいる家庭など、100を超えるご家族のもとへ届けさせて頂きました。

石巻が中心でしたが、石巻も数年前に地域合併として広くなってしまいました。市街地が主な届け先でしたが、牡鹿半島の鮎川という半島方面や、女川、また東松島市の大曲方面も甚大な被害をうけ大曲地区も住めない地域となりました。 その方々にも避難されたところ、また、アパート、仮設などに行きました。広くは仙台方面の浸水した地域の方々にも届けさせて頂きました。

牡鹿半島の鮎川という所より、もう少し先に、新山浜という地区があります。ここの地区は、金華山という島に守られ海の津波被害は少なかったのですが、地震の震源地にとても近かった為、山がくずれ山津波が発生し、孤立した地域でした。普段はあまり使う方も少ない山道も、抜け道をさがしながら当時は使っていたそうです。新山浜地区にご家族を持つ方が石巻にいました。道路は危険な所が多いということで、その方々が帰る時などに届けて頂いた事もあります。2月にだいぶ道が良くなったとの事で行ってみましたが、いまだに危険な道を通って地元の方々は暮らしているのだと改めて思いました。

お子さんのいる家庭はだいたいが高台にある仮設で暮らしています。必要な物なども、どこの家庭でもひととおり落ち着きをみます。

しかし、3・11を前後に、心の中にかかえてしまったそれぞれの思いが暗くかげをおとしています。先月、ある中学校の校長先生にお会いする機会があり、お話をうかがいました。震災から一年をむかえ、色々なところから、メディア・マスコミがくるそうです。中学というところは、年代的にも重要で、この震災の中、受験にいどむ生徒さんもいらっしゃいました。
メディア・マスコミの方々は、仕事としてとらえてくるので、被害にあった方々の心によりそうのではなく、まるでイベントのような感じでみえたそうです。
「子供達は、小さな仮設でまわりに気を使いながら、大人達の会話を聞き暮らしているそうです。子供と大人の間の年齢で、いろいろなものをずっしりとせおって、朝登校してきているんです。その子供達を守る為に取材は断った」と言っておられました。
たくさんのお話の中の一部で、皆さんに伝わるかどうかと思いながら書きました。 心の復興が大きな課題です。

私をふくめ地元や地元近くで暮らす人々はまだ、少しでも話す人や心の悩みを理解しあえる人がいますが、福島から避難して暮らしておられる方々を思うと、本当に心が痛みます。同じ原発をかかえている地域の一人として、考えさせられる事や、心のおき場所や、いろいろと思うと、年のせいか涙がとまりません。
同じ東北の友として、何か心によりそえる様な事が出来るなら・・と思います。

これからも地元、石巻が中心になるかとは思いますが、支え支えられながら、心の復興を皆さんと共に絆という虹の橋築き上げていきたいと思います。
長文になり、また文書作りがにがてなため、読みづらかったらすみません。 長文を読んで頂き、ありがとうございました。

季節の変わり目ですので、体調に気をつけてがんばって下さい。

佐々木智恵


2012-03-29 南アフリカ

給食と学校菜園

南アの地方の学校では給食が一日のメインの食事という子供が少なくありません。朝食をとって来ない生徒が多いため、ランチは早め(10時半ごろ)に始まります。給食室などの設備がなく、多くの学校では外でまきを使って煮炊きをしています。

基本的なメニューは曜日ごとに決められています。 材料は生徒数に応じて業者が配達するようになり、給食の中身はかなり改善されましたが、まだまだ栄養面でも不十分です。
キャベツやホウレン草、ニンジン、じゃがいもなど菜園に収穫がある時は、その日使う分を畑からとってきてスープの中に入れることができるので、栄養価がぐっと高まります。

給食制度は以前は小学校のみでしたが、昨年より地域限定で高校でもランチが提供されるようになりました。給食改善の面からも、菜園活動は実質的な効果が大きいことから、学校菜園作りの必要性がますます高まってきています。

右の写真は、農業専門家、リチャード・ヘイグ氏がンシャルワネ小のムカディ先生に指導をしているところ。ンシャルワネ小は担当教師だけでなく、他の教師も菜園活動に大変興味を持っていて、学校全体で熱心に活動を進めています。同校では3月15日には保護者へのワークショップも行い、学校周辺でコミュニティーへの活動の広がりも見られるようになりました。

(TAAA南ア事務所 平林薫)


2012-03-05 南アフリカ

高校に図書室を作りたい!


日本からの荷物は無事に倉庫に運び込まれました。
今年は、12,800冊の英語の本、751個のサッカーボール、150本の縄跳び、52個の算数セットなどが届きました。
ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。早速、各地の学校へ配り始めました。

先日かわいい生徒の写真をお送りしたので、今回はちょっと大人っぽい高校生の写真をお送りします。プンガシェ地域のベカメヴァ高校の生徒たちに本とサッカーボールを届けた時の写真です。

男子は高校生でもサッカーボールを持つと子供みたいな笑顔になりますね。

本を受け取ったのは圧倒的に女の子たち。
先生も箱を開けた途端、ペーパーバックを手にとって“早速読もう!”と大喜びでした。 その中に混ざって、一人読書が好きそうな男子生徒がいました。 難しそうな本を手にとってニヤリとしていたので、”Enjoy!"と声をかけると静かに頷いていました。

この時、“この生徒のためにだけでももっと本を持ってきてあげたい。図書室を設置してあげたい”と強く思いました。

南アの地方で高校まで進む生徒はきわめて優秀です。 しかし、高校にさえ図書室がありません。 この状況を少しでも改善していきたいです。

(TAAA南ア事務所 平林薫  編集:久我)


2012-02-16 日本

2月12日梱包作業&ミニ講座のご報告


2月12日 梱包作業とミニ講座の報告

梱包作業
英語の図書、サッカーボール、文具などの南ア向け再梱包作業を行ないました。昨年10月にコンテナーで出荷した作業場は一旦、がらんと空きましたが、この3か月余りで、また、段ボールの山ができつつあります。

小さい子ども用、中高生用などとできるだけ分類して箱詰めします。北爪さんは自宅で受け取った本をトラックに積んで皆より1時間半も早く到着して仕事を始めていました。遅刻の人、早帰りの人・・皆忙しい中からの参加です。
しかし、ボランティア皆の総力で、作業が捗っていきます。東北の被災地へ送る荷物は高野さんがまとめました。

ミニ講座
森さんが昨年11月にカンボジアを訪問。参加した4大学で行った子供たちとのサッカー交流報告をしました。ポルポト政権時代の後遺症は、深く人々の生活に影を落としています。知識人がほとんど虐殺され、教員や医師などが決定的に足りません。学校の校舎ができても教師が不足。

そうした状況下で、子どもたちへのサッカーボールのプレゼントは、子どもたちの生きる希望にもつながっているようです。 「自由南アフリカの声」の58号にも概要が掲載されています。

その他、茂住さんが今月、福島・石巻にも行きたいのでメンバーでの同行者を募りました。

以上

  (TAAA事務局 野田千香子)


2012-02-15 南アフリカ

ワイルダー小のサッカー戦士たち


サッカーボールは生徒数を考慮して一校当たり10-18個の寄贈を行っています。

先日、ヒバディーン地域のワイルダー小に届けました。この学校はジュニアプライマリーでグレードRから4までなのですが、菜園活動も図書活動も活発で、先生方ともすっかり顔見知りになって、ンドウェドウェ地域のズバネ小みたいな親密な関係が作れるかな、と思っています。

男の子たちはグレードRと1年生なのですが、みなすごい運動神経です! 特に先頭を走っている子は、ボールを渡した途端、シャツを脱いでやる気満々。動きが違いました。
女の子はネットボールに使うみたいです。

(TAAA南ア事務所 平林薫)


2012-01-28 南アフリカ

中1の女の子の詩“Let’s heal the world”


前期に、学校菜園プロジェクトをしている学校を対象に“菜園と栄養”に関する詩と絵のコンテストを行いました。たくさんの応募作品の中から、ヒバディーン地域インプメレロ小7年生(中学1年生)の女子生徒ザネレ・ムゾベさんの詩“Let’s heal the world”(オリジナル)が最優秀賞に選ばれました。ザネレさんは、詩を通して、しなやかな感性で“土壌、自然を守ろう”と訴えています。

ザネレさんの詩をご紹介します。

Let’s heal the world
 By Zanele Mzobe Grade 7 Impumelelo Senior Primary

I am the soil. I am the top covering of the earth and under every step you take. Will you please listen to my story before I completely disappear?

My body is like a big warm blanket wrapped around the earth. I have many different textures from gritty to silken soft. Imagine all the different shades of brown, yellow, red and black and you will know a part of me.
I am a home for seeds and plants. Plants get their water and nutrients through me. In my layers there are tiny organisms which are necessary for my fertility, breaking down humus and making pathways for air and water.

Every person on earth needs enough food to eat every day. So I do. Food is dependent on me. Besides food, people also grow plants and trees that produce medicines, coffee, tea, sugar, grapes and apples.
You need me. I need you to look after me. I take lots of time to make and you can destroy me in a minute. Please help me so that I can produce healthy vegetables and fruits for you.

There are many people on the earth and the population is growing. Much of me have been lost by erosion. Yet there is still time to secure me before I get swept away completely. You could use different techniques of farming which strengthen me slowly and surely.

世界をいやして  ザネレ・ムゾベ(インプレメロ中学1年)

わたしは土。地球を包み、あなたが歩む下にある。
わたしが消滅してしまう前に、わたしの話を聞いてほしいの。

わたしの体は、地球を包む大きなあたたかい毛布のようなもの。
ざらざらなものからなめらかなものまで、いろいろな生地がある。
茶色、黄色、赤や黒の混ざったさまざまな色合いを想像してもらうと、わたしのことが少しわかってもらえるかしら。

わたしは種や植物の家。
植物は、わたしを通して、水や栄養を得ている。
わたしの中のとても小さな微生物が、わたしを肥沃にし、腐植土をつくり、空気や水のための小道をつくる。

地球上のすべての人は、毎日食べるのに十分な食料が必要だ。
だから私がはたらく。食料はわたしに依っている。
人々はまた、薬やコーヒー、お茶、ぶどう、りんごを作る樹木を育てる。

あなたはわたしが必要。わたしは、世話をしてくれるあなたが必要。
わたしができるまでには長い時間が必要だけれど、瞬く間にこわされてしまう。
どうかわたしを助けて。
そうすれば、健康な野菜や果物をあなたのために作ることができる。
土壌流出で、わたしの多くが流されてしまった。
でも、すべてが流される前に、わたしを守る時間はまだある。
ゆっくりだけど確かにわたしを強くするさまざまな農法を使ってほしい。

(訳 津山直子)

(平林)


2012-01-21 日本

TAAAの新しい仲間を紹介します!


私がTAAAの活動に参加させていただいたきっかけは、THAN球プロジェクト代表の森直之さんのTAAAでの活動を耳にしたからです。 森さんは“サッカーを通じて南アの子どもたちを笑顔に”を胸に活動をしています。 その森さんの背中を見て、自分にも何かできることはないかと思いTAAAに参加させていただきました。

TAAAスタッフの方々は南アについての知識が豊富で多方面からそれぞれの問題意識を持っていられるので、勉強になることばかりです。 南アの子どもたちのために、今の自分にできることをする。 私は南アに行き、この目で現状を知り、その先に見える課題を少しでも多く解決していきたいです。

また、人との出会いを大切に、活動に参加させていただきたいと思っています。
よろしくお願いします。

(横山礼)


2012-01-13 日本

1月8日にTAAA報告会を行いました


1月8日(日)に浦和コミュニティ・センターにて、TAAAの報告会を行いました。
第一部はTAAA南ア事務所代表でプロジェクトマネージャーの平林薫が、クワズールーナタール州ウグ郡の3地域で展開している菜園プロジェクト・図書支援プロジェクトを、動画を流しながら紹介しました。
図書館も書店もない遠隔地域で図書活動をすることの大切さ、子供たちの知識や能力を高める本の力が、嬉しそうに本にふれている子どもたちの姿を通して伝わりました。

【第一部講演内容】
「一つの国に世界がある」といわれるほど多様性が魅力的な南アフリカだが、アパルトへトの痕跡は今もいたるところにあり、さらに昨今の経済格差拡大が一般の人々を苦しめていている。
最近の経済統計によると就労人口の60%が仕事に就いておらず、そのような背景から、犯罪や一攫千金を狙った麻薬が蔓延している。年々増加する若者の失業率を懸念する教育省は、高校卒業者および中退者のスキル習得を重要課題としている。

TAAAは、JICAパートナー事業として、クワズールーナタール州ウグ郡内の3地域(ヒバディーン、プンガシェ、ドゥドゥドゥ)の30校を対象に菜園プロジェクトと行っている。
川のないドゥドゥドゥ地域では、灌漑用水の水の確保が大変で、山がちなプンガシェ地域は、雨天日は山道が非常に危険になるなど各地域に難点がある中、プロジェクトは概ね順調に進んでいる。
学校菜園の主な目的は、給食の充実化、基礎的な菜園技術の習得、意識改革の3つで、小学校の時に土いじりを楽しむことで、技術習得だけではなく、農業に対する健全な気持ちが育つ。これが将来的には地域における菜園・小規模農業の発展につながる。
農業専門家によるワークショップを年4回開き、「菜園と栄養」というタイトルでコンテストを行うなどして、菜園を通して、食の安全、栄養、環境、保健など技術以外の様々なことを生徒と教師に伝えている。

図書支援に関しては、対象校のほとんどは図書室がないため、移動図書館車が非常に有効で、どの学校でも図書は大変喜ばれている。移動図書館車は、1学期に2回学校間を巡回するが、悪天候の時は道が悪くなりとても大変だ。
子供たちの「本が読みたい」に応えて、長期のクリスマス休暇用に本を貸し出した。

第二部は、南アNGO「ウムトンボ」職員のサンディーレ・ムカディ氏(中央写真)が、サーフィンを通したストリートにいる子どもたちへの支援活動について講演してくれました。
ウムトンボの活動内容だけでなく、ストリートでのシンナーの売買など子供を巻き込む社会問題も分かりやすく伝わりました。ムカディ氏の「最初からストリートにいる子供はいない。やむをえない事情があってストリートにいるだけ。だから彼らはKids from Streetではあるけど、Street Childrenではない」という言葉がとても印象的でした。アパルトヘイト時代は、黒人には地元の海で泳ぐという当たり前の権利が剥奪されていました。それを思うとサーフィン南ア代表に選ばれたシモ君の勇姿(写真右)には、感無量になりました。

【第二部講演内容】
大都市ダーバンにある、ストリートチルドレンを保護・支援しているNGO「ウムトンボ」は、アート、サッカー、サーフィンなどのアクティビティや身心のケアを通して子どもたちを矯正し、少しずつ家庭や学校に戻す活動をしている。
センターでは、ストリートにいる子どもたちを保護し泊まらせている。歯磨きなどの身支度を教え、健康的な食事を提供し、ソーシャルワーカーを常駐させケアをしているが、ストリートにもどってしまう子供もいる。危険なストリートに戻ると悪事に巻き込まれるため、サーフィンをする子供には、なるべく長時間ビーチにいさせるように努力している。

自分は2008年からサーフィンを指導しているが、少しずつ活動の成果を実感している。サーフィンの教え子の2人は海水浴場のライフガードの職を得た。 シンナー漬けだった少年がサーフィンを始めてから、見違えるように健康になった。5人の子供が、サーフィン協会から奨学金をもらい学校に戻った。厳しい家庭環境下、サーフィンをずっと続けてきたシモ君が、補欠ではあるが、黒人で初めての「 サーフィン南アフリカ代表チームUnder 16」に選ばれた(右写真)。

子供たちの自尊心を育てるために、賞状やメダルをあげる機会をできるだけ多くしている。彼らが家や学校に戻ったときに賞状があると、「やっかいな子供」としてではなく、何かを達成してきた子供として、暖かく誇りをもって迎えてくれるので、受賞の品はとても大切だ。

第一部と二部をはさんで、「動く→動かす」代表の津山直子さんより、昨年10月11日に行われた「石巻国際祭り」の様子が動画で紹介され、震災後、命に関わる保健分野のODA額が削られる中、「国際協力と復興のどちらが優先ということではなく、両方大切という認識を持つべき」という力強いメッセージを送ってくれました。

(久我)


2012-01-10 日本

石巻に本・ランドセル・人形を送りました

大変遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
今年も私達「アジア・アフリカと共に歩む会」は、南アフリカの子どもたち、そして国内の被災地の子どもたちのために、出来ることをしていきたいと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。

年明けに、石巻市民で震災直後からずっと支援活動をしている佐々木智恵さんに、ささやかな支援金とダンボール2箱の物資を送りました。送ったものは、絵本約70冊、ランドセル1個、手作りのお人形数個です。お人形は、福岡県の人形作家の方が「被災地の子供やお年寄りの心が少しでも安らぎますように」とTAAAに寄贈して下さったものです。絵本は全国から寄せられました。
ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。

佐々木智恵さんの話からは、災害のトラウマに苦しむ子どもたちの姿が浮かんできます。恐ろしい津波とそれによる被害を見てしまった子どもたちの中には、水恐怖症になり、お風呂にずっと入れず、年末あたりからやっとシャワーを浴びたり、お風呂に入れるようになった子供もいるそうです。「これからは心のケアが大切だ」と佐々木さんは何度もいっていました。

また、仮設住宅に住む子どもたちは、瓦礫だらけの道を1時間もかけて通学するために、親が付き添わなければならず、働いているお母さんには大きなストレスになっているといっていました。新年になってようやく仮設住宅児童用のスクールバスが手配されたようです。 子供の安全にかかわることなので、スクールバスはもっと早く手配してほしかったと思います。

今年もTAAAは「本とお友だち」キャンペーンを続けてまいります。
皆様のご協力をお願い申し上げます。

(久我祐子)


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